日常

イルカやクジラやジュゴンやマナティー

2015-11-20 07:16:37 | 考え
(イルカの呼吸と発声の図は、岩堀修明「図解・感覚器の進化―原始動物からヒトへ水中から陸上へ」より。名著!)

心療庵という場で話す「ひとのからだの歴史」話す資料を作っている。

ひとのからだの歴史を覗きに行っていたので、ここ数週間は数億年前の生命意識と同化していた。
数億年のギャップから、この現代生活に意識が馴染むのがなかなか難しい。



ヒトと同じほ乳類の仲間であるのに、えら呼吸を肺呼吸へとやっとの思いで改造したにもかかわらず、陸仕様の肺呼吸のままで逃げ出すように母なる海へと戻った一群の生命がいる。
イルカやクジラやジュゴンやマナティー。

陸のための呼吸法である肺呼吸で、海へ戻るのだから並大抵のことではない。
国境線がある陸の世界から、知性を悪用して争いを繰り返す不条理な陸の世界から、彼らは逃げたかったのかもしれない。
確かに陸地は辛い。国境線は人為的に便宜的に決められたものだけれど、その資源を求めて戦いが起きるのを見るのは悲しい。

●4億2000年万前:植物の上陸
●4億年前:節足動物の上陸
●3億8500万年前:魚は肺呼吸を開始 水陸両用、ユーステノプテロン
●3億7500万年前:最古の両生類、エルギネルペトン(4本足:にくびれが足へ進化)
●3億6000万年前:脊椎動物(両生類)の上陸

地球が46億年前に生まれて、40億年前くらいに原始的な生命が生まれたとされている。
4億年前に、植物も動物も一斉に陸へと上陸している。
生命は36億年の長きの時代に渡って海で生きていた。海こそが母なる故郷。



肺呼吸で懸命に海に生きるイルカやクジラやジュゴンやマナティー・・・は、
ヒトと同じ知的生命体だと、自分は思う。

陸で進化したか、海で進化したか、だけの違い。
陸で進化するとヒトになり、海で進化するとイルカやクジラやジュゴンやマナティーのようになる。

姿かたちは環境によりかなり違うが、似ている所も多々ある。

○イルカ(海豚、鯆:哺乳類 哺乳綱鯨偶蹄目クジラ類ハクジラ亜目)


(Wikipediaより)


水口博也「イルカ生態ビジュアル百科: 謎に満ちた暮らしから、ウォッチングガイドまで」誠文堂新光社 (2015/8/5)


NATIONAL GEOGRAPHIC 2015年5月号


CD: Healing Dolphin


○クジラ(鯨:哺乳類 クジラ目、鯨偶蹄目鯨凹歯類)


(越智隆治「クジラ! 大写真集」二見書房 (2011/4/25))


(クロード デラフォッス「くじらの本 (はじめての発見)」岳陽舎 (2004/11))


(Wikipediaより 1. ホッキョククジラ、 2. シャチ、 3. セミクジラ、 4. マッコウクジラ、 5. イッカク、 6. シロナガスクジラ、 7. ナガスクジラ、 8. シロイルカ)

○ジュゴン(哺乳類 カイギュウ目ジュゴン科ジュゴン属に分類)


(Wikipediaより)


倉沢 栄一「ジュゴンデータブック阪急コミュニケーションズ (2002/09)

○マナティ(哺乳類 脊索動物門哺乳綱カイギュウ目(海牛目))


(Wikipediaより)


堀田あけみ, 小原玲「マナティ 夢の人魚」七賢出版 (1996/07)


ヒトと同程度の知性を持って、海へと移り住んだイルカやクジラやジュゴンは、海の中で彼ら独自のネットワークを築いているのだと、思える。
そして、陸の世界を静かに観察して静観しているのかもしれない。



資料作成のため、イルカのクリック音も、クジラの歌も、ここ数週間は毎日聞いている。

むかしむかし母体の中で、あいまいな意識でユラリユラリと揺られていた時に聞いていたような音。
むかしむかし海という母体の中で、水の意識と同化した状態でユラリユラリと揺られていた時に聞いたいたような音。
そんな懐かしい音がするのは気のせいだろうか。

