友愛労働歴史館の解説員便り

当館は2009年8月で一時休館いたしました。しかし資料の収集・研究、PR活動等は継続します。再開は2012年8月1日!

友愛会の結成(8月1日)と「人間の尊厳、進歩と発達」!

2007-08-15 16:07:54 | Weblog
■友愛会の結成
 今から95年前の大正元(1912)年8月1日、青年クリスチャン鈴木文治により友愛会が結成されました。友愛会はその後、総同盟(戦前・戦後)、全労会議、同盟へと発展し、現在の連合へと続く民主的労働運動の源流となった組織です。
 友愛会が結成されたのは東京・港区三田のユニテリアン教会・惟一館で、ここには現在、財団法人日本労働会館、㈱友愛会館、労使関係研究協会、友愛労働歴史館などがあります。
 また毎年8月1日、友愛会創立者とその運動を顕彰するため、友愛会創立を記念する会が開催されています。
■「人間の尊厳、進歩と発達」をめざして! 
 友愛会は労働者の人格の承認、労働の神聖を掲げ、労働者の生活向上に取り組みましたが、根底には「人間の尊厳、進歩と発達」という考えがありました。これは現在、友愛労働歴史館(日本労働会館が運営する小さな手づくりの歴史館)の標語となっています。
 しかし、この「人間の尊厳、進歩と発達」という言葉は元々、ユニテリアン教会・惟一館のアメリカ人牧師クレイ・マッコーレイが『六合雑誌』創刊号の中で、ユニテリアンミッションの期限及び目的を述べた中に記述されているものです。
 マッコーレイ牧師は、「ユニテリアン思想はキリスト教の真面目を社会に紹介せんとする宗教的運動、道徳的運動であり、この運動は深遠なる哲学と最も進歩せる科学と併行して発達し来り、今やキリストの精神をもって学問と協力し、人間の尊厳と人類の進歩発達を増進するもの」と述べています。
 私たちはこの「人間の尊厳、進歩と発達」という言葉は、キリスト教徒の宗教的信仰の告白以上に、社会運動の行動原理を提起したものと受け止めています。
 だからこそユニテリアンは、当時の日本社会に受け入れられ、多くの人材(山路愛山、黒岩涙香、安部磯雄、星島二郎、永井柳太郎、内ケ崎作三郎、鈴木文治、松岡駒吉ら)を輩出し、惟一館は日本社会運動の発祥の地と呼ばれているのです。
 ひたすら日本の社会運動の発展を支え続けたユニテリアン(彼等は福沢諭吉らの招請で来日し、布教活動を行いませんでした)が提起した「人間の尊厳、進歩と発達」という言葉は、今でも私たちに多くの示唆と方向性を与えてくれます。
                                 以上