酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

故郷のにほい・・・

2013-01-28 10:01:57 | 藤沢便り
藤沢駅の正面。
「さいかや」がございます。
デパートです。
このデパート。もとは横須賀が発祥です。
今は三越の傘下となっておりますが、日本でも古株の百貨店です。
この横須賀にありました1号店は、昨年春に閉店いたしました。
このニュースは大変寂しい思いで聞きました。
と言いますのも、父の思い出の詰まった場所だったからです。
昭和十年前後。
祖父が休みの時、(海軍さんにもお休みはあった訳で・・)家族での買い物は、この「さいかや」だったわけです。
お昼は、「さいかや」の食堂か、その裏手にありました「天ぷら屋」と決まっていたそうです。
その「天ぷら屋」さんの天丼は本当においしくて、これを祖父や父も食べたかと思うと、それだけで味は格別。
「穴子の天丼」はここの名物でもありました。
その「天ぷら屋」が店を閉めたのが3年前でした。
父の思い出の場所も少しづつですが、無くなって行く。
こうした思いもございます。
さて、その「さいかや藤沢店」で、先々週「宮城物産展」が開催されました。

皆様、よくデパートの「○○物産展」という催事をご覧になられるかと存じます。
酔漢自身、催事担当も仕事にした事がございます。
これですね、相当気を使う仕事です。
業者の選択、場所と予算等の計画。
設備の手配(冷蔵ケースであるとか、電源であるとか・・)
もちろん商品の選定や、価格の設定見積もり、それと各業者の歩合。
この歩合というのは、売上金に対するマージンです。
業者によって、例えば「12.5%」と設定されていて、それがそのまま利益となります。
消防や保健所への届け出。
場合によっては、宿泊の手配もしなくてはなりません。
もう、催事開催中は、なんらかの問題が出て来るものです。
速やかに対応しなくてなりません。
人対人の仕事が主となりますので、無事に終わるともう脱力です。
少しばかり、お仕事のお話しでした。(汗)

「なんだや、宮城物産すか!んで行ってみっぺ」と覗きました。
いつもの、あの味が藤沢にやってきたわけでした。
懐かしいのは、塩竃「直江商店」。
北浜に本社があります。
「とうふかまぼこ」が名物。
「笹かま」はもうご存知の事と思いますが。
(「まゆみちゃん」のお話しで「粟野の笹かまぼこ」で盛り上がったのは昨年の事でしたぁ・・)
「とうふかまぼこ」も懐かしい味。
お店の人は、残念ながら塩竈のスタッフではなくて。
「工場再開しんだっちゃね?」
「今年ようやく、工場が稼働して、去年こられなかったから、今年は三年ぶりの出店」と話しておられました。
銘菓のブースには「栄太郎の『生どらやき』」が。
実は、このお菓子、タモリさんの好物です。
「いいとも」のディレクターでした「佐藤義和」さん。(今はフジテレビを退社され、銀座で「お笑い塾」を開いております。「ひょうきん族」でご自身が出演されておられました)。
その佐藤さんは、「塩竈市立第一小学校」のご出身。そして、酔漢と恩師が同じです。
その佐藤さんがタモリさんに、お土産として持っていったのが有名になる切っ掛けだったのでした。
因みに、タモリさんに「浦霞禅」を紹介したのも、佐藤さんだったわけです。
そんなかんやを思い出して、ブースを歩き回っておりましたら。
冒頭の写真です。
「戸枝木工所?なして多賀城なんだべか?」
皆様はあまりご存知ないかもしれませんが、「オーダー家具の名店、戸枝木工所」は、塩竃市内にございました。
塩竈は越ノ浦にございました。
ところが、写真の看板のように、「多賀城 戸枝木工所」となっております。
ブースの中は無人。
もしかしたら、御主人がいらっしゃるのかも・・・と探しておりましたら・・。
「良かったら、パンフレットでも観てたら・・」と声を掛けられまして。
「一つ、いいすか?戸枝さんとこって塩竈さぁあったちゃね?」
急に宮城語になるわけです。
その、初老の女性は、明らかに「宮城語イントネーション」でした。こうなりますと、宮城標準語の会話となります。
「だれ、あんだ、地元(ここの地元とはもちろん塩竈の事でして・・)の人なのすか?」
「だっちゃ、だれ、俺塩竈だおん。『戸枝さん』とこは知ってっちゃ!んだども、なして多賀城なのすか?」
「工場、さぁ流されたんだおん・・・」
少し、曇った様子で話されました。
よくよく、考えれば「越ノ浦」ですから、津波の被害は容易に想像出来ます。
「幸い、材料の倉庫は、高台(確か、利府のあたりだったと・・)さぁあったからえがったのっしゃ。んでも、機械とか全部だめになってっしゃ。多賀城さぁ移転したんだおん」
「よく再開したっちゃねぇ」
「いろんな人から『やめねぇでけらいん!』って言われてっしゃ。やめらんねぐなったんだおん」
明るく話す言葉には、少しばかり悔しさも混じっているのでした。
「塩竈の名物が多賀城へ」致し方ないのかもしれませんが、少しばかり淋しさもございます。
「んでも、えがったっちゃ。また戸枝さんとこの家具が残っててっしゃ」
よろしければ、素朴なHPをご覧になってください。
「オーダー家具のとえだ」