毎日聞いていると、波長が合ってくる。
イルカもクジラもジュゴンも、ヒトと同程度の知性を持って、海の中から陸の平和を祈っている歌のようにも聞こえてくる。違うかもしれないし、そうかもしれない。


聞かれたことがない方は、母体の海へと戻った仲間が奏でる音楽に、是非耳を傾けてみてください。
海の世界からこちらへ何を伝えているのか、その思いをしっかり受け止める必要がありそうです。

Whale Song

Sound Therapy ~ Whales Singing ~

自然音 イルカと泳ぐ

イルカの鳴き声


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11月1日(日)13:00~17:00←すでに終了
11月24日(火)19:00~22:00←こちらはまだ空きがある様子
【ひとのからだの歴史】@心療庵 より
人のからだは60兆の多細胞からなります。様々な臓器や組織があり、様々な仕組みがありますが、すべては一朝一夕にできたものではありません。
数十億年の歴史の中で少しずつ作り上げられてきたものです。
からだのすべての臓器の歴史を知ることは、いのちの歴史を知ることであり、ひとのからだやこころへの理解を深いものにしてくれます。
いのちの遥かな流れを追憶しながら、わたしたちのからだのことを深く理解する一助になれば幸いです。
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(当日の配布資料は、これ以外にも文章テキストが12ページもあります。笑)


図表はこれらの素晴らしい著作から引用させてもらいました。図を見ているだけでも生命曼荼羅に引き込まれます。
いづれもやや専門的ではありますが、示唆に富む素晴らしい本。何度も何度も読み返しました。
三木成夫先生の本が一般向けには読みやすいと思います。

村上安則(著),徳野博信(編集)「脳の進化形態学 (ブレインサイエンス・レクチャー 2)」共立出版(2015/4/24)


岩堀修明「図解・内臓の進化」講談社 (2014/2/21)


岩堀修明「図解・感覚器の進化―原始動物からヒトへ水中から陸上へ」講談社 (2011/1/21)


三木成夫「生命形態学序説―根原形象とメタモルフォーゼ」うぶすな書院(1992/11)



年表
●138億年前:宇宙の誕生:ビッグバン
<○先カンブリア時代(46億‐5億4200万年前)>
●46億年前:地球の誕生
●45億5000万年前:月の形成
●44億年前:最古の岩石鉱物:ジルコン粒子
●40億年前:原始の海  原始生命 花崗岩(アカスタ片麻岩) プレート の誕生
●38億年前:真正細菌(バクテリア)から古細菌(アーキア)が分枝:共通祖先(好熱性 多い)
●32億年前:光合成生物(藍藻(シアノバクテリア))の誕生 ストロマトライト(岩石)
●27億年前:原核生物から真核生物へ シアノバクテリア 大量の化石 海中の酸素量増加
●25億年前:縞状鉄鉱層 酸素量増加で海中2価の鉄イオンが3価鉄に酸化して沈殿
●24億‐22億年前:最古の氷期(ヒューロニアン氷期)
●21億年前:真核生物の出現(好気性細菌を取りこんで酸素呼吸能力を得る) 動物と植物の分岐(ミトコンドリア、葉緑体、中心体などとの共生)
●20億年前:大気の酸素増加 酸素利用生物の進化 紫外線と反応しオゾン層形成 小惑星衝突(フレデフォート・ドーム) 最初の超大陸(ヌーナ大陸)
●10億年前:多細胞生物の出現(口の獲得) ロディニア大陸誕生
●8億‐6億年前:雪球地球(スノーボールアース)、氷河時代
●6億‐5億5000万年前:エディアカラ生物群(大型の軟体性生物群、バージェス動物群:アノマロカリス、オパビニアなど 絶滅)
●6億年前:ゴンドワナ大陸がロディニア大陸から分裂

