和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

俳句の季語ですよ。

2013-04-12 | 本棚並べ
「ふるほん 上海ラヂオ」(京都市北区)は、
一冊送料80円としており、いまどき泣ける古本屋さんなのでした。

最近ここから購入したのが
丸谷才一対談集「言葉あるいは日本語」(構想社)
 300円+送料80円=380円なり

その対談集の最後に登場していたのが田村隆一。
その箇所をパラパラめくれば、
丸谷才一著「無地のネクタイ」(岩波書店)にある、

「日本海軍の軍艦名は趣味がよかった。」とはじまる
短文「名前をつける」を思い浮かべるのでした。

対談では、お二人が海軍について語るさわりから少々。


田村】 ・・ぼくは戦争末期海軍にいたけど、軍艦には山や川からとった名前が多いね。・・・それから時雨なんていう船があるんだね。それから春風ね、霞、みんな俳句の季語ですよ。
丸谷】 日本の海軍の名前はきれいだったよ。
田村】 戦争末期に非常に優秀な駆逐艦造ったわけよ。その時は木偏つけた。楓、椿、柊ね。
丸谷】 田村さんは海軍びいきだものね。
田村】 やはり、ある文化が残っているのよ。ぼくはいじめられたけどね。・・・


うん。これ以上引用すると、丸谷さんの短文「名前をつける」とダブっちゃうので、やめといて、もう一か所引用。


田村】 それから、私の狭い経験では、明治政府からの近代化が、一応、軌道に乗っていくのは、憲法発布、明治二十年ぐらいでしょう。だけど実際に、前時代と別れるというのは自然現象ですけどね、やはり大正十二年なんだ
丸谷】 震災でしょう?
田村】 まあ、それは確かに自然現象に過ぎないけど、しかも関東の一部が、ガラガラとやられただけの話なんだけども、あれで、江戸期の文化は全部、なくなる。不思議なもんだねェ。
丸谷】 だって、首都ってものは、そういう性格を持ってますよね。一文明の代表で、象徴だから、それは当然のことですよ。
田村】 言葉づかいから、美意識から全部、変っちゃう。
   ・・・・・・
田村】 しかもやっと国家になったような日本に対してだって、1920年代初頭のインターナショナルな不況の波というのは、全部、被ってくるんですからね。ぼくは、そういう意味では世界経済の変り目に、大正十二年は、ちょうどきていたと思う。うまく出来てんだねェ。ぼくは、大正十二年に生れたからね。余計、詳しいんだよ。(笑)

コメント
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