跳箱

跳び箱でも飛箱でも飛び箱でもとびばこでもいいけどそこはそれ跳箱なんです。体育日和のお供にどうぞ。

おみや再び。GYAO+の件

2007-03-25 21:43:30 | 収集品
一月にひょんなことからSony WA1のモニターに参加したコトの顛末は昨夜エントリした通りですが、先日渋谷でUSENのS氏とメシを喰った際、帰り際に紙袋を渡されて「こないだ作ったんだけど嫁さんに使ってもらってくれ」と一言。だーかーらー、跳箱は商品モニターブログじゃないんだって...。

渡された紙袋に入っていたのは同社のGyao+。Motorola製IP Video STB VIP1200をカスタマイズした機械で、Motorolaの資料を読めば判るように最上位機種はHDDを内蔵してDVRとして利用することもできる。跳箱イチオシI/OなHDMIを搭載している(Gyao+では後日利用可能になるとのことだが、それっていつよ?)上にDVI端子も付いているイカレた仕様です。Gyao自体は現状480i相当の配信しかしていないので明らかなオーバースペック。S氏の趣味丸出しです。(この点、反論はウケツケネぇ)

販売チャネルはネットによる直販のみで価格は24,800円。明らかに高すぎです。が、このオーバーなスペックではいたし方ないところでもあります。もっと仕様をケチって1万円を切る(できれば5千円を切る)STBを出すべきでしょう。

中身がWindows CEだから、ということもありますがDHCPのある環境なら基本的に設定の類は一切考える必要がありません。ケーブルつないで電源入れるだけ。が、利用者登録を付属のチャチなリモコン(本体のスイッチ類もWA1とは比較にならないほどチャチ)でやらなければならない点はかなり苦痛を伴います。(このあたり、まだ改善の余地ありです)vCARDかFeliCaの簡単登録あたりに対応してくれるといいかも。ちなみにファームアップデートする際の脅し文句はあまり頂けません、もうちょっとスマートな書き方はできないものか?

新しいコトにチャレンジしまくっているWA1と比較すると当たり前の枯れた技術をコンパクトにまとめることに徹しているGyao+なのでこのあたりはソツなくまとまっていて当然といえば当然なんですが、コンシューマ機器ってそういうところのまとまりの良さ、つまり、利用開始までのハードルの低さが大事なんじゃないかと思う跳箱的にはGyao+は、これはこれでアリ、な製品と判断します。

さて、気になる嫁さんの反応ですが、WA1には見向きもしなかったのにGyao+は設置したその日から使い倒しています。さっきもヨガ番組なんぞ見ながら体操(とはいわないのか?)なぞしてました。あまりといえばあまりに違うこの反応。

曰く、「ソニーのは自分の持ってる曲聴けるだけだけどコレは自分の知らない曲も聴ける」のがポイントだそうで。もっとも見てたのはヨガですが...。

モノを売ろうとしているWA1とサービスを売ろうとしているGyao+の違い、といってしまえばそれまでですが、結局、どのようなUser Experienceをどのような交換条件で提供するか?をデザインするのが商売の要諦だと整理するなら、考慮している枠組みがより広範に渡っているGyao+の方が素人にとってはオモシロイ、と感じてもらえる可能性の幅が広かった、ということなのかもしれません。

もちろんGyaoが商業的に自立しえるか?という問いに対する答えがいまだ見出されていない現状に始まり、個別に見ても現在のCM編成の貧弱さ、番組とCMの切り替えの粗雑さ、コンテンツ編成の貧弱さなど改善の余地の多さは目に余りますし、ハードウェア=ガジェットとして見た場合のGyao+の弱さは目を覆わんばかりです。(正直言って家電量販店に並べるのはキツいでしょう)

それら問題点の山を考慮に入れても、その昔テレビ放送が始まった時代と似た、"無料のコンテンツを視聴するために有料の機器を購入する"という心理フレームワークを再び提示した点は純粋に面白い、と思います。

