アマゾンから新刊案内として、アーネスト・トンプソン著『近代スピリチュアリズム百年史――その歴史と思想のテキスト』(でくのぼう出版)というのが来たので、あれえ?と思いつつも注文しました。「この本、もしかして前に出たもので、段ボール箱の奥にあったかも……しかし、発行日が2011年2月11日とあるので違う本かな……いや、桑原先生はご高齢だから新訳ということはないだろう……段ボール箱は取り出せないし、まあ1500円なら……」w
で、本が来て改めて調べてみたら、これは『近代神霊主義百年史』というタイトルで1989年にコスモ・テン・パブリケーションから刊行された本のリメイクでした。なんだ、たぶんあの箱の……www
まあ、22年前ですから、出版元もタイトルも違って当然かもしれません。見たことない人も多いでしょうから、復刊はありがたいことです。
ただ、もし前の『近代神霊主義百年史』を持っておられる方には、同じ本ですよとお知らせしておきます。
* * *
せっかくだからご紹介を。
この本は、Ernest Thompson, The History of Modern Spiritualism (1948), Spiritualism in the Evolution of Philosophy and Religion (1950) を一冊にまとめて翻訳したもので、著者は「執筆当時『ツー・ワールズ』誌(当時世界で最も代表的な権威のあるスピリチュアリズム雑誌)の主筆で、また、イギリス全国のスピリチュアリズム団体の連合体である「全国神霊主義者連合(SNU)」の教育担当理事」(訳者あとがきより)とのことです。
非常に多数の主題・人物を扱っているのに(目次を後に載せます)、頁数は250頁ですから、「広く浅く」であることは否定できませんし、記述対象が1948年まででしかないこと(そのため、マイヤーズ通信やシルバー・バーチ霊言などが含まれていない)、また著者自身は再生否定論者であることなど、いささか古いことも否めません。出典の明記など学術的な配慮も不足しています。ただ、先行業績や周辺の動きなど視野を広く取っていること、日本語ではなかなか知ることのできない人物の業績・思想が記載されていることなどにおいては、有益な本でしょう。
もう一歩詳しくスピリチュアリズムの歴史を知りたい方は、持っておくのがよい本かもしれません。
――――――――――目 次――――――――――
【前編 近代スピリチュアリズム百年史】
◆第一章 スピリチュアリズムの揺艦時代
第一節 スピリチュアリズムは世界の要求
歴史はどのように発展するか/教会の没落/スピリチュアリズムの足場/衰退から破綻へ/心霊現象の研究はじまる
第二節 スピリチュアリズム以前の時代
霊能の衰退/古代文明時代の霊交/旧約時代/新約時代/キリスト教時代
第三節 二人の偉大な先覚者
エマヌエル・スウェーデンボルグ/スウェーデンボルグの教え/霊の世界とは/アントン・メスメル
第四節 アンドリュー・ジャクソン・デービス
最初の近代的な支配霊/スピリチュアリズムの生誕の予言/スウェーデンボルグとガレン/デービスの大きな業績/霊感による著述
第五節 近代スピリチュアリズム運動の発端
フォックス家/ケイトとマーガレットの通信/最初の調査委員会/霊界通信の発見とその方法の創出/最初の一般公開
第六節 米国スピリチュアリズムの開拓者
エドマンズ判事/ヘヤー教授/ハドソン・タットル/ピーブルス博士
◆第二章 十九世紀の霊媒と研究
第一節 偉大な霊媒たち
ダニエル・ダグラス・ホーム/デビッド・ダギッド/ヘンリー・スレイド博士/ウィリアム・エグリントン
第二節 有名な婦人霊媒
フローレンス・クック/レオノア・E・バイパー/ユーサピア・パラディノ/エリザベス・デスペランス夫人
第三節 科学者達によるスピリチュアリズムの採用
A・ラッセル・ウォーレス博士/ウィリアム・クルックス卿/W・F・バレット卿/レーリー卿
第四節 心霊研究の成立
英国心霊研究協会(SPR)/フレデリック・W・H・マイヤース/エドマンド・ガーニー/ヘンリー・シジウィック/リチャード・ホジソン博士
