乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

ヤマトタケル  一幕目/三幕  猿之助劇団

2008-05-23 | 歌舞伎

 

(ブログ構成上、千字以上の記述は不可能とのこと。今回、ヤマトタケルの内容そのものに興味を覚えましたため、私なりに詳しく記録したいと考えています。各部を三回に分けて、記録いたします事をご了承願います。)

 

 

  ヤマトタケル    一幕目/三幕

 

 小碓命/市川右近、市川段治郎(ダブルキャスト)

 タケヒコ/市川右近、市川段治郎(ダブルキャスト)

 兄橘姫、みやず姫/市川笑也倭姫

 帝の使者/市川笑三郎老大臣

 尾張の国造の妻/市川寿猿

 ヘタルベ/市川弘太郎、市川猿紫(ダブルキャスト)

 弟橘姫/市川春猿伊吹山の山神

 帝(夜の部)/市川猿弥皇后

 伊吹山の姥神/市川門之助帝  

 

   

 

 初めて、猿之助劇団の『ヤマトタケル』を観た。

 事前に舞台構成を見逃さないようにと言っておいたので、家族も,古典歌舞伎とは異なる楽しみ方で観ていたようだ。

 横顔を観ると、家族のだらりと 頬の筋肉を落としたにやけ笑いが、少し気にかかる。

 周りにはファンの方も多く、

『そのにやけ笑い、なんとかせい!』

と、内心しかる。

 

 さて、猿之助劇団の『ヤマトタケル』だが、長く続いているだけのことはある。

 観客を楽しませる舞台を第一に考えられたように感じた。

 その点で、

「あっぱれじゃ!」

と、合点した。

 

 ヤマトタケルの練り込まれた筋書きと、舞台構成の工夫が、私の心をとらえる。

 効果音は劇団らしく、心情や場面の表れには、必ずといって良いほど、猿之助劇団らしい

「♪じゃじゃじゃじゃ じゃぁあ~ん!♪」

が鳴る。

 この決まり事は、結構癖になり、期待してしまう自分に気づく。

 

 色彩や複数人物の構図訳が見事に潔く、ライトの使い方も良い。

 工夫に工夫を凝らした舞台に、うまく構成され研究された筋書きが、心地よくすすめられる。

 

 完成された舞台の中に、はめ込んだように、猿之助劇団の個性的な役者たちが、それぞれ舞台にじゃまにならない演技を施す。

 多くの役者は自分は舞台の中の一駒ということを理解しているらしく、ほどほどの見得や形を何十回とみせる。

 古典歌舞伎とは少し違った見得や形や台詞の間の取り方も、一つの舞台としての成功を考えた上での工夫かも知れない。

 

 しかしながらファンの方にとってはこれらの役者たちが最高に素敵でカッコ良いだろう。

 それぞれの役者にファンがつき、役者によって拍手の度合いは違うのは、どの歌舞伎(役者)を観ていても同様である。

『人それぞれがそれぞれの好みでありから、人生は楽しいんだ・・・。』

なんて、爺むさい安物の戯言に、我ながらげんなりする。

 

 台詞はここの劇団は、ほぼ現代語。

 それが特徴とも言える。

 三十年前は『義経千本桜』などでも くるくるとバク転されていたが・・・。

 今考えると、万人に親しみやすい歌舞伎を考えた猿之助はすごいなと思う。

 古典歌舞伎の好きな私には、台詞の言い回しが物足りないが、これが猿之助劇団の良さでもあり、特徴でもあるんだ。

 

 猿之助劇団のは多くのファンもいらっしゃるらしく、会場は満員。

 不思議な事に いつもの大向こうのおじさまたちの声は聞こえない。

 一階席と上の方から声がかかっていたが、なんと言っておられるかは定かでない。多分、

「おもだかや!」

と言われているのかも知れないが、かなり短縮した怒鳴り声のような大向こうにで、聞き取れない。

 かなりの短さに、一瞬戸惑いを覚えた。

 

 舞台は始終活気がある。

 ファンの方々は、特有の形や見得ごとに、周り全体 爆拍されている方が多い。

 たまには役者の声とかぶっていたが、活気があって楽しかった。

 こういった経験も初めてで、やはりいろいろな舞台を観てみるものだなぁ・・・と、痛感。

 熱烈且つ熱心なファンを多く率いるこの劇団って、すごい魅力なのだろうなと、客観的に漠然と感じた。

 

 さて・・・話を舞台に戻そう。

『ヤマトタケル』は三部構成の通し狂言。

 

 第一幕目。

 

 音楽とともに、アンモナイトで時代を表現。

 青銅器に描かれた古代文様。

 まさに宇宙の中の地球。

 