Gyaoのような垂直統合モデルサービスが複数並立する形で新しい秩序が成立していくのか、従来型(と、言わないほうがいいのか?)の分業モデルが温存されるのかわかりませんが、システムアーキテクチャをデジタルテレビ情報化研究会もしくはIPTVフォーラムと摺り寄せた変形版の誕生、といった形でサービスとガジェットの分離は再び始まるんじゃないかなぁとディスカバリーチャンネルから引っ張ってきたらしい赤ちゃん番組見ながら思った夕べでした。

おみやのその後

2007-03-25 00:38:47 | 収集品
書きたい気分じゃないときは書かないに限る、と何度目かのブログ放置シーズンを迎えて早一月な今日この頃、代々木公園では一本だけ気の早い桜が三分咲きになっていたりしますが今年の花見はどこでやろうか思案中の跳箱であります。跳箱的には祐天寺境内の一本桜がお気に入りなので酒瓶だけ持ち込んで夜桜見物もいいもんだと思っているんですが、ここんちはいわゆる花見スポットではありませんのでメシ食いたい人は駒沢通りを渡った先のロゼッタあたりでどーぞ。(なに食ってもウマイことは保証します)そうそう、祐天寺駅前の紋寿司もお勧めであります。(ヒイばあちゃん元気かな?)

さて、先月ソニーさんの奢りな飲み会で「あっ、2本しか書いてない人っ」と突っ込まれて、あ、3本書くんだっけ?と気づいたのもつかの間、その翌日から年がら年中雨ばっかり降っている(が、鮭はうまい)街にふらふらと出かけていて、突っ込まれたことなどスッポリと忘れていたら田口氏からトコロデドーナッテンノ?(いや、電報じゃないですけど)と、ほんとにたまにしかログインしないgmailに再度の突込みがあった(しかも二週間前)ことにようやく気づいたのはつい数時間前のこと。

あー、もうみんな忘れてるよね?えへ。こっそりアップしておこう。

で、件のWA1についてですが、確かに受け取った翌朝(あれって1月の話なんだよなぁイチガツハイク、ニガツハニゲル、サンガツハサル、ってほんとだなぁ)嫁さんに、かくかくしかじかであるから使ってみてはいかがか?といい終わるいや否や「ツカワネー」と連れない返事で撃沈されていたのであります。さもありなん。

情報家電というか、ホームネットワークというかな分野の製品デザインって難しいんだよね。気をつけないとすぐにニワトリとタマゴのループにはまってしまう。この辺の話は始めると長くなるのでまた別途。

跳箱の嫁さんは都内の狭苦しいマンションのリビングで普通の(つまり旧来の)オーディオ機器を使ってCDに記録された音楽を聴く、というスタイルに慣れていて、当人はそこになんの不自由も感じていないわけです。

そこにWA1だけ新規に持ち込まれて使ってみて、といわれても、CDライブラリをパソコンに移植する(要するにiTuneなりWMPなりでエンコする)作業をして、WA1をウチの無線LANで使えるように設定して、ようやく使えるようになるんですが、その労力を投入して得られるメリットたるや、"リビング以外でも無線LANが届く範囲で音楽聴けます"でしかない。

ウチ、そんなに広くないからなぁ。ちなみにベッドルームやキッチンで、うちのライブラリにある曲どれでも好きなだけ聴けるよ?と水を向けてもソレノドコガドレダケオモシロインカ?と冷たい視線が答えておりました。まあなぁ、それこそiPod(あ、いけね、ウォークマン)で十分だよね。

で、iPodかウォークマンを使っている層ならライブラリのエンコは済んでいるはずだから、それなりに需要はあるかもしれないですが、WA1の場合、跳箱はUIに問題があると思うので、この需要を獲得するに当たっても難があるのではないかと思う。

環境設定時に利用するCD(USBメモリもね)に収録されているウィザードはそれなりにこなれた作りでPCの周辺機器設定のツールとしては及第点をつけられる仕上がりにはなっていると思うけどオーディオ機器としてはどうだろう?なんで音楽聴くためだけにIPアドレスとかメンドクサイ設定しないといけないんだろう?(そういえば、今回のモニターでも初期設定でトラブル出た人結構いたね)