第五節 十九世紀の指導者達
エンマ・ハーディング・ブリットン/ウィリアム・ステイントン・モーゼス/ウィリアム・T・ステッド/アルフレッド・キトソン
第六節 諸国のスピリチュアリズムの研究
アラン・カーデック/エルネスト・ボザノ/シュレンク・ノッチング博士/アレクサンダー・N・アクサコフ
◆第三章 二十世紀のスピリチュアリズム
第一節 この時代の指導者達
アーサー・コナン・ドイル卿/アーネスト・オーテン/ハンネン・スワッハー/ドウディング卿
第二節 ロッジ、クロフォード、カーリントン、ヘッティンガーの業績
オリバー・ロッジ卿/W・J・クロフォード博士/ヒヤワード・カーリントン博士/J・ヘッティンガー博士
第三節 スピリチュアリズム関係の著者
ジョージ・ヴェイル・オーエン師/W・H・エバンズ/アーサー・フィンドレー/ドレイトン・トーマス師
第四節 輝かしい霊能者達
トム・チレル/グラディス・オズボーン・レナード夫人/エステル・ロバーツ夫人/ヘレン・ヒューズ夫人
第五節 かわった型の霊媒達
ウィリアム・ホープ/ジェラルディン・カミンズ嬢/フランク・リー/ハロルド・シャープ
第六節 アメリカの物理的霊媒
エタ・リート夫人/ジョージ・バリアンタイン/マージャリー・クランドン夫人/カーロ・ミラベリ
第七節 心霊治療
W・T・パリシ/C・A・シンプソン/W・H・リレイ/ハリー・エドワーズ
◆第四章 スピリチュアリズム運動の発展
第一節 イギリスにおける組織的運動
組織/自由のための奮闘/教育の必要/将来への準備
第二節 キリスト教スピリチュアリズムの台頭
ソージャクとモーゼス/世界キリスト教スピリチュアリスト連盟の誕生/GWCSLの信仰/その組織
第三節 神智学協会
H・P・ブラバツキー女史/神智学協会/インドにおける詐偽/アニー・ベザント夫人
第四節 心霊研究協会(SPR)
創立/思想伝達の研究/十字通信/SPRの態度
第五節 アメリカのスピリチュアリズム運動
霊界の指導者/一八九三年NSA会議/統計/現在のNSA
第六節 過去の教訓
強く、雄々しい時代/新世界/衰退の最初の徴候/キリスト教的スピリチュアリズムと神智学/空虚な教会/新しい時代/意義深い二つの事件/根本的な転換の必要/何を為すべきか/将来の計画
◆近代スピリチュアリズム百年祭
ビガースの演説/ヘレン・ヒューズの公開実験/ベンダル氏の演説/ヒッチコック氏の演説/エステル・ロバーツの公開実験/スワッハー氏の演説
◆百年史年表
【後編 スピリチュアリズム思想の歴史】
◆第一章 スウェーデンボルグ
聖書の解釈/神愛と神智/神の内在概念/照応の教理/天国と地獄/夫婦愛
◆第二章 アンドリュー・ジャクソン・デービス
第一節 神の調和概念/新しい啓示の必要/神の科学的概念/神の調和哲学概念/無限の智/神の個体性
第二節 霊・魂・体
調和哲学は進歩の哲学/健康/人霊の源/眠りと死
第三節 霊性の進歩
意志は自由か、決定されているか/決定論は人間的/愛と智/調和
第四節 霊の不滅性
神力原理/媒体の更新/霊的親和力/霊の世界の起源
◆第三章 近代スピリチュアリズムの思想
第一節 アラン・カーデック
スピリチズムの起源/スピリチズムの思想/暗示が生んだドグマ
第二節 ブラバツキー
神智学の教説/カルマ/カルマは何ものも創らず/霊との交信/論理的・科学的・道義的/自我の定数/カルマで決まる運命/動物と人間の我/再生と再生の間/再生の記憶
第三節 ステイントン・モーゼス
霊訓/永遠の進歩/法則違反/婚姻の結びつき/宗教/神の観念/祈り/キリスト教/真実の償い
第四節 ヴェイル・オーエン
ベールの彼方の生活/高級な霊達/光と波動/霊姿/地獄/天国/霊よりも崇高な
第五節 W・H・エバンズ
近代の使徒デービス/調和哲学の講演/神とは何か/科学の聖書/善と悪/意志は自由か、決定されているか
第六節 アーサー・フィンドレー
波動する宇宙/心は創造者/心は物の主人/宇宙と心/利己と利他/幾多の変化/理解を超えた宇宙/エーテル界/再生
