市川森一の遺産

 ウルトラマンAの4話・ガラン編は美川隊員のクラスメートだっ
た久里虫太郎という怪奇漫画家が登場しストーカー行為を行うだ
けでなく、怪魚超獣ガランを描いた通りにコントロールできる能
力をヤプールから授けられ一心同体となっている。

 つまりヤプールは自ら手を下すだけでなく心の闇を持った者に
近づいて破壊工作に利用するという手まで使うし、人の心に闇が
ある限りヤプールは滅びないという悪魔的な厄介な相手なのだ。

 このEPの脚本は第1クールのメインライターの市川森一で氏は
クリスチャンだから、キリスト教的な世界を落とし込んでおり特
に悪魔の描写はいかにもという感じで象徴的なのが‘子供の心が純
真だと思っているのは人間だけ’というセリフだろう。

 ヤプール=悪魔は人の心の弱さに付け込んで来るわけで人間の
心の闇に付け込むスキが出て来るのが、ガラン編の久里虫太郎の
ストーカー的な性格が象徴的だ。

 市川氏はウルトラマンAの最終回を担当した後に円谷から離れ
るのだが、続くタロウやレオに80で多くの脚本を担当した石堂
淑朗や弟子と言われる阿井文瓶らが心の闇が原因のEPを作って
いるし特に80に至っては人間の心のマイナスエネルギーが怪獣
を呼ぶという設定になっていた。

 80では心の闇であるマイナスエネルギーを制御できない年代
の中学生を80の人間体・ヤマトタケソが教師として導いていく
というのが第1クールのテーマであり、この設定の元を作ったの
を遡ればウルトラマンAに行きつくと思う。

 市川氏はウルトラマンAのメインライターでありながら他の
脚本家達が氏のバックボーンであるキリスト教世界を必ずしも
理解できておらず、その軋轢から降板したようだが心の闇とい
う第1期ウルトラでは描けてなかったテーマを使っているし80
まで引き継がれているのを考えると素晴らしい遺産を残してく
れたのではないだろうか。

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