tyokutaka

タイトルは、私の名前の音読みで、小さい頃、ある方が見事に間違って発音したところからいただきました。

OJTの本当の効果はあるのか

2005年06月03日 22時32分17秒 | ニュース
OJT、オン・ザ・ジョブトレーニングの略で、実際の現場に出て仕事を行いながら、その仕事の全体を覚える(教育されていく)ことである。仕事の方法といった本質的な部分を、実際に行いながら覚えていくのであって、効果的な部分もあるのだが、考え直してみると、仕事を仕事で説明するわけだから、これはある意味トートロジーなのではないのかとも考えてしまう。OJTもいろんな方法があるが、実際仕事が始まってしまうと、そんな新人教育やってられないという職場が多い。私も実際に体験したことがあるが、素直に上の人間に従って勉強すると言っても、教える人間の精神状態や教えられる人間の状態が問題となって、単純ではない事を知った

JRの脱線事故以来、いろんな組織の体質が見えるようになってきた。今日の新聞には、抜き打ちで上司が客室の方へ私服で乗り込んで運転方法などをチェックするということが頻繁に行われていたことが発覚した。

見える位置に立たれていちいちチェックされるのだから、動作がしっかりしてかえって安全性が確保されるから結構な話ではないかという意見もあるが、実際には違う。第一に動作に気遣うことで、動きが鈍くなる。第二に鈍くなった動きの結果、動作を速くしようとして、かえってミスを犯す可能性が増えることになる。JRの運転手も実際ミスが多くなったそうだ。

これには、私自身も同種の経験がある。本屋の経験である。あの仕事はレジ番が付いて回るのだが、ポスレジであっても、いちいち袋に入れたり、カバーを付けるという動作が付き、なおかつ、金銭の授受があるから、かなりのストレスを感じることになる。そこへわざわざトレーナーという人間が来て指導を行うのだが、その指導が陰湿を極めたときもあった。私もずっと苛まれたことがあった。実際には、完全に型にはまった行動を行うべく指導ばかりを行い、ある一定の自主的な裁量権が与えられないと、かえってミスが多くなる。あるいは作業の効率が遅くなるということにもつながってくる。客も怒りだす上に、それが更なる指導を招き、結局、やる気が失せてくるということにもつながってくる。

フーコーは『監獄の誕生』という本の中で、パノプティコンについて説明する。刑務所の囚人部屋を円形に並べていく。その真ん中に監視人の部屋を作る。監視人は360度囚人を監視することが出来る。勿論、複数の囚人が集中的に監視人を逆に「監視」することにもなるのだが、囚人部屋の方を明るくし、監視人の部屋を暗くすると、視線は一方通行となる。すなわち囚人の方からは見えないのである。囚人は常に監視されていると思うのだが、監視人の存在は見えない。実際監視人は常にそこにいる訳ではない。こうすることで、囚人は常に監視されているという意識が根付くのである。

しかし、こうした意識が常に根付くとは限らないし、不完全に意識が根付くことによるマイナスの効果の方が遥かに大きい。

「従順なる身体の生成」。この身体を作り出す組織の問題はJRだけではない。

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