<○古生代(約5億7000万‐約2億5000万年前)>
●5億4200万年前‐5億3000万年前:カンブリア爆発(動物界のほとんどの門 (分類学) が出そろう)
●5億3000万年前:バージェス動物群(三葉虫など)
●4億6000万‐4億3000万年前:氷河期(アンデス-サハラ氷期)
●4億3000万年前:生物の大量絶滅(オルドビス紀末)
●4億2000年万前:植物の上陸
●4億年前:節足動物の上陸
●4億年前:温暖期 石炭の元 アンモナイト(北海道もアンモナイト多い)
●3億8500万年前:魚は肺呼吸を開始 水陸両用、ユーステノプテロン
●3億7500万年前:最古の両生類、エルギネルペトン(4本足:にくびれが足へ進化)
●3億6000万年前:脊椎動物(両生類)の上陸
●3億6000万年前:生物の大量絶滅(デボン紀後期) 寒冷化と海洋無酸素事変
●3億5000万‐2億5000万年前:大規模な氷河時代(カルー氷期)
●3億4000万年前:両生類から有羊膜類が進化。卵の中に羊膜があり羊水を包む。
●3億2000万年前:ほ乳類は鳥類と分枝
●3億年前:性別を決める性染色体の誕生 昆虫の拡大(ゴキブリなど)
●3億年前:爬虫類の出現
●2億5000万年前:パンゲア大陸の誕生(ローレンシア大陸、バルティカ大陸、シベリア大陸などの衝突)
●2億5000万年前:生物の大量絶滅(ペルム紀) P-T境界(メタンハイドレートが気化し酸素濃度低下)

<○中生代(約2億5000万‐約6500万年前)>
●2億5000万年前:恐竜(中生代の三畳紀、ジュラ紀、白亜紀 恐竜繁栄)
●2億4800万年前:哺乳類はキノドン(哺乳類型両生類)が出現。子供に乳を与える。お腹周りのあばら骨がなくなる。
●2億2500万年前:最古の哺乳類(アデロバシレウス) 2色型色覚に一時的に退化
●2億2000万年前:生物の大量絶滅(三畳紀末)
●2億年前:パンゲア大陸の分裂
●1億8000万年前:北はローラシア大陸、南はゴンドワナ大陸へ分裂
●1億5000万年前:鳥類の出現(始祖鳥) 鳥は恐竜の子孫 空というニッチへ進出
●1億4000万年前:西ゴンドワナ大陸はアフリカ大陸と南アメリカ大陸に分裂(大西洋)東ゴンドワナ大陸はインド亜大陸・マダガスカル島、南極大陸・オーストラリア大陸に分裂
●1億3000万年前:被子植物が現れて、恐竜は冬の餌不足に悩まされる。 
●1億年前:恐竜の全盛
●9000万年前:ヒヨケザルやツパイの祖先は、ネズミやリスの祖先と分枝。霊長類へ。
●6550万年前:生物の大量絶滅(白亜紀末) 恐竜絶滅 K-T境界

