日常

対話やコミュニケーションの本質

2016-12-03 10:59:29 | 
2015年度のNHKスペシャル「新・映像の世紀」、第2集 『グレートファミリー 企業帝国の出現』より。
去年NHKで放映されていた。また年末も再放送されるだろう。
ヘレンケラー(後ろにはサリバン女史もいる)が、自動車王フォードと、顎の骨を介して会話している映像。会話がそのまま祈りのような、極めて神聖なシーンだった。








ヘレン・ケラーの『光の中へ』という本は、自らの内側の精神世界を綴った唯一の書。
自分を情熱的な人生へ導いたものが、異端と言われた神秘思想家スウェーデンボルグの教えであることを初めて明らかにした。
スウェーデンボルグは人類史上最大の霊能者であり神秘家だから、この本はあまり表に出て来ないのだろう。
この本は、ヘレンケラー自身の内的世界を克明に描いた貴重な本であり、未来の人類へのメッセージが込められた情熱的な書だ。



自分はある特定のジャンルに興味があるのではなく、「人間」に興味がある。
フォードもヘレンケラーもサリバン女史もスウェーデンボルグも。
一人の人間の中に秘儀のように折りたたまれた可能性というものに関心があるのだ。
「人間」への可能性を信じることができない人は、シビアな医療の世界でやっていけないはずだ。

ギリシアの哲学者キケロ(Cicero:BC106-BC43年)が言うように、「Dum spiro, spero.」(while I breath, I hope)(生きている限り、希望を持つことができる)



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ヘレン・ケラー『光の中へ』より
●「自分の周りを認識しているのは内なる人間であり、この内なる源泉から見てこそ初めて感情や感覚は生き生きとしてくる。」
●「すべての感覚的経験は外側のものだという錯覚があまりに一般的であるため、精神を集中する訓練をしない限り、この錯覚を頭から取り除くことはできないのです。
私自身は、絶えず自分の思考やイマジネーションに没入しているので、この錯覚にとくに悩まされたことはありません。」

●「神が宇宙を創造されたのは、生命と歓びを与えたいという神の本性からの限りない要請があったからだ。」

●「私たちはあまりに自分自身を知らなすぎます。
だからこそ、内なる自己を開き、無知を追放し、仮面を剥ぎ取り、古い偶像を捨て、間違った規範を打破するために、私たちには障害と試練が必要なのです。
このような荒っぽい覚醒手段だけが、絶え間なく圧力をかけてくる外的世界の執拗な窮屈さや煩わしさから私たちを解放してくれます。
そして、そうなって初めて、私たちは真と善と美に対する新たな受容力と評価力を発見するのです。」
●「神の本性とは愛と知恵と役立ちであり、神は誰に対しても、いかなるときにも、その態度をけっして変えはしないということを悟ることができます。」
●「天界は役立ちの王国。
すべての魂がひとつの壮大な役立ちシステムの中に相互に関係しながら結びあわされています。」

●「私の生活は、盲、聾、唖という三重苦のためにとても複雑なものとなっていますので、思考と努力で自分の経験を合理化しなければ、ごく単純なことすら行う事ができません。
もし、外側の世界を理解しようとせずに、いつも神秘的な感覚だけを働かせていたら、私の進歩は妨げられ、あらゆるものが身の回りに崩れ落ちて混沌となっていたことでしょう。
夢と現実を混ぜ合わせ、霊的なものとまだきちんと見たことのない物質的なものをごちゃ混ぜにするのは私にとって容易いことであり、内的な感覚がなければそれらを分けておくことはできません。
ですから、私は常に外側の生活と内側の生活との均衡を保つように心がけなければならないのです。」
●「唯一、本当の盲人というのは、真理を見ようとしない人々、霊的なヴィジョンに対してみずからの眼を閉ざした人々のことなのです。
このような人々にとってのみ、暗闇は解消できないものになるのです。」
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ヘレンケラーの存在は、対話やコミュニケーションの本質にも関わっていると思う。

→○NHKスペシャル「新・映像の世紀」(2015年度)(2015-12-04)
→○ヘレン・ケラー 光の中へ(2014-03-31)


ヘレンケラー動画
ヘレン・ケラー ライオンズクラブ国際大会スピーチ
ヘレン・ケラー 実写フィルム
ヘレン·ケラーが読み上げる 指話通訳者ポリー・トンプソン


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対話やコミュニケーション、と言えば思い出しました。
12/9(金)(18:30-21:00 新宿文化センター 小ホール)に、「コーマワークシンポジウム(ゲリー・リース博士来日記念)」があり、自分も出ます。

コーマワークとは、昏睡状態と思われる人とどのように対話をするのか、という実践的手法です。

アーノルド・ミンデル(Arnold Mindell)がユング心理学を発展応用させ、プロセス指向心理学として体系化しました。ミンデルの著作はすべて読んでます。

今回来られるゲリー・リース博士は、25年余りアメリカで上記のプロセスワークを教え、開業の心理士として35年のキャリアを持つ有名な方です。















<昏睡状態と対話する>と言われると、よくわからない人はぎょっとするかと思いますが、
大切なことは、
・対話するとはどういうことか
・生命とは、生きているとはどういうことか
少し補助線が必要になるでしょう。

一つ目。対話。
対話とは、すべてが言語的に行われるものではありません。たとえば音楽や絵画は、言語を介さない対話です。言語の枠を拡張すれば、それは音や振動による言語であり、イメージ言語でもあるわけです。
あの人と一緒にいると何かイライラする、あの人と一緒にいるととても暖かい気持ちになる、、、など、ご経験あるかと思いますが、自分はこういうものを皮膚感覚での対話と呼んでいます。神社仏閣や好きな場所に行くとなんだか落ち着くのも、皮膚感覚での空間との対話だと思っています。
まず、「対話」という概念を、言語に限定せず自由に発想してみてください。

二つ目。生命、生きていること。
人は、脳だけで生きているわけではありません。60兆個に及ぶ生命の全体性の多様性と調和で生きています。
昏睡状態という状態は、通常の意識状態と違うだけで、もちろん生命の炎は生きています。
植物状態という状態は、からだの動物性臓器がお休みして、植物性臓器が前景に出て生きている状態です。もちろん、生命の炎は生きています。
日常使用する言語は、動物性臓器の代表である脳がつくりあげたコミュニケーション手段の一つでしかなく、必ずしも普遍的なものではありません。国が違えば言葉が違うのは経験することでしょう。
昏睡状態など、通常の言葉が通じない状態を対話をするときは、外国に行っているようなイメージで対話をすることが重要なことです。

日本語の概念は一度捨てましょう。その上で、より「本質的な対話」に思いを馳せる必要があります。
コーマワークを学ぶことは、自分を特殊な状況下に置くことで、「対話」「生命」の本質を別の角度から捉えることに他なりません。



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当日、自分は上にあるようなコーマワークのより深い本質に迫るような話をします。知識経験ゼロでも、少なくとも自分の話は内容が分かるはずです。

未来の医療において、先駆的で新しい領域だと思います。ご興味ある方は常識の枠を外して是非お越しください。

自分は12/9金曜のシンポジウムだけ出ますが、12月10日(土)-11日(日)には貴重なワークショップもあります。深い学びをしたい方は是非そちらにもご参加ください。
こちらのサイトで申し込みできます

■2016年12月9日(金) 18時開場 18時30分-21時終了
■新宿文化センター 小ホール(東新宿駅より徒歩5分)
■定員 200名 5,000円

意識の無い人とのコミュニケーションを叶える。コーマワークシンポジウムとセミナーが12月9日(土)-11日(日)に開催!