悠々time・・・はなしの海     

大学院であまり役に立ちそうもない勉強をしたり、陶芸、歌舞伎・能、カメラ、ときどき八ヶ岳で畑仕事、60代最後半です。

筑波の地磁気観測所

2005-09-17 14:30:25 | 自然科学・技術

(写真の花は我が家のアメリカンブルー)


直流と交流の歴史は、<-その1->で大体分かった訳ですが、それ
では現在、都心からどこまで直流電車が走っているのか、その境界線
はどうして決まったのか、地域を超えて走っている交流電車はどんな
路線なのか、ということについて調べてみましょう。               
                  
-その2<都心近距離地域でなぜ茨城だけが交流なのか!>-

<常磐線各駅停車の電車は取手より先へは行けない!>
都心から僅か40キロ程度の近郊通勤圏で、直流ではなく交流になって
いる地域は取手から先の茨城県しかありません。直流と交流は性格が
異なるため、そこから先は特別の設備がない普通の直流電車は常磐線
を走れません。そのため、常磐線の通勤各駅停車の役割を担っている
相互乗り入れの直流・地下鉄千代田線は全部取手駅止まりか、取手よ
りも前の我孫子、柏止まりになっています。このため、取手から先に
住む都心通勤者は長い間とても不便な思いをしてきたのです。常識的
には、茨城もかなり以前から土浦、牛久あたりまでが都内への通勤圏
になっていましたので、本来なら当然この辺りまでは直通・直流電車
の要望や必要性があったはずなのです。余談になりますが、実は昔、
常磐線は利根川を渡った取手止まりではなく、手前の、車両基地があ
った我孫子駅だったのです。そこで汽車に乗り換えたのです。古い話
ですねぇー。その当時は、「常磐線は炭鉱線だったから一番遅れてい
るのは仕方ないか」と思って諦めていた方が多かったのです。

<新線・つくばエクスプレスも全く同じ状況!>
8月24日に開業した「つくばエクスプレス」も、矢張り都心から取手とほ
ぼ同程度の距離にある守谷止まりが圧倒的に多いのです。守谷には
大団地があるのでここで折り返すのだな、と思っている人が多いので
すが、実はここ守谷駅で直流から交流に切り替わらなければならない
理由があるわけです。本来、特別の装備をしないかぎり、直流電車は
守谷から先へは進めませんが、常磐線同様、これでは都心近郊の中
距離利用者の要望には応えられないため、車両に特別の技術と
コストをかけて一部の電車を交直両用電車に
改造、又は新造し
て直通で走らせているのです。

JR水戸線の小山以北も同じ理由で交流、関東鉄道常総線は
この理由で非電化となっています。茨城は全滅なのです。

<直流電車の境界>
直流電車はわが国が電化を始めた当時から関東上信越、東海道、
山陽道などの各起点駅からかなり遠方まで走っています。例えば、
東北線では黒磯駅まで走っているし、他の地域でもかなり遠くまで
直流で走っています。つまり、わが国で直流電化が始まった頃に
電化が必要な地域まで電化をしたので、そこまでが直流なのです。
当初の電化地域から、その後経済効果とコストとの関係をにらみな
がら一部延伸した地域もあるわけですが、非電化地域から先はディ
ーゼル機関車や蒸気機関車に乗り換えていたわけです。
したがって、交流電車が走っている地域は交流による遠距離
高圧送電が可能となったため、わが国では
遅れて電化が行わ
れた地域や高圧電力を必要とする新幹線などが、交流で走る
ようになったのです。


北海道、東北、九州地方は交流が主流ですが、一部、運転頻
度が高い路線(仙石線、筑肥線)は直流のところがあります。
また、前にも話したように、地下鉄は全国的に直流ですし、
路面電車や一部の登山電車は直流となっています。東西首都
圏の地下鉄がJRや私鉄と相互乗り入れできるのは相互に直流
だからです。

-交・直両用電車-
現在保有している鉄道会社は、JR東日本、JR西日本、JR九州、
北越急行、つくばエクスプレスだそうですが、直流区間は
直流で、交流区間は整流器で交流を直流電源に変換する方法
と聞いています。

さて、ここまできても、なぜ取手止まりなのかなぜ守谷止ま
りなのかさっぱり分かりません。分かったのは、原因不明の
まま茨城県に入ったところの取手、守谷から先が突然、交流
になってしまい、改造していない普通の通勤電車がここから
折り返すことになるという事実が確認されただけです。


(我が家の少々自慢の「プミラ」です)


<気象庁柿岡地磁気観測所の存在!>
それではその原因はなにか!
かの有名な筑波山のガマの油が湧出しているからです!
そんな馬鹿なことはありません。
実は、つくば研究学園都市の中の宇宙関係の研究施設が
 関係しているのです!