笹かまは「鐘崎」と「高政」があって、もちろん「白松」「三全」があって、「岡田屋のながなす」とか「栄泉堂のゆべし」などなど・・おなじみが揃っております。
ただね。冷凍の「やなぎがれい」が1枚1200円でして(これはこれで、見事な柳鰈なのですが、塩竈「松野」で焼きたてを頂きますと・・・デス)少し高めの設定ではあります。
仙台観光案内のコーナーでは、案内役のお父さんが一名。

なんか、寂しそうにしておりましたものですから・・・。
「仙台から来たのすか?」と、これも宮城語で話しかけますと。
「あんだどこっしゃ?」と返されまして。
「俺、塩竃だおん」
「なんだや。これで、宮城の人二人目だっちゃ。昨日来た人は、亘理って言ってたなや。こっちゃ住んで十年とか言ってたっちゃ」
「俺は、もう二十五年になるおん。まぁかみさんも同じなんだけっとっしゃ」
「奥様も宮城なのすか?」
「んだっちゃ。仙台なんだおん」
と、世間話?仙台の話題で盛り上がっておりまして。
ふと手元を見ますれば、こんなパンフレットがございました。

「女将は元気かなぁ」とは独り言。
と、手当たり次第にパンフレットを鞄に入れてしまいました。
一度、FBには掲載させておりましたが。


この写真の上「ぼっけ鍋」の案内がありまして・・・。
七ヶ浜町では、毎年、「ぼっけ祭」が11月に開催されます。
これ、本当に懐かしい味です。
七ヶ浜町では、「ボーちゃん」という「ゆるきゃら」がございます。
まだ着ぐるみにはなってませんが、本当にここらでしか味わえない「ぼっけ」です。
グロテスクな姿ではありますが、その肝は「あんこう」に匹敵すると酔漢は思っております。
捌くのは、けっこう難しくて、お尻の方から、内臓を傷つけないように先に包丁を入れるのがコツ。
当然、背びれのとげは先に鋏で切っておくことは前提ですが。
身は、水っぽいのですが、骨とかから出て来る出汁も格別です。
仙台味噌で味付け。
身体が暖まります。
皆様是非一度お試しくださいな。
七ヶ浜町のホームページをご紹介いたしますね。
鍋が一番なのですが、最近ではこんなレシピもあるようでして・・。
(酔漢的には「ばあちゃんの作ったぼっけ汁」が格別でした!!)
「七ヶ浜町ぼっけ料理コンテスト」

少しづつ、少しづつ、故郷が元気になっているような気がいたします。
ですが、まだまだ、先の見えない復興計画。
問題は山積。
どうしていくのだろう。
そんな事を思いながら、会場を後にしました。

帰宅。
「ただいまぁ」
「物産どうだった?」
「まぁいつもの奴が多かった」
「ながなすは?」
「・・・・・・・・」
「忘れたの?食べたいっていったのあなたでしょ!」
「明日また行って来る」
家内の呆れ顔を眺めながら家へ入りました。
失敗した。
話しに夢中になって買い物を忘れてしまった。

故郷の訛りも味もにほいも懐かしい物産展・・・・酔漢。

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2 コメント

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おはようございます (見張り員)
2013-01-29 08:24:48
え・・・!横須賀のさいか屋さん、閉店しちゃったんですか?以前横須賀に「三笠」見に行った時ドーンとあって『おおこれが有名なさいか屋か」と思ってたんですが。
最近どこでもデパート(しかも老舗)が閉店していますね。うちの近所の吉祥寺もその傾向激しいです。さみしい・・・

さて。
仙台は私は未踏の地であります。仙台と言えば伊達正宗。そして小学校時代の友人の親御さんのふるさとです。よく「笹かまぼこ」をいただいたものです。
言ってみたい場所のひとつです。
それにしても震災復興の進捗具合にはタメイキしか出ませんね。それだけ地震・津波が大きかったということなのかもしれませんがでもねえ・・・。
もうすぐ二年ですから少しでも光明が見えてこないと被災された人たちはやり切れませんね。
安部政権何とかしてくれ!です。
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見張り員さんへ (酔漢です)
2013-02-01 14:38:53
そうなんです。
横須賀さいかやは閉店いたしました。
海軍さんご用達のお店でした。(正面には公衆所もありましたが)
仙台へは是非ともお出かけくださいませ。
祖父の展示室をご案内いたしますよ。
そうだお鮨屋さんもご紹介いたしましょう。その際にはご一報を。
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