goo blog サービス終了のお知らせ 

ラウンドマストシステムを実感して40年

 今のボクシングの世界タイトルマッチはラウンドマストシステム
といわれる各ラウンドを必ずどちらかに振り分ける採点法になって
いるのだが、今から40年前の昨日80年3月24日に行われたWBC:J
フライ級タイトルマッチで初めてそれを実感したのだ。

 蔵前国技館で行われたWBC:Jフライ級タイトルマッチで王者の
中島茂雄が1位のイラリオ・サパタを迎えて行われた初防衛戦で、
WBA&WBC共に1位にランクされていたサパタに対し苦戦が予想
されたものの優勢に試合を進めたように見えた。

 最終ラウンド終了後に放送咳や記者席の採点は中島有利だった
ので‘最悪でも引き分けで防衛’と思われていたら、意外にも僅差
ではあるものの3-0でサパタがタイトルを奪取。

 指名試合は中立国のジャッジで行われていたので個人的に‘また
怪しげな判定が’と思ったのだが、翌日の新聞で採点表を見てみる
と意外にも放送席の解説者が中島に与えたポイントは3者とも中
島のラウンドにしている。

 基本的に怪しげな採点というのは負けた選手が取ったはずのラ
ウンドが相手になったりイーブンになったりするのだが、今回は
放送席の採点で差が付いたラウンドはその通りだったのに対して
イーブンにつけたラウンドのほとんどがサパタに行っていたのだ。

 つまり採点したアメリカやメキシコのジャッジは日本の審判が
10-10を付けるラウンドでも何らかの形で差を付けていたと
いう事になり、イーブンを付ける採点法とラウンドマストの採点
法でここまで違いが出るのかと驚いたものだった。

 だから以後も世界戦を見る度に放送席の採点を無視しラウンド
マストで採点しながら見ているとオフィシャルと同じ採点になる
というのが分かったものの、TV局で解説する元世界王者達は相変
わらずイーブンを付けるスタイルで採点するのでオフィシャルの
採点と違う事が度々あって‘今の採点は分かりにくい’とラウンドマ
ストを拒否するようなコメントが多かったのは意外だった。

 ちなみにWOWOWで解説しているジョー小泉氏は中島のセコン
ドに付いており当然ながら中島の負けに憤慨していたのだが、
81年4月に自らのコラムで世界のボクシング界の採点がラウン
ドマストシステムになっている事を指摘していた。

 にも拘わらず旧来のボクシング記者上がりの評論家や元世界王者
達は‘臭いものに蓋’状態でラウンドマストを無視し、従来の採点法
に拘っていたから日本人選手が際どい採点で負けると‘倒さなかった
のが悪い’的な評論が目立っていた。

 ラウンドマストを認めてないから日本人選手は‘倒さなければ勝て
ない’スタイルになっており結果的に、それが昭和末期から平成の初
めまで続いた世界挑戦20連敗も遠因にもなっているのだろう。

 皮肉にも日本のメディアがラウンドマストシステムを認めたのは
92年4月に鬼塚勝也がタノムサク・シスボーベーに負けたと思わ
れた試合が勝ちになった時に、大いに世間の話題を集めたので初め
てと言っていいぐらいに記者達がラウンドマストシステムの話をし
始めたあたりからだろう。

 日本人は新しいものをなかなか認めようとしないというが、ボク
シングのラウンドマストシステムをなかなか認めなかったのもその
傾向だったのではないだろうか。

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ‘ウソから出た... やはり行われ... »
 
コメント(10/1 コメント投稿終了予定)
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。