 そして舞台は中国雲南省の舞台の、ようなわくわく感を感じさせる立体的なつくり。

 ヤマトタケルは、中国舞台の影響を受けた部分がかなり大きいと思われる。

 ずらり並ぶ兵士たちは構図の一部分で、後ろ向き。

 兵士はたくましく回転し、歩むといった迫力。まさに、中国の影響を、もろに受けた舞台。楽しい。

 古典歌舞伎では観られない、立体的な大道具の造りは、私にとって斬新。これもスーパー歌舞伎の特徴なるか。

 せり上がりもここ彼処と巧みに利用。これまた、古典か武器とここぞといった使い勝手とはまた違う。

 

 小碓命の純白衣装で登場。

 対して、双子の兄・大碓命(おおうすのみこと)は、黒地に美しいザクロ文様。石榴はイランなどの影響か。

 そして、小碓命は分け合って、兄・大碓命をあやめる。

 

 怒った皇后(父)。

 縛り首の宣告を、止める大臣。

 ならば、熊襲で闘いあれと、放つ父。

 夫の仇、と、追って来た兄姫。そして、古代らしく、すぐに二人はの恋(営み)。

 

 古代にはつきものの歌ら踊り。

 ここの楽しさも、やはり中国雲南省の少数民族の舞台を意識している。

 

 心配する倭姫。

 小碓命の叔母は せめてもと、袋(火打ち石、後に分かる)と八岐大蛇を退治した剣を渡す。

 

「この剣を肌身離さず、娘とともにまいりなさい。」

「叔母はこの剣(天叢雲剣、後の 草薙の剣) を持って行っては、立場が悪くなるのではありませんか。」

「私もまだ捨てた物ではありませんよ。これでもまだまだ、神々に相手ししていただけますよ。」

 深い。神話をかなり研究していると、感心した。

 神々は古代から、女(および男)好きである。

 (ここで一言。叔母である倭姫を母と思いこんで書き込んでおりましたが、親切な方に教えていただいて、訂正することができました。この場を借りて、御礼申しあげます。ありがとうございます。)

 

 熊襲の兄弟の衣装は豪華は目をひいた。

 衣装の背中には、兄は鯛、弟は毛蟹。

 この毛蟹の衣装が格好が良く、後ろ斜め三角の形を作ったとき、左肩の三本の爪(蟹足)が、良い。

 一般的な見得の左手と イメージ的が重なって、美しい。

 仏像の四天王さえ感じさせる勢い。

 

 この兄弟が話すときは 『夫婦道明寺』のラストのように、着物裾を広げる。

 裾は曲線を描いており、台詞や見得の度に、ぱたぱたと何度も裾をあげるので、滑稽でユニーク。

 兄弟は悪面メークほども、性格は悪者には感じない。

 

 美しい大和女が現れ、舞を披露。

 うかれる兄弟。

 だが、それは女ではなく 小碓命だった・・・。

 

 闘い、樽投げ、蹴り上げ、飛び、見栄。

 劇団ののイメージを裏切らないアクロバットな熊襲の兵士。

 ここでも 歌舞伎と中国舞台の融合がうまく引き出され、練り上げられている。

 

 色彩と配置における構図の美しさ。

 そして、小碓命は兄弟を倒す。

「我らの国は、兄弟を倒すと言うことは、けしてない。」

の言葉が、印象的。合わせて、

「我らの名、タケルを授ける。今日からソナタは、ヤマトタケルと名のるがよい。」

といった人の良さ。

 かくして小碓命はヤマトタケルといった名を授かった。

 

                 二幕目に続く

  

 

 最後に、長い記録を最後もでお読み下さいまして、感謝申しあげます。

 ありがとうございます。

 

 

コメント (12)
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テレビ、新聞じゃわからない『テロ戦争』がイッキにわかる本

2008-05-23 | 読書全般(古典など以外の一般書)

 (写真はイランのナクシェ・ロスタムの浮き彫りと碑文)

 

 記録だけ  2008年度 48冊目   

 

 テレビ、新聞じゃわからない 

   『テロ戦争』がイッキにわかる本

 

 

                   

 渥美 堅持

 神浦元彰

 歳川隆雄

 西修 

 木野高著

 株 アスキー

 2001年11月8日 第1版発行

 220ページ 1400円+税

 

 

 本日、「テレビ、新聞じゃわからない『テロ戦争』がイッキにわかる本」といった、いやに長ったらしい題名の本を読んだ。

 こういった本にして、2001年出版の本書は少し古い感じもするが、面白かった。

 まじめのテロやイスラム圏、イスラム教に書かれていたが中でも本題とそれた部分に感心した。

 それは、イスラム圏で豚を食べない理由。或いは男性の割礼において。

 syぷじき、豚禁止の理由は笑った。

 また、後者においても むごたらしい部分ばかりではなく、風土に見合った工夫といった点も認められ、今回妙に納得せざるをえなかった。不思議~~。

 ただし、行っておきますが、女性においては、別問題ですぞ!其処のとこ、宜しく。

 

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