軽音楽談話室(廃屋)

「琥珀色に魅入られてしまった人生・・」

全曲集 / 井上陽水

2011-09-13 02:00:00 | 音楽
1.氷の世界
2.心もよう
3.愛は君
4.夢の中へ
5.人生が二度あれば
6.神無月にかこまれて
7.ロンドン急行
8.断絶
9.白い一日
10.傘がない
11.夕立
12.闇夜の国から
13.夏まつり
14.東へ西へ
15.桜三月散歩道
16.帰郷(危篤電報を受け取って)
17.夜のバス
18.小春おばさん
19.眠りにさそわれ
20.太陽の町

「闇夜の国から」を聞きたくてベストを購入しました。シングルのみで出ていた曲であり、全てのベスト盤に収録されているわけではないと言うことらしいのですが。記憶にあると言うことはシングル盤を購入したのですね・・・・・シングルは何処かに束となって保管しているので探せば出てくる可能性がありますが・・

1曲目 希代の名曲「氷の世界」、過激な歌詞と凶暴な演奏、センチメンタルなんぞ微塵も感じられない世の中への怒りにも似た狂気の感情。それらが凝縮した芸術的な曲。アルバム中の曲としては頭からの途切れのない3曲が秀逸ですが、曲の重要さ重さ的にはこの曲に着きます。

2曲目 「氷の世界」B面トップ、シングルカットした曲として当時の知名度というか人気的にはこの曲が一番かも知れません。かろうじて歌える?からか。センチメンタル度は中程度。このぐらいの歌詞が良いですね、入り込み過ぎなくて。

3曲目 ファーストアルバム「断絶」B面トップ、声が若々しい。「ポエム」の世界のような入りの歌詞とチープなオルガンが特徴。センチメンタル度は中。

4曲目 いや、ヒットした、人気だったといえばこの曲「夢の中へ」当時の陽水と言えばこの曲でした。アルバム未収の曲です。歌えます、軽快だし陰りもないし、陽水の魅力はセンチメンタルな感性とこの曲のような真逆なぶち抜けた明るさ(時として狂気)のバランスが魅力でした。

5曲目 ううん・・・センチメンタルと言えば言えなくもないけれど、これは私小説の世界ですから、ちょっと違うかな。センチメンタルさを味わえない、生々しすぎます。

6曲目 この曲は大好きでした、セカンドアルバム「センチメンタル」のB面トップ。入りのギターが素晴らしい、そして悲しみに満ちたバイオリン、おまけにタイトなリズム隊、曲全体に勢いを感じます。歌詞の内容は分かるようで理解できない不思議な世界、その世界観に惹かれてしまっていたのですね。今聞くと演奏が「プログレだなぁ」と感じてしまいます。名曲。

7曲目 前出 省略。

8曲目 ファーストの世界観とセカンドの世界観には微妙なずれがありました。センチメンタルの世界が確立されたセカンドに比べると、ファーストはまだアンドレ・カンドレ(カンドレ・マンドレか?)の世界を引きずった後が残っていました。若さというか脂ぎったような感情が。いきなりシャウトするボーカル、歌詞の内容も青春の怒りのような「小僧の戯言」の延長。吠えるような歌い方がとても斬新、それにしても懐かしいなぁ。

9曲目 小椋佳と言う才人をスターダムに引きずりあげた曲、逆に言うと一流銀行の行員をヤクザな世界に引き込んだ曲・・・名曲ですが入りが「便器を見つめながら」ですから、凄い歌詞ですよねぇ。小椋佳の世界観って凄いですね。曲はギター2本の弾き語りでシットリと悲しみに満ちた優しさがあふれ出ている。センチメンタル度は中、歌詞が素晴らしすぎるし陽水の世界とはちょっと違う。

10曲目 「断絶」のラス。傘がないことが最大の関心事項、世の中の大変さは傘にも劣る出来事。傘がない程度の事にここまで執着して曲にする異様さが陽水の世界。結局は女に会いたいだけを歌った名曲。

11曲目 メタルの名曲 前出で省略。パタパタとしたパーカッションの印象はフォルムラ・トレではなく「イル・ボーロ」でした。(今人気のイタリアのテノール小僧達ですないですよ・・・何の事か分かるかな??)

12曲目 この曲が聞きたかった。明るいアコギとエレキの響き、軽快なベースの音が心地よい。さびは少しマイナーになりながらメジャーに盛り上げる。かっこいい曲でもあり、とても奥行きがあるというか、滑るようにツウーッと闇夜から払暁の海に消えていくような雰囲気が大好きです。幸せそうな陽水夫妻が目に浮かびそうな名曲。陽水特有の屈折さは微塵も無い素直な曲です。良い曲ですねぇ。

13曲目 センチメンタルの集大成、暑苦しい夏の日に蝉が喧しいほど鳴いている一瞬、すべての音が消えてしまったような、夏祭りの平凡な日常が一瞬にして砕け散ってしまいそうな、そんな歌詞と特に歌い方・・・・ギター一本で切々と切々と歌い上げる狂気の世界。幸せなんて一瞬にして泡と消えてしまいそうな陽水の世界・・・アルバムではこの後の曲のバイオリンの悲しげなイントロからつながる「紙飛行機」で聞き手に止めを刺す。センチメンタルという阿片窟・・・抜けられません。

14曲目 これも当時の陽水を代表する曲、歌詞の内容はほとんど意味はありません。日常的そうで実は非日常的な歌詞を「月は(夢の電車は・黒いカラスは)東へ西へ」と言う一言でメルヘンの世界に誘ってしまう。そして間奏とエンディングの雄大さのあるプログレ的な演奏が素晴らしい。泉谷の「春夏秋冬」とタメをはる名曲。

15曲目 これもセンチメンタルの名曲、少しメジャーで流れる主旋律の上を悲しげに響くギターとストリングス、さびで盛り上げる曲調も、歌詞の内容は狂気に充ち満ちている。「桜と狂気」を題材とした名曲。語りの部分が不気味。エンディングで涙一筋。

16曲目 セカンドのラスト「 帰郷(危篤電報を受け取って)」父親の危篤電報を受け夜汽車の中で書いた曲・・・・・希代のオカルトソング、狂気の世界に引き込まれそうになるのを必死にこらえている・・・・

17曲目 センチメンタルA面ラス、ドラマチックな曲展開に、悲しい失恋の歌詞。当時の自分の気持ちが同調しまくって、おまけにその時期夜のバスに乗る事が多かったと来た日には・・・たまりません。凶暴さが漂う歌詞と曲調が救いだったのね。ブルーにはならなかった。

18曲目 入りの雰囲気はものすごいけれど、 感情移入せずにセンチメンタルを味わえる曲 。子供は風車に乗って消えてしまうし、「小春おばさん会いに行くよ・・・・」とただそれだけを歌い上げている曲、中身無いんだよねぇ・・どんな詩でも名曲にしてしまう陽水の異世界。

19曲目 前出 省略。
20曲目 前出 省略。

「氷の世界」A面のメドレー仕立て3曲が未収録なのは個人的には残念ですが、あれはちょっと違う世界だから仕方ないかもしれません。無難かな「桜三月散歩道」も入っているし、5曲ぐらい入れ替えたい気もしますが。



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