◆第四章 結語
新時代の心霊哲学/地上の闘い/更に愛と英知を/永遠の生命/宇宙主義
(ふう、ちょっと余計なことをしすぎました)
で、本が来て改めて調べてみたら、これは『近代神霊主義百年史』というタイトルで1989年にコスモ・テン・パブリケーションから刊行された本のリメイクでした。なんだ、たぶんあの箱の……www
まあ、22年前ですから、出版元もタイトルも違って当然かもしれません。見たことない人も多いでしょうから、復刊はありがたいことです。
ただ、もし前の『近代神霊主義百年史』を持っておられる方には、同じ本ですよとお知らせしておきます。
* * *
せっかくだからご紹介を。
この本は、Ernest Thompson, The History of Modern Spiritualism (1948), Spiritualism in the Evolution of Philosophy and Religion (1950) を一冊にまとめて翻訳したもので、著者は「執筆当時『ツー・ワールズ』誌(当時世界で最も代表的な権威のあるスピリチュアリズム雑誌)の主筆で、また、イギリス全国のスピリチュアリズム団体の連合体である「全国神霊主義者連合(SNU)」の教育担当理事」(訳者あとがきより)とのことです。
非常に多数の主題・人物を扱っているのに(目次を後に載せます)、頁数は250頁ですから、「広く浅く」であることは否定できませんし、記述対象が1948年まででしかないこと(そのため、マイヤーズ通信やシルバー・バーチ霊言などが含まれていない)、また著者自身は再生否定論者であることなど、いささか古いことも否めません。出典の明記など学術的な配慮も不足しています。ただ、先行業績や周辺の動きなど視野を広く取っていること、日本語ではなかなか知ることのできない人物の業績・思想が記載されていることなどにおいては、有益な本でしょう。
もう一歩詳しくスピリチュアリズムの歴史を知りたい方は、持っておくのがよい本かもしれません。
――――――――――目 次――――――――――
【前編 近代スピリチュアリズム百年史】
◆第一章 スピリチュアリズムの揺艦時代
第一節 スピリチュアリズムは世界の要求
歴史はどのように発展するか/教会の没落/スピリチュアリズムの足場/衰退から破綻へ/心霊現象の研究はじまる
第二節 スピリチュアリズム以前の時代
霊能の衰退/古代文明時代の霊交/旧約時代/新約時代/キリスト教時代
第三節 二人の偉大な先覚者
エマヌエル・スウェーデンボルグ/スウェーデンボルグの教え/霊の世界とは/アントン・メスメル
第四節 アンドリュー・ジャクソン・デービス
最初の近代的な支配霊/スピリチュアリズムの生誕の予言/スウェーデンボルグとガレン/デービスの大きな業績/霊感による著述
第五節 近代スピリチュアリズム運動の発端
フォックス家/ケイトとマーガレットの通信/最初の調査委員会/霊界通信の発見とその方法の創出/最初の一般公開
第六節 米国スピリチュアリズムの開拓者
エドマンズ判事/ヘヤー教授/ハドソン・タットル/ピーブルス博士
◆第二章 十九世紀の霊媒と研究
第一節 偉大な霊媒たち
ダニエル・ダグラス・ホーム/デビッド・ダギッド/ヘンリー・スレイド博士/ウィリアム・エグリントン
第二節 有名な婦人霊媒
フローレンス・クック/レオノア・E・バイパー/ユーサピア・パラディノ/エリザベス・デスペランス夫人
第三節 科学者達によるスピリチュアリズムの採用
A・ラッセル・ウォーレス博士/ウィリアム・クルックス卿/W・F・バレット卿/レーリー卿
第四節 心霊研究の成立
英国心霊研究協会(SPR)/フレデリック・W・H・マイヤース/エドマンド・ガーニー/ヘンリー・シジウィック/リチャード・ホジソン博士
第五節 十九世紀の指導者達
エンマ・ハーディング・ブリットン/ウィリアム・ステイントン・モーゼス/ウィリアム・T・ステッド/アルフレッド・キトソン
第六節 諸国のスピリチュアリズムの研究
