オクトシティー正直村

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「法の支配」って何ですか?

2023年05月21日 | Weblog

G7サミットが広島で行われている。

 その声明に「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」が強調されている。このところ頻繁に出てくる「法の支配」とは一体何だろうと気になって自分でも調べてみた。いつものことではあるが、「法の支配」とは、日本で生まれたものではなく、イギリス由来の「Rule of Law」を日本語に翻訳したものである。それでは、「Rule of Law」は何かというと、「人の支配ではなく法の支配を」という概念に由来し、議会政治の発展の中で、議会で制定された法には政府も国民も従わなければならないことである。また、王権による支配を制限または縮小することは国民の権利であることも示している。

「法の支配」は英米の考え方なのである。

 もっと言うならば、民主主義、自由主義国家の考え方なのである。意地悪な言い方をすれば、「法の支配」を世界に強要することは、民主主義、自由主義の考え方を世界に強要していることに等しい。共産主義、社会主義国家にとっては受け入れられないであろう。それなのに「法の支配」をロシアや中国、北朝鮮などの国に向けて訴えている。これらの国々は共産党における一党独裁制が事実上存在し、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席、また、北朝鮮の金正恩主席などは独裁的な政治を貫いている。国家体制の違う国が「法の支配」を快く受け入れるとは思えない。

近代で言う「法の支配」とは

 ウィキペディアによると、「専断的な国家権力の支配を排し、権力を法で拘束するという英米法系の基本的原理である。」とあり、「統治される物だけでなく統治する側もまた、より高次の法によって拘束されなければならないという考え方」となっている。つまり、個人による権力の独占は許されず、法によって拘束されるということである。権力を独占した政治体制であっても独裁者が善政を施せば何も問題ない。ということは独占的な政治体制も有り得るということである。現在の目の前の問題は独裁者が諸外国に対して害を及ぼしていることであろう。そうであれば、この独裁者を糾弾することが最重要であるべきである。

「法の支配」とは考え方であるが、

 この「法」とは具体的になんだろうと思う。この場合は「国際法」ではないかと思う。そうであれば、「国際法の遵守」を掲げれば良いのではないだろうか。少なくとも「国際法」は世界的な立場での法律であり、資本主義も共産主義もない。世界のどの国も国際法には従わなければならない。この法律で戦争について「開戦法規」と「交戦法規」がある。そして、戦争は①国家の自衛の場合②国際社会の平和と秩序への脅威に対する強制行動などに対して認められ、戦争は、まずは外交から始まり、危機が高まると、国家として戦時体制が敷かれ、平和的な外交交渉が断たれ、自国の最終的要求を相手国に提出し、一定期間内に受け入れられない場合は最後通牒を突きつけて宣戦布告を宣言する。

果たしてロシアはこの手順を踏んでいるのだろうか?

 踏んでいなかったら、国際法通りに履行しなさいと要求すればいいと思う。ロシアは当初「軍事的行動」と言い、この頃は「戦争」と表現しているようだが、未だに「宣戦布告」もしていないし、「最後通牒」も明らかでない。戦争をやるつもりなら「開戦法規」に当然則ってやらなければならない。次に「交戦法規」であるが、これは戦争のやり方のルールであるが、攻撃目標、無差別攻撃、文民と民用物の被害の最小化、軍用の外部標識と国籍記載、戦闘員の識別、降伏者・捕獲者の保護など色々とある。これらがちゃんと守られているかを確認して問題があれば国際司法裁判所に訴追しなければならない。

G7で強調すべきはこのことではなかろうか?

 将来的な制止だけを要請しても片手落ちである。これまでやってきたことに対する違法行為とその責任を追求して戦争行為を断念させなければならないと思う。また、その不明部分が明らかになれば、双方に解決の目処が見えてくるのではないだろうか。国際法の権限が弱く、不備が多いのであれば、これを有効なものに変えていかなければならないし、国際司法機関が思うように機能しないのなら、これに協力し組織を強化すべきであろう。そんな具体的な行動が見えてこないで、口先ばかりの決意表明であり、認識の統一であり、重要性の確認であり、国際協調であり、問題提起だけになっていないだろうか。日本国でのG7サミットの意義は十分認識してはいるが、さらなる発展を願っての苦言である。


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