
テレビで時々不思議な現象を見る。
犯罪者が警察に捕まえられる前にテレビで堂々とインタビューに答えている映像である。何が不思議かというと、ただの一般人としてテレビに映っている時は素顔そのままであるが、容疑者として警察に捕まえられた途端にモザイクがけられる。テレビ的には容疑者になって初めて人権が保護されるのである。容疑者になる前は保護される人権がないというのだろうか。また、容疑者として守られる人権は最低限一般人と同等のものであるはずであり、それ以上もそれ以下もないはずであるが、テレビ的には一般人として扱う時は素顔で、容疑者になった途端モザイクがかかるという違いが出てくる。この違いは何だろう。
まず考えられるのは、本人の意志である。
本人がモザイクをかけるかかけないかを選択していると考えれば何も問題ない。肖像権は本人のものであり基本的には本人が自由にできる。しかし、その時の状況を考えると、いちいち本人に了解を取っているとは考えにくい。次に考えられるのは、警察の指示である。今後の捜査上影響があるので本人と特定できる映像を流すのを制限すると言うことが考えられる。しかし、過去に撮影した録画は素顔のままで放映することが可能なようで別段制限があるわけではなさそうである。捜査上の影響であれば一切の放映が禁止されるはずである。
最後に、考えられるのが規則で決まっているからである。
どうやら、これが一番可能性が高い。容疑者になった途端人権が保護される規則になっているからである。しかし、規則で決まっているから人権が保護されると言うのも奇妙なものである。本来人権は万人に認められている権利であるはずである。容疑者になったからといって思い出したように人権が浮かび上がってくるのは何かおかしい気がする。法律の片手落ちだと思う。被害者と加害者の人権が騒がれ、被害者は衆人環視の中でプライバシーが暴露されているが、加害者はどういう訳か手厚く人権が守られている状態にある。日本の法律は人権が侵害される恐れのある場合は救済処置として人権保護を保証しているが、本来の人権保護については明確に規定していないようである。
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