友利正が世界を獲って30年

 今から30年前の昨日82年4月13日に後楽園ホールで行われたWBC:Jフライ
級タイトルマッチでアマド・ウルスアに挑戦した友利正が2-0の判定勝ちで
タイトルを奪取した日である。


 ウルスアは中島成雄からタイトルを奪取し8度防衛中だったパナマのイラリオ
・サパタを2RでKOした強打者で、巧さはあるものの線が細い友利はウルスアの
プレッシャーを捌けるのかと思われていたのだが意外にも立ち上がりからスピー
ドに乗った連打でウルスアの機先を制し前半を抑えると、中盤からウルスアも
プレッシャーを増して押し込むが一歩も引かずに打ち返し11R にはロープに
押し込んで連打を浴びせる。


 終盤こそ防衛への執念を見せるウルスアの連打に晒されてピンチに陥る
ものの何とか踏ん張り、前半挙げたポイントの貯金で逃げ切ったのだった。


 高校モスキート級王者として三原正・大久保克弘と共にアマ・エリートとして
三迫ジムに入門して新人王を獲得、日本タイトルを17回防衛の天龍数典に
挑戦し1度は判定で敗れるが2度目の挑戦で1RKO勝ちして日本タイトルを
奪取。


 ところがライバルの穂積秀一に判定負けして王座陥落すると東洋太平洋
タイトルに挑戦するために穂積が返上した日本タイトルを伊波政春と争った
ものの判定負けするなどアマチュア時代の戦歴のわりにピリッとしない状態
だったのだが、多田浩幸に勝って日本王者に返り咲いた後に掴んだチャンス
を見事に生かした形になった。

 
 ちょうどWBCのJフライ級王者が8度防衛中のサパタから強打のウルスアに
交代していたので軟体動物のような変則系のサパタよりもパンチは強い
ものの直線的なスタイルの
ウルスアの方が戦いやすく そういう意味でも幸運
だった。


 このあたりも具志堅や渡辺二郎がハイメ・リオスやグスタボ・バラスといった
‘王者のボクシングをされたら手こずるタイプ’の王者ではなく、彼らからタイ
トルを奪取したファン・グスマンやラファエル・ペドロサに挑戦できたのと似て
いる。


 そして具志堅や渡辺二郎同様、初防衛戦の相手が元王者のサパタだった。

 具志堅や渡辺二郎は苦闘しながらもタイトルを死守し長期政権につなげた
のだが、友利は僅差の判定で敗れてタイトルを失う。


 採点表を見たら95-95・97-94×2と10R終了時点で友利がリードして
いたのだが、11R以降ほぼ全ラウンドを失っての負けだったわけで もったい
ない試合だった。


 三迫ジムのボクサーといえば輪島功一が有名だが考えてみると むしろ昨年
亡くなった桜井孝雄や門田新一・福田健吾・三谷大和のようにセンスに恵まれ
ながら今ひとつ勝負弱さを併せ持つタイプが目立つのだが友利も その系譜を
継いでしまった形なのかもしれない。

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コメント
 
 
 
誰もが中島の勝ちと思った (屯田兵幸雄)
2012-04-14 23:50:47
中島対サパタ1戦目の時
サパタの勝ちって言ってたのが三迫会長で
まさか後日自分の弟子が同じ目に遭うとはね
当時のマガジンに載ってますよ
採点したルーフィリッポは元ボクサーだからよくわかっているとか・・

最近 思うのは勝ったら知らない親戚まで増えてくるが
負けたら自分のまわりに誰1人居なくなったって言われる事
そうじゃない どう声かけていいのかわからないのだ
敗者にはね
 
 
 
エディに載ってましたね (こーじ)
2012-04-16 00:02:23
>屯田兵様
 その話は‘エディ’にも載ってましたね。
 とかく世の中の薄情さを表すエピソードでもありますね。

 ちなみに中島-サパタは白井義夫さんも‘クリーンヒットを取って2ポイント差でサパタ’と言ってました。
 
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