これはいかにもありそうですが、これも違います。

答えは、以外や以外、取手や守谷に原因があるのではなく、
もう少し東へ行った所、美味しい果物が採れる筑波山の麓の
八郷(やさと)町にある「気象庁柿岡地磁気観測所」の存在
が原因なのです

同地磁気観測所のホームページによると、こういうことなのです。   
・空気中の帯電を観測して、地球の地磁気や地磁気の強さを
  求めている。
・赤道環電流の強さを表す指数を決定するために世界で4カ所
  設置されている観測所の一つでる。
・日本で唯一の地球電磁気計測器の検定機関であり、観測結果
  は地磁気観測上の標準となっている。

常磐線、つくばエクスプレス利用者は、「だから何なのだ!」と
言いたいところですが、次なる説明があるのです。

「電線に電流を流すと常に磁気が発生する。磁気は「右ねじの
 法則」にしたがって発生するために、直流だと常に一定方向
 の磁場を作り出す。これが地磁気観測にとっては障害となる」

ついに出た。直流は障害となる!と。更に言い分は続く。
「そのために柿岡の地磁気観測所を中心に半径30キロ㍍以内
 では、直流を採用することができないのである」(省令)と。

ではなぜ交流は問題ないのか。更に言う。
「交流は周期的に電気の極が入れ替わるので磁場が互い
 に打ち消され、地磁気観測への影響が少ない」。と


ああ!何としたことか、イラク問題に似ているではないか。
余談となるが、確かに、アメリカは直流で、常に一定方向の抵抗
を生じさせているが、フランスやイタリヤやスペインやオースト
ラリアなどは、イラク問題でアメリカに追随一辺倒なのか、距離
を置いているのか、本音は反対なのか、明らかに、直流と見せて
実は交流の流れ方でやっているようにも見える。そのため彼らの
国がやっているいろいろな事象は、互いに打ち消されて結局、
何を目的にやってきたのか分からなくなってきている。貢献し
ているといっても国際社会の中での影響力が少ないことも確か
だ。観測所の言い分と同じような事象にも見える。

<常磐線沿線の利用者の言い分>
常磐線沿線の乗客は、蒸気機関車から電化に切り替わると
きにあまり電化を望まなかったため(?)戦後長い間冷遇
されてきたのかと思ったら、そうではなかったのだ。また、
直流が悪い、と言っている訳でもない。ただ単に影響があ
る、といっているだけなのだ。それにしては省令の影響は
大き過ぎるが…。

では、気象庁柿岡地磁気観測所がそこに存在するから悪い
のか。いやいや、それも違う!根気強い常磐沿線の乗客は、
長が~い間、地磁気観測を通じて、国のために、世界のた
めに貢献してきたのである! そう思うと胸がスッキリす
る?ではないか。しかし、疑問は残る。

<なぜ、気象庁柿岡地磁気観測所は
             移転しなかったのか!>

日本には、八ヶ岳とか、その他にも空気が澄んでいて、近く
に電車があまり走らず、磁気の観測に最適と思える場所が
沢山あるのに、何故、八郷町から移転しなかったのか?
移転すれば観測環境が抜群に良くなるだけでなく、長い間
不合理で、非効率的であった茨城の交通環境が他の地区と
同じようにスムーズになることを考えると、かつて赤坂か
ら八郷へ移転したように、本来もっと早く別の観測環境の
良いところへ移転を検討すべきではなかったのか。


(手賀沼の近くの沼で、羽を休めている水鳥たち。2005.9.15)

<つぶやき>
しかし、まて!高価な交直両用車輌製造会社は気象庁の
親分であった運輸省(国土交通省)の影響下にあり、OB
の天下りも確保されていることだろうから、そんなこと
を考慮すると、運輸省にとって観測所移転によるメリット
はない。しかも、大正2年からここで観測している歴史の
ある場所であり、職員の通勤は不便だ、といっても、何と
言っても東京(気象庁に)に一直線である。明治16年か
ら赤坂にあったが、東京市電の拡張によって移転してきた
とはいえ、今は法律(省令)で直流を規制してあり、その
メリットを手放す必要はない。つまり、長い間不便だった
かどうかは知らないが、常磐線(昔、運輸省所管)が磁気
に影響を与えないように直流電車を止めたり、高価な交流
・直流両用車両を製造して配慮してくれたのであるから
(省令に従えばこの方法しかないが)、これからもお互
いにコストかけてがんばろう、ということか。


取りあえず、(その1)、(その2)は終わりにします。
               




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1 コメント

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コメント&トラックバックありがとうございました (Torishin)
2005-09-17 20:00:28
umikiyoさん

コメント&トラックバックありがとうございました



関東鉄も同じ理由だったんですね

沿線に住んでいながら気が付きませんでした
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