軽音楽談話室(廃屋)

「琥珀色に魅入られてしまった人生・・」

666 / Aphrodite’s Child

2010-04-14 02:00:00 | 音楽
Anargyros "Silver" Koulouris : guitars, percussion
Evengelio Odyssey Papathanassiou (VANGELIS) : keyboards, flute, percussion, vibes, backing vocals
Artemios Ventouris Roussos (Demis Roussos) : bass, lead & backing vocals
Lucas Sideras : drums, lead & backing vocals

Harris Chalkitis : bass, tenor saxophone, congas, backing vocals
Irene Papas : vocals (2:5)
Michel Ripoche : trombone, tenor saxophone (1:2 & 2:6)
Yannis Tsarouchis : Greek text
John Forst : narration

Disc one: (36:45)
1.The system (0:23)
2.Babylon (2:51)
3.Loud, loud, loud (2:37)
4.The four horsemen (5:57)
5.The lamb (4:34)
6.The seventh seal (1:30)
7.Aegian sea (5:25)
8.Seven bowls (1:25)
9.The wakening beast (1:07)
10.Lament (2:55)
11.The marching beast (2:00)
12.The battle of the locusts (0:56)
13.Do it (1:45)
14.Tribulation (0:32)
15.The beast (2:33)
16.Ofis (0:17)

Disc two: (41:43)
1.Seven trumpets (0:30)
2.Altamont (4:45)
3.The wedding of the lamb (3:35)
4.The capture of the beast (2:15)
5."Infinity" (5:16)
6.Hic et nunc (3:00)
7.All the seats were occupied (19:27)
8.Break (2:55)
1971

プログレッシブ・ロックの世界で言う所の(まどろっこしい・・・・)名盤中の名盤です。ヴァンゲリスがギリシャで組んでいたバンド、それがフランスで活動していたのがアフロディティス・チャイルド・・・・で、何枚かアルバムを発表し解散、そして再結成され作成されたのがこの「666」、聖書で言う所の「獣の印」でしたっけ、ダミアンの髪の毛の中につむじの様に表されていた。
もしかすると国によってはプログレ扱いされていない可能性があるアフロディティスですが、確かに他のプログレとは一線を画す内容となっています。かなり初期にLPで手に入れ聴いていましたが、正統派のプログレを追い求めていたその当時の私としては、民族音楽色が強く、また人の生々しい生き様というか息吹が噎せ返る様な内容に多少なりとも戸惑いを感じていたのは事実です。作品の流れも雰囲気もしっかりと記憶していますが、実際には今までは作品に入り込めていなかった・・・今回再度と考えていますが・・・無理でしょうね・・・・サラサラと・・・

ディスク1
1曲目 複数男女の声が「なんちゃらシステム」と繰り返す、舞台上のかけ声の様。
2曲目 ライブ音源ではなくライブの歓声を効果的に浸かった曲。この時代結構この手の効果は聴く事ができます。テンションの高いベースにタイトなドラム、勢いのある明るい曲。心地良いアコギのカッティングに素敵なボーカルが響き渡る。雰囲気は60年代後半のポップス+民族色。オープニングを飾るに相応しい名曲かな。
3曲目 一転シットリとしたピアノのコードに何かを語る女性のボイス、そして男女混声コーラスが「Loud, Loud, Loud」と優しく囁く。室内の暖かでほのぼのとした日だまり、ピアノの響きが完全に部屋の中。
4曲目 キラキラと煌めく鈴の音と幻想的な響くピアノ、蕩々と語る様なボーカル、まるで桃源郷の上を漂っている様。勢いのあるリズム隊が参加し一気に曲が現世に引き戻されます。ボーカルの節回しがアラビックな雰囲気を醸し出します。ギターパートはスキャットを従えドラマチックに飛び回る。意外と長尺。ううん、2曲目とこの曲の印象はとても強い。
5曲目 いやいや違う、この曲も印象的だ。フェードインしてくる異界の音楽、アラビックでもあり地中海っぽくもあり、強烈なリズム隊の特徴的なビートに乗って不意気な雰囲気のスキャットとソプラノ?チャルメラ?とブズーキ?と妙な鍵盤がカラフルに飛び回る。中間部の混沌としたアドリブパートから後半は軽く民俗音楽風ジャズロック風化・・・ううん・・・この雰囲気は他では味わえないぞ。
6曲目 ゆったりとしたテンポで民族楽器が淡々と旋律を奏でる、そしてSEが何事かを語る様に・・・
7曲目 ゆったりとしたベースに美しいエレピ?コーラスもドラマチックに漂う様に、エコーの中にバンドがドップリと浸かりながら漂う様な雰囲気、悲しみに満ちた旋律が聞き手の心に染み入ってきます。手法としては確かに70年代前半、初期プログレが時々見せた方法ですが、当然ポップスの世界でもこの手の処理はよく使われていましたね。レトロでよろしい。中盤から美しいギターパートにオッサンのSE、崖っぷちギリギリのところで叙情性が保たれています。
8曲目 妙な効果音、呪いの言葉を呟く様なボーカル群、舞台映えしそうな雰囲気ですね。
9曲目 ガラスの欠片の音?ギターの軋み、それだけ。
10曲目 もの凄く微かに聞こえるコーランの様な呻き・・・・それだけ・・・・
11曲目 8から10曲までぶっ飛ばした混沌世界・・・・から、いきなり曲に、中近東風の旋律、力強いピアノ、曲と言うよりイントロだけを切り取ったよう。
12曲目 ははっ、ヘビー・ブルース・ナンバー。この辺は記憶にない。8から10曲がやはりくせ者だったのか。
13曲目 曲としては繋がっていますが「ドゥ・イット!」のかけ声(記憶にあります・・・でもこの曲だったっけ・・・)を合間に挟んでテンポアップするギターパートは中々の物。それにしてもリズム隊が強烈なバンドですね。
14曲目 脳天気な管群が飛び回る・・・・短いナンバー。
15曲目 ゆったりとしたロックナンバー、妙な歌い回しのボーカルがミソ。コミック・バンド一歩手前。ザッパ的なお遊びでしょうね。
16曲目 オッサンが何か訴えています。

