今から40年前の今日73年10月17日にホノルルで行われたWBA:Jライト級
タイトルマッチで王者の柴田国明は前王者のベン・ビラフロアに1RでKO負けし
3月にビラフロアから奪ったタイトルを奪回された。
3月に行なわれた第1戦ではスピードに勝る柴田がビラフロアのパンチをかわし
つつ的確な左を中心にヒットさせて素早く相手の射程外に逃げるという見事な
テクニックでビラフロアの強打を空転させタイトルを奪取した。
当時のビラフロアは20歳と若く柴田のキャリアが上回った形だったので敵地での
再戦でも柴田が前回以上の差を付けて勝つのではという予想が多かった。
試合前の柴田は3月よりもコンディションが良好で上手くいけば終盤でのKO
勝ちもありえるなどと思われたし、試合が始まるとビラフロアの右フックよりも柴田の
左フックの方が振り幅が小さいため先にヒットし更に右クロスまでがヒットするなど
初戦以上の展開になっていた。
ところが1分半過ぎにビラフロアが放った左フックがモロに柴田のアゴを捕らえて
ダウンを奪い、一旦は立ち上がろうとした柴田だったが再び崩れ落ちるようにして
倒れてしまい試合は終わった。
ただでさえ柴田はビセンテ・サルディバルをはじめとしたサウスポーをことごとく
倒していた事からサウスポーには絶対的な強さを持ち、ビラフロアとの第1戦で
相手の強打を ほぼ完璧に封じて勝つなど自信を深めて臨んでいたところに立ち
上がりの打ち合いでも優位に立っていたゆえ危険なレンジでの打ち合いになって
しまったという事だろう。
通算16ラウンド目に地雷を踏んだ形になったのだがビラフロアは その後アポロ
嘉男や上原康恒に柏葉守人らと世界戦を戦い強打型の上原や柏葉をKOしている
反面、足を使うアポロを倒す事ができずに意外な引き分けに終わっている。
つまり世界戦でビラフロアに勝ったのは柴田だけというのを考えると柴田の凄さが
分かるし、翌年2月にWBC王者のリカルド・アルレドントに完勝したのも頷けるのだ。