軽音楽談話室(廃屋)

「琥珀色に魅入られてしまった人生・・」

二色の独楽 / 井上陽水

2011-09-12 02:00:00 | 音楽
1. 傘がない-イントロダクション
2. 夕立
3. 太陽の町
4. Happy Birthday
5. ゼンマイじかけのカブト虫
6. 御免
7. 月が笑う
8. 二色の独楽
9. 君と僕のブルース
10. 野イチゴ
11. ロンドン急行
12. 旅から旅
13. 眠りにさそわれ
14. 太陽の町
1974

ポリドールから出ていた初期4枚を除きLPは遠の昔に処分していましたので、CDで買い求めましたが、記憶というものはいい加減なものですね。この作品はフォーライフから出されていたものだとばっかり・・・・聞きたかった「闇夜の国から」も入っていないし・・・まっいいか、夕立とカブトムシが入っているから8割満足だし、いずれにしてもすべての曲が聞きたかったのだから。超名作「氷の世界」の次の作品です。フォーライフつまり「ニューミュージック」に向かってギアを切り替え加速していった時期の作品になりますが、確かに「氷の世界」ですでにフォークという枠から完全に逸脱した「陽水の世界」を確立していました。(特にA面は)
拓郎派ではなく陽水派であった私にとってはフォーライフからの1枚目までが「井上陽水」です。後の愚にもつかないヒット曲には何の魅力も感じません。この作品も今聞き返すと大変深い重みのある作品であったと・・・LPを処分するんじゃなかったなぁ・・・・でもジャケットが最悪だしなぁ・・・・

1曲目 夢心地のようなギターがフワフワと漂うインストナンバー、気がつかなかったけれど曲名が「傘がない」となっていますが・・・・メロディーが全然拾えない・・・ストーリー的には次の曲につながるのだが・・・・

2曲目 ヘビー・メタル・ナンバー(笑)、曲も歌詞も過激です。ある意味衝撃でしたねぇ「なんなんだこの曲は」と悩む前に、ハードな曲の強引な勢いと、有無も言わせぬ圧倒的な歌詞の内容に犯されます。・・・・メタルバンドがカバーしないかなぁ。パタパタとしたパーカッションにフォルムラ・トレを垣間見るのは世界でも私だけ。

3曲目 明るいアップライトピアノにシットリとしたアコギ、ゆったりとしたボーカルも「幸せなんだがどこか陰りが」と言う感じ。ラス曲に続きます。

4曲目 縦ノリの明るいロックナンバー、脳天気な歌詞に陰りをエッセンスにした歌い方、結構グイグイと聞き手を引っ張る歌い方ですねぇ。全く陽水らしくない曲調と歌い方ですが、屈折した訳のわからない歌詞の内容を明るく歌うところが「陽水」。

5曲目 名曲「カブトムシ」陽水特有のフォークナンバー、暗い暗い、怖い怖い。ギターのアルペジオが聞き手の脳髄に進入し、歌詞の内容が脳味噌をドロドロに腐敗させる。「幸せに糸付け、引きずり回していて壊れた・・・」そりゃ壊れるだろう・・・ストリングスも止めを刺すように悲壮感を増幅させる。「君の目が壊れた、ゼンマイ仕掛けのカブトムシみたいに・・・」超度級のブラック・メタルの名曲です。

6曲目 弾き語りのフォーク調で曲作りをしたと思いますが、何となく暗めの歌謡ナンバーとなっています。歌詞はまさに「氷の世界」同様の(テレビの位置づけが同じ)パターン、間奏で噎び泣くギターがなかなか素晴らしい。2匹目のドジョウを狙ったのか?

7曲目 この手の曲があるので井上陽水という「歌手」が好きなのかもしれません。ゆったりとした雰囲気に無茶苦茶優しいボーカルがシットリと聞き手の体にまとわりついてきます。そしてエコーをまとったギターが少し感傷的に飛び交い、ストリングスも優ししく漂う。メロウなんだけれど決して「甘甘」ではない、独特の人懐っこさは彼の人柄から滲み出たものでしょうか。

8曲目 イントロはブラック・メタル、悲しみをタップリと内包したナンバー。タイトルナンバーですが、典型的な陽水フォークの世界。哀れさ悲壮さをなにげに歌詞の練り込むのが得意でしたね。多感なガキの頃はこの手の歌詞に狂喜乱舞(変だろう・・・・)。一人の世界を、悲しみの縁というものを垣間見たい年頃なのよ。感傷的になっている自分が良いのよ。

9曲目 ロックナンバーですが、ブルースと銘打っています。艶っぽい歌詞の内容が陽水さんとしては珍しい。サビは好きでしたが個人的にはあんまり気に入っていなかったかな。ストリングスをバックに噎び泣くギターが今聞くと異様。あまり良い曲ではないですねぇ・・・・

10曲目 陽水流センチメンタル・メルヘンナンバー、優しさをこれでもかと詰め込んで悲しみというエッセンスで練り込みまくった曲。時として「悲壮さ」を練り込んでしまうこともあり、その場合多感なガキは涙しまくるのです。シットリとしたアコギにざわめきのようなエレキ、そしてかすれたオルガンが最高です。(プログレしています)

11曲目 軽快で明るい??ナンバー、ブラス隊をバックにシャウトする(していないしていない・・・)、サビが駆け上り最後の最後で少しマイナーになるのがミソ。おやおやドラムが凄いぞ・・・・曲はロックっぽいですが、歌い方はまだまだフォーク。

12曲目 アーバン・ポップス、リードベースが唸りまくる。テーマとサビの雰囲気が異なるのにとても違和感を感じていました、つながらないんですねぇ雰囲気が。ソロパートはサックスとストリングス、アーバンですが、やっぱりサビが合わなすぎ。フェードアウトする2回目のソロパートなんか中々のプログレですぜ旦那。

13曲目 この曲の雰囲気はこの時期の陽水の典型かな、10曲目もそうですがエコーにどっぷりと漬かったようなギターが小鳥のように飛び回り、全体には明るいんだけれどマイナー調で雰囲気を作り上げる。井上陽水というミュージシャンのセンチメンタルさを生かした曲作りが魅力であったわけで、それを取っ払った後の脳天気な曲には何の魅力もないと云うことになります。ラス前を飾るにふさわしい名曲。

14曲目 3曲目のリフレイン、この曲は「余韻」ですねぇ、南国の島を思わすようなスライドギターに優しすぎるボーカルが夢心地。

作品の出来としては「氷の世界」を上回ることは絶対にありませんが、基本は「陽水」でいて色々バラエティに富んだ曲をちりばめた力作と言ったところでしょうか。久々に懐かしい作品を堪能しました・・・・・で、残りポリドール4枚・・・押し入れの奥深く眠ったLPを取り出してターンテーブルにのせるのも面倒だし・・・「闇夜の国から」も聞きたいしベストでも手に入れましょう。






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