中締め・・・前半の素晴らしさに比べ後半の纏まりの無さ、特に8から10曲までの目一杯勢いをそぐ雰囲気がマイナスですね。その後少しだけ勢いを増すのですが、前半の「アフロディティス、ヴァンゲリスにしか表現できない音世界」は絶品の一言。おしい・・・・

ディスク2
1曲目 ここで「レディス・エンド・ジェントルマン」か?? オッサンが幕開けを宣言。
2曲目 音圧の高いリズム隊、ブワブワとしたキーボードに漂うボイス、力強いジャズ・ロック風の展開です。中間からサックス群が乱入しいよいよ本格的なジャズ・ロックに、中々力強い力作。
3曲目 力強いドラム・パーカッションとフワフワと漂うキーボードにボイス、幻想的であり民族音楽的でもある。このバンド固有の世界ですね。ドラムの力量が計られる、これも力作。 
4曲目 ドラムパートが引き続き、鎖の効果音を交え、煌びやかなエレピとシンセのベース音。前の曲と分ける意味はなさそうです。
5曲目 問題曲かな、同じセリフを時には力強く、時にはエロティックに・・・太鼓の様なドラムの鼓動に乗せて延々と・・・・真言立川流の儀式か??
6曲目 ライブ風の仕立て、力強いピアノとタイトで音圧のあるリズム隊。コーラスとホーン群を従え素敵なボーカルが軽やかに舞い踊る。曲調はポップス、1曲目のコーラスも引き入れ、ギターパートもそれなりに。まとまりがあります。
7曲目 作品中最長の曲、牧歌的で少し悲しみをまとったほのぼのとシンセがフワフワと漂い、音圧の高いリズム隊がゆったりと参加する。アラビックな香りもあり、大陸的な雰囲気もあり、タイトなリズムとギターの爪弾きの上をシンセ音とサックスががフワフワと、決して複雑な曲展開にはならず、作品各所の部品を散りばめながら混沌と・・・作品のオマージュですね。ギターパートを通過し、中盤雰囲気が静まりコーランの世界に。再び音圧の高いリズム隊が加わり結構壮絶な展開に。ただ、各曲の断片を何回も使っているのが・・・・・少し鼻持ちならない。惜しいなぁ・・・・雰囲気は壮絶一歩手前なのに。まあ、ヴァンゲリスらしい展開が嬉しいかな。
8曲目 ラストを飾るのはピアノの音色がが美しいシットリとした明るいポップスナンバー、プロコロハルムを明るくしたよう。

1枚目前半の少しポップながら他では聴く事のできないアフロディティスの素晴らしい世界と、2枚目前半の勢いの感じられるジャズ・ロック風の展開、そして最後一つ前にヴァンゲリスの世界が垣間見える作品。
全体を通してアフロディティス、地中海、ギリシャ、等の雰囲気は感じ取れます。が、作品として統一されているかと聞かれれば??トータルアルバムとしての魅力が感じ取れないのは何故??? 彼ら特有の世界に融け込めないだけなのでしょうか。名曲と言っていい曲は入っていますが・・・・

前半で心躍りますが、やはりトータル作品としては・・・ラスト前の曲だけ聴けば・・・凄い曲なのですがねぇ。プログレ作品として聴くと駄目だと言う事なのでしょうね。捻くれた実験的なポップス。


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