アラン・カーデック/エルネスト・ボザノ/シュレンク・ノッチング博士/アレクサンダー・N・アクサコフ
◆第三章 二十世紀のスピリチュアリズム
第一節 この時代の指導者達
アーサー・コナン・ドイル卿/アーネスト・オーテン/ハンネン・スワッハー/ドウディング卿
第二節 ロッジ、クロフォード、カーリントン、ヘッティンガーの業績
オリバー・ロッジ卿/W・J・クロフォード博士/ヒヤワード・カーリントン博士/J・ヘッティンガー博士
第三節 スピリチュアリズム関係の著者
ジョージ・ヴェイル・オーエン師/W・H・エバンズ/アーサー・フィンドレー/ドレイトン・トーマス師
第四節 輝かしい霊能者達
トム・チレル/グラディス・オズボーン・レナード夫人/エステル・ロバーツ夫人/ヘレン・ヒューズ夫人
第五節 かわった型の霊媒達
ウィリアム・ホープ/ジェラルディン・カミンズ嬢/フランク・リー/ハロルド・シャープ
第六節 アメリカの物理的霊媒
エタ・リート夫人/ジョージ・バリアンタイン/マージャリー・クランドン夫人/カーロ・ミラベリ
第七節 心霊治療
W・T・パリシ/C・A・シンプソン/W・H・リレイ/ハリー・エドワーズ
◆第四章 スピリチュアリズム運動の発展
第一節 イギリスにおける組織的運動
組織/自由のための奮闘/教育の必要/将来への準備
第二節 キリスト教スピリチュアリズムの台頭
ソージャクとモーゼス/世界キリスト教スピリチュアリスト連盟の誕生/GWCSLの信仰/その組織
第三節 神智学協会
H・P・ブラバツキー女史/神智学協会/インドにおける詐偽/アニー・ベザント夫人
第四節 心霊研究協会(SPR)
創立/思想伝達の研究/十字通信/SPRの態度
第五節 アメリカのスピリチュアリズム運動
霊界の指導者/一八九三年NSA会議/統計/現在のNSA
第六節 過去の教訓
強く、雄々しい時代/新世界/衰退の最初の徴候/キリスト教的スピリチュアリズムと神智学/空虚な教会/新しい時代/意義深い二つの事件/根本的な転換の必要/何を為すべきか/将来の計画
◆近代スピリチュアリズム百年祭
ビガースの演説/ヘレン・ヒューズの公開実験/ベンダル氏の演説/ヒッチコック氏の演説/エステル・ロバーツの公開実験/スワッハー氏の演説
◆百年史年表
【後編 スピリチュアリズム思想の歴史】
◆第一章 スウェーデンボルグ
聖書の解釈/神愛と神智/神の内在概念/照応の教理/天国と地獄/夫婦愛
◆第二章 アンドリュー・ジャクソン・デービス
第一節 神の調和概念/新しい啓示の必要/神の科学的概念/神の調和哲学概念/無限の智/神の個体性
第二節 霊・魂・体
調和哲学は進歩の哲学/健康/人霊の源/眠りと死
第三節 霊性の進歩
意志は自由か、決定されているか/決定論は人間的/愛と智/調和
第四節 霊の不滅性
神力原理/媒体の更新/霊的親和力/霊の世界の起源
◆第三章 近代スピリチュアリズムの思想
第一節 アラン・カーデック
スピリチズムの起源/スピリチズムの思想/暗示が生んだドグマ
第二節 ブラバツキー
神智学の教説/カルマ/カルマは何ものも創らず/霊との交信/論理的・科学的・道義的/自我の定数/カルマで決まる運命/動物と人間の我/再生と再生の間/再生の記憶
第三節 ステイントン・モーゼス
霊訓/永遠の進歩/法則違反/婚姻の結びつき/宗教/神の観念/祈り/キリスト教/真実の償い
第四節 ヴェイル・オーエン
ベールの彼方の生活/高級な霊達/光と波動/霊姿/地獄/天国/霊よりも崇高な
第五節 W・H・エバンズ
近代の使徒デービス/調和哲学の講演/神とは何か/科学の聖書/善と悪/意志は自由か、決定されているか
第六節 アーサー・フィンドレー
波動する宇宙/心は創造者/心は物の主人/宇宙と心/利己と利他/幾多の変化/理解を超えた宇宙/エーテル界/再生
◆第四章 結語
新時代の心霊哲学/地上の闘い/更に愛と英知を/永遠の生命/宇宙主義
(ふう、ちょっと余計なことをしすぎました)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます