悠々time・・・はなしの海     

大学院であまり役に立ちそうもない勉強をしたり、陶芸、歌舞伎・能、カメラ、ときどき八ヶ岳で畑仕事、60代最後半です。

南極観測犬ジロと渋谷の忠犬ハチ公(その1、ジロ)

2006-01-26 11:10:19 | 自然科学・技術

「国立科学博物館」

<シロナガスクジラ>

上野にある国立科学博物館は、現在、本館が工事中のため、奥の方に
ある新館のみが展示場となっている。工事中の本館は工事用の塀で覆
われているが、正面左側に巨大な「シロナガスクジラ」の像が、まるで空
中に浮かんでいるかのように、頭を地面に向け尻尾を空に向けて展示さ
れている。初めて来た子供たちはきっと驚き、感嘆の声をあげるだろう。


<蒸気機関車・D51>

工事中の本館右側には蒸気機関車(D51)が展示されている。この右脇
の通路を通って奥へ進むと新館入り口である。休日などは、D51の前や、
道路の反対側に自転車が沢山駐輪している。小さい自転車もあるので、
科学博物館に来た子供たちの自転車と思われるが、上野の山に自転車
で来れる子供たちは多分、隣接する台東区、文京区の子供たちであろう
か。身近なところに科学博物館があるなんて、なんとも幸せなことだ。









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<戌年(いぬどし)の特別展>

ところで、今日は国立科学博物館の紹介をするわけではない。今年は
干支が犬年にあたるため、特別に犬に関する展示会を開催してくれて
いるので、そのことについて話をしたい。実は、有名な「忠犬ハチ公」と
南極観測犬タロとジロのうちの「ジロ」の剥製が展示されているのだ。

   展示
   「忠犬ハチ公」と「南極観測犬ジロ」
    2006年1月2日(月)~29日(日)


<南極観測犬タロとジロの記録>

(カラフト犬15匹置き去り)
昭和33年2月、第2次南極観測隊を乗せた観測船「宋谷」が悪天候の
ためオングル等に上陸できず、越冬した第1次観測隊員を航空機で救
出したものの、第2次観測隊は上陸できず、カラフト犬15匹は取り残さ
れた。この時代のわが国の南極観測船は、砕氷能力や航空機による
輸送能力が小さかったため、犬たちを連れ帰るだけの余力がなかった
のだ。犬と別れるときの隊員の気持ちは如何ばかりであったろうか。

(翌年、2匹生存確認)
翌年の昭和34年1月14日、第3次観測隊を乗せた「宗谷」から飛び立っ
たヘリコプターからの連絡で、カラフト犬15匹のうち、タロとジロの2匹
生存の報が伝えられ、真っ白な雪原の中を二つの真っ黒な点が疾走
してくる映像を見たとき、日本国中に感動の渦が沸き起こり、私たちは
目頭が熱くなった。

(タロとジロの兄弟犬)
下の写真は、その日の朝日新聞の記事であるが、15匹のうち、兄弟
犬のタロとジロだけが奇跡的に生き延びたのだった。写真の隊員は、
第3次隊員だが、第1次隊で犬ぞり係をしていた隊員で11ヶ月ぶりに
タロとジロと再会して、隊員も犬も、共に喜んでいる写真である。犬を
飼っている者にとっては、胸が熱くなり涙が止まらない光景である。

(ジロとタロと隊員の死亡)
ジロは、翌年の昭和35年7月9日に南極で死亡したが(4歳)、この年
の10月10日には第4次隊の福島隊員が遭難し、8年後に遺体が発見
された。一方、タロは、ジロが死亡した翌年の昭和36年5月に帰国し
北大植物園で余生を送り、昭和45年8月11日まで生きた。14歳だった。

(ジロの剥製)
ときの流れは早いもので、この1月で47年になるが、あのときの感動は
今も忘れたことがない。その「ジロ」は、北大植物園で剥製となったので
あるが、昭和37年に日本学術振興会南極地域観測後援特別委員会か
ら国立科学博物館に寄贈されたものである。

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「ジロの剥製」



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(いずれ、タロとジロの再会を夢見る)

なんとも遣る瀬無い、悲しく、また熱いものが胸に込みあげる感動の犬
たちである。この夏には、タロの剥製とジロの剥製が一緒に展示される
という話も聞く。また感動の涙があふれそうだ。

17年間、ひと時も離れることなく一緒に暮らした我が家のシェルティ犬
「さくら」も、ふとした病気が原因で昨年の1月に亡くなった。腕の中に
抱きかかえたときの重さとやわらかさは今も忘れることがない。古代か
ら続いているという人間と犬の深い共生の絆を考えるとき、私にとって
1月は、新年の喜びと同時に、胸が熱くなる月でもある。


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(おわり。「忠犬ハチ公」につづく)

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