設定が終わった後も、WA1の貧弱なモニタを使って設定をいじったり選曲したりするのは結構手間がかかるし、せっかくキレイなデザインの機械なのに指紋がベタベタついて台無しです。だからリモコンつけてるジャン、と突っ込む向きもあるかもしれませんが、付属のリモコンは機能が貧弱すぎて話にならないです。聴きたい曲がピンポイントで簡単に検索できて再生できなきゃPCの膨大なライブラリに接続する意味がないと思うのは跳箱だけ?

中途半端なリモコンを付けて原価を圧迫するくらいならウォークマンそのものをリモコン代わりに使えたほうが便利じゃん?去年、ウォークマンをBluetooth対応に機能拡張するトランスミッターやらなんやら一式を発表しているわけだし。WA1にBluetooth積む方がリモコン付けるより原価圧迫するのはわかるしSRS-BMT30と住み分けしにくくなるのも判るけど。Bluetooth積んだ携帯電話をリモコンにしても面白いかもね。要するに、リッチなUIを積めるデバイスにコストを外出しした方がいいんじゃないかと。(K氏、デザインて所詮エゴのぶつかり合いでしかないと思うから貴殿のこだわりに水を差すものではないけど、ユニバーサルデザインと情報デザイン:ワーマン風というか、な観点はもっと考慮した方がいいと思うんだけどどうよ?)

それからこの製品、価格設定にも疑問があります。いまのところカカクコムで見ると実売価格は3万円台前半で推移しているようだけど、いまどきのラジカセって1~2万円も出すと結構立派なものが買えて音だってそれなりに鳴ります。3万円超のDLNA対応のスピーカ、という商品が2万円ちょっとの全部入りラジカセより売れる理由ってちょっと思いつかない。

適応するユースケースの狭さに対して価格設定が高すぎるので、どうしてもソレじゃないとイカン、という場合以外購買動機付けがしにくいのが困りものです。ちなみにこの商品をいじっていてひとつ思い出した商品があります。これまたソニーのPalm Top Computer。跳箱がまだ学生だったころ1号館103教室でたまたま行われていたソニーの会社説明会で上映されていたビデオがこのPTCの将来像を描いたプロモーションビデオでした。あれは1990年だったか?AppleのNewtonより4年近く先行して電子秘書コンセプト(いや、今考えるとイタイんだけどね)を明確に打ち出した映像を見せられてその場ではかなり興奮した覚えがあります。

けど、買わなかったんだよね。値段がすごいこと(198,000円)になっていたこともあるけど、当時の跳箱にはマルマンのクロッキーブック(Lサイズの青、577円)の方がはるかに使い勝手がよかったからだったりします。字でも絵でもチャートでもなんでも書けた(当たり前)し。

当時のPTCもそうだし、今回のWA1もそうだけど、こんなもんが欲しい、つくりたい、という思いを糧に今までになかったジャンルを切り開く(かもしれない)商品を生み出し、世に問う姿勢はソニーっぽい、と思うので、世界観に共鳴するなら買うべし、です。

ぶっちゃけ跳箱的にはAAAの問題、ライツマネジメントの問題その他、乗り越えなければならない課題の多さに尻込みせずにチャレンジした根性は買ってますが商業的には難しいだろうなぁ、この商品、と思います。DLNA準拠でオープン戦略を目指すならもっと仲間作りしないとうまいことエコシステムが機能しないんじゃないかとおもう。強引に市場をリアライズしたいならAppleみたいな垂直統合でゴリゴリやらないとね。会社の力がうまいこと一点に集約されていない感じがするのは気のせいかなぁ。

エントリが遅れに遅れた挙句コレかよ?と突っ込まれる恐れはたぶんにありますが、そー思ってしまったもんはしかたがないので正直に書いておこう。