<○新生代(約6500万年前 - 現代)>
●6550万年前:霊長類の出現(アダピス類・プレシアダピス類):霊長目でビタミンC合成能力を喪失したのは約6300万年前、直鼻猿亜目(合成能力なし)と曲鼻猿亜目(合成能力あり)の分岐
●6000万年前:原猿の祖先はカギ爪を持つヒヨケザル(リス風?)と分枝
●4500万年前:インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突しヒマラヤ山脈を形成
●約4000万年前:温暖から寒冷化 旧世界ザルは光の三原色を取り戻した。
●4000万年前 - 3000万年前:真猿下目の狭鼻下目(旧世界ザル)と広鼻下目(新世界ザル)が分岐
●3000万年前:2色型色覚(赤緑色盲)に退化した哺乳類のうち霊長目狭鼻下目が3色型色覚を再獲得。
●2800万年前:類人猿(エイプ)(尻尾なし)は、サル(モンキー)(尻尾あり)と分岐 狭鼻下目のヒト上科(テナガザル、オランウータン、チンパンジー、ゴリラ、ヒトの共通祖先)がオナガザル上科から分岐 ヒト上科で尿酸オキシダーゼ活性(尿酸分解)が消失
●2500万年前:最古の類人猿と思われる化石(ケニヤ)
●約2500万年前:アルプス・ヒマラヤ地帯で山脈形成
●2000万年‐1600万年前:ヒト科とテナガザル科が分岐
●約2000万年前:最古の湖の形成(古代湖:バイカル湖、タンガニーカ湖)
●1400万年前:大型猿人類(人類の祖先)が小型猿人類と分岐
●約1300万年前:ヒト亜科とオランウータン亜科が分岐
●約1000万‐500万年前:グレート・リフト・バレーの形成(アフリカ)
●700万年前:チンパンジー(ヒト科ヒト亜科ヒト族チンパンジー亜族)と分岐
●700‐600万年前:最古の人類化石(中央アフリカ・サヘラントロプス・チャデンシス)
●650万年前:ヒト族とゴリラ族が分岐
●約600万‐400万年前:琵琶湖の形成(3番目に古い湖)
●500万年前:アルディピテクス(ラミダス猿人)
●480万年前:ヒト亜族とチンパンジー亜族が分岐 猿人 直立二足歩行
●400万年前:アウストラロピテクス(猿人) 最初の人類
●200万年前:ホモ・ハビリス(ヒト属で古い) 原人と猿人の中間
●約250万‐180万年前:石器の使用 エレクトス原人
●約200万年前:伊豆半島(フィリピン海プレート)が北アメリカプレートに衝突し富士山や箱根の噴火
●180万年前:ホモ・エレクトス(原人)(→フローレス原人、北京原人、ジャワ原人に分枝)
●80万年前:ハイデルベルグ人(原人)
●約78万年前:最新の地磁気逆転 
●約70万年前;10万年周期の気候変動
●約50万年前:北京原人
●約23万年前:ネアンデルタール人 温暖期のピーク
●約20万年前:ホモ・サピエンス(現在のヒト)
●約16±4万年前:ミトコンドリア・イブ
●約14万年前:氷期(リス氷期)のピーク
●約13万‐12万年前:温暖期のピーク。
●約12万5千年前:初期のヒト属による火の利用
●約10万年前:ホモ・サピエンスが出アフリカ
●8万1000年前:地球温暖化
●約7万3000年前:スマトラ島のトバ火山大噴火→トバ・カタストロフ理論
●7万年前:ヒトが衣服を着るようになり、ヒトジラミは毛髪に寄宿するアタマジラミと衣服に寄宿するコロモジラミに分岐
●7万年前±1万3000年:ヨーロッパ人と日本人の共通祖先が分岐
●約5万年前:クロマニョン人
●約4万5000年前:オーストラリアに人類が渡島
●4万年前:日本人の祖先は、デニソワ人と交雑
●4万年前:二重まぶた(旧モンゴロイド)が日本に移住
 2万年前:一重まぶた 突然変異(氷河期 モンゴル)
  3000年前:一重まぶた(新モンゴロイド、イヌイットなど)が日本に移住
●約3万年前:ネアンデルタール人・デニソワ人絶滅 最古の洞窟壁画(南フランスのショーヴェ洞窟壁画)
●約3万‐2万年前:モンゴロイドがアメリカ大陸に(ベーリング海峡は地続き)
●約2万年前:ウルム氷期(最終氷期)のピーク
●約1万6500年前:青森県外ヶ浜町にある大平山元I遺跡から土器、石器が出土
●約1万6000年前:海面上昇 ベーリング海峡の海没 日本の島化
●約1万3000年前:日本列島が大陸から分離
●約1万2000年前:アメリカ大陸に人類が移動
●約1万年前:最後の氷期(最終氷期)終了 ヨーロッパの火山活動終息
●8800年前:最古の銅製品(人類最初の金属) 農耕革命(農耕開始) 新石器革命
●5300年前:日本周辺で大規模な火山活動
●5000年前:初期の文明 古代エジプト文明、メソポタミア文明 ヒトの環境破壊表面化(塩害、塩類集積、森林破壊、レバノン杉など)
●16世紀: 太陽黒点の活動低下(マウンダー極小期)
●18世紀:産業革命(エネルギーの大量消費時代)
●20世紀:科学技術の発達、人口の爆発的増加(30年で30億人増加)世界大戦、環境破壊、資源枯渇