今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・奥秩父 鷹見岩、飯森山、魔子、五里山

2011年09月22日 | 山登りの記録 2011
平成23年9月19日(月)

鷹見岩2,092.4m、飯森山2,116m、魔子1,700m、五里山(向山)1,673.2m
  
 台風や天候不順に加え、腰痛の発症と仕事の繁忙等が重なって夏山の予定は流れ、もう秋になってしまった。山に行けない日々が続き、休みの日も何だか張り合いが無くて呆けているような感じのこの一ヶ月。今回の3連休も、中日の日曜は、恒例の地域の清掃ボランティアの日。烏ヶ森さんの記録に刺激を受け、昔登り残したままだった妙高山に急に登りたくなり、土曜に予定して支度をしていたが、残念ながら新潟方面はまたもや曇りや雨の予報で駄目になった。そうしたら、台風や前線の影響で、全国的に天気は崩れていくという予報ながら、月曜日は山梨や長野南部には晴れマークが付いた。よしっ、ということで、急遽奥秩父に行くことにした。

奥秩父で未登の山も少ない。そんな山が奥秩父にあったの?という様な山しか残っていないが、まずは以前から気になっていた、瑞牆山近くの飯森山と鷹見岩に登ろうと考えた。飯森山は、直ぐ脇を金峰山登山道が通り、2万図5千図にも記名がある道の無い山だ。鷹見岩は、エアリアでは破線が引かれているが、三等三角点があって展望も良いらしい。一応、道らしいものもあるという情報だった。しかし、この2山だけでは、お昼前に登り終えてしまうので、その他に周辺にある魔子(魔子の山)と五里山も予定に加え、日曜の夜に山梨に向かった。

軽井沢を過ぎ、佐久からR141経由で川上から信州峠を越え、黒森鉱泉との分岐から瑞牆山荘に向かう。0時前に山荘脇の駐車場に着いた。3連休も明日が最終日、事前の天気予報が芳しく無かったからか、駐車場はがらがらだった。直ぐにシュラフに潜って仮眠する。気温は16℃、9月中旬にこの標高としては高めだろう。

翌朝5時半に起きる。空はまだ明けきらないが、すっきりとした快晴。予報どおりで気分も良く、パンを食べて支度をし、6時丁度に出発。人の姿はほとんど無い。瑞牆山荘も営業中のはずだが、ひっそりとしていた。ここに来たのは実に36年ぶり、高校の頃にここから瑞牆・金峰とクラブの合宿で登って以来だった。その時、初めて奥秩父に来たのだが、当時はマイカーでやってくる人なんか少なくて、ぼくらも韮崎からバスに乗ってやってきた事を思い出す。

山荘からは百名山の登山道らしく、幅広のしっかりした道がミズナラやシラカバの間を緩く登っている。涼しくて丁度いい気温だ。少し寒いかなと思い、長袖シャツを半袖シャツに重ね着したが、直ぐ暑くなってまた半袖にした。この時期に、標高も高めのこの辺りでは、虫に刺される心配も無かった。気持ちのいい朝の気を感じながら、歩き易い道をゆっくり登っていく。少しブランクがあったから、身体も鈍っている。少しずつ身体を山に馴染ませながら登って行く。富士見平林道を横切る辺りで、上から降りてくる人たちとすれ違う。木々の間から瑞牆山が見えてくる。支尾根につながり、少し登りがきつくなるが、間もなく水場を示す道標と水音に導かれ、水流も多い富士見平下の水場で水を汲んだ。ポリバケツにホースで導水してある。水を汲み終わってザックにしまっていると、テン場から降りてきた親子連れが水を汲みにやってきた。直ぐ上が富士見平小屋だった。

富士見平小屋は、高校の頃に来た時そのままの姿でそこにあったのには感激した。今時、こんな山小屋らしい山小屋もそうはないだろう。甲羅板張りの懐かしい外観もそのままだが、窓下に赤やピンクの幾つものゼラニュームの花鉢が下げられているのは今風だった。古めかしい小屋におしゃれな雰囲気を漂わせている。小屋の前で泊まりのおじさんが、一人朝ごはんを作っているようだった。小屋の前のミズナラが囲む広場には、20張り近くの色とりどりのテントが張られていたが、テントの主は山に向かったのか、今はもうひっそりとしていた。

富士見平小屋は瑞牆山と金峰山の分岐になっている。ここから一段登って、飯森山腹を斜めにトラバースし、鷹見岩との鞍部は明るいシラビソの平坦地になっている。7時36分に鞍部に着く。ここに登ってくる途中、木々越しに鷹見岩が見えていたが、全体が見えるポイントは残念ながら無かった。標識に導かれ、シャクナゲ藪がややうるさいが、しっかりした道が付いている。少し急になると背後に樹林に覆われた丸い飯森山が見え、その左に瑞牆山のにょきにょきとした花崗岩塔群を見る。道は間もなく花崗岩塊に突き当り、枯木の足場を頼りに岩の上に上りあげると、一気に360度の大展望が広がった。

7時51分に鷹見岩の上に立つ。三等三角点が岩の中央にぽつんとある他には何も無く、4m四方の花崗岩の上は樹林を抜きん出た展望台だった。西から南は南アルプスのほぼ全山に、富士山、櫛形山、直ぐそこに高くシルエットの金峰山、北に遠く中央アルプスから御嶽山、近くに八ヶ岳連峰、東は飯森山の肩に瑞牆山が突き出し、小川山からまた、金峰山に繫がって遮るものもない360度の大パノラマだった。写真を撮るのも忙しい。ずらりと快晴の空に並んだ山々の眺めは飽きない。しばし、誰も居ない静かな大展望の山頂で、タラコおむすびを食べながら満足感に浸るのだった。

8時半に鷹見岩を降り、飯森山に向かう。鞍部に下って、そのまま向かいの樹林を登る。シラビソの倒木や、その幼樹とシャクナゲ藪が最初のうちは少しわずらわしいが、登るにつれ藪も無くどこでも歩けるようなシラビソの森になった。少し傾斜が緩むと、樹林に包まれた平坦地が飯森山の山頂だった。9時4分に飯森山頂着。苔むした樹床に、やや太いシラビソの森の中で、明るいが眺めは全く無い。シラビソの幹に達筆名板が付けられていた。他には何も無い。腰を下ろし、他には誰もやってくることも無さそうな静かなる山に居る気分は、心を開放させた。またここで、今度は大福餅を食べる。ホントに良く食べている…。

9時半に飯森山を降り、鞍部から引き返す。相変わらず、すれ違う人も少ない。それでも富士見平小屋まで降りてきたら、テント泊まりと思われる若者を数人見た。そのまま瑞牆山荘まで一気に下る。下る途中でも山ガール?の2人連れや、若いカップル、親子連れなど、ぼくが普段登る山では余りお目にかからない様なハイカー達にすれ違う。しかし、3連休も最終日とあってか、100名山の山としては、人はとても少なかった。10時36分に瑞牆山荘に降りた。山荘周辺も森閑として、駐車場の車も相変わらずがらがらだった。まだこの周辺でもセミの声が響き、陽射しも強いので、9月も下旬になるというのに夏が残っている雰囲気だった。

車に戻り、次は魔子に向かう。車で金山山荘方面にカーブを二つ曲がった先にロープが張られた引き込みがあり、車が2台停まっていた。そこに『魔子の山』の道標が立っていた。エアリアマップには『魔子』と記載されているが、面白い名前だ。魔子とは一体何だろう?人の名前か、それとも全く違う意味の名前に音で充て字したものか、全く不明。先の路側帯に車を止め、10時44分に早速木の階段状になった雑木林の道を登る。キノコ採りと思われる人が直ぐ下を歩いている。下にあった2台の車の主はキノコ採りの様だ。階段は歩きにくいな、と思いながら登るが、直ぐに無くなった。

雑木山を一段登り上げると、今度は落葉松の急な登りになり、やがて岩混じりの道になって11時13分に魔子の山の標識が立つ山頂に着いた。山頂は若い落葉松に囲まれ、眺めはわずか瑞牆山のみだった。家に帰り、後でネットで見たら、山頂から少し北に進むと眺めの良い展望台があるとのことだった。確かに山頂から先に踏跡がしっかり付いていた。真下に赤い屋根の瑞牆山荘が良く見える。魔子の山頂でも今度はやきそばパンを食べる。久々に食べるやきそばパンは、大変美味しかった。11時42分に魔子を降り、12時丁度に車に戻った。

さて、次は本日の最終予定の山である五里山だ。車に乗って金山山荘に下り、山荘から2つカーブを曲がった先に林道入口があり、そこに『五里山登山口』という消えかけた標識が立っている。林道入口は5、6台車が停められる駐車スペースがある、そこに車を停めて、12時9分に橋を渡り未舗装の林道を歩き出す。

10分程、傍を流れる川音も高らかな林道を奥に進むと堰堤になり、そこにまた『五里山登山口』の標識がある。この頃になると、空は雲が広がり朝からの快晴の天気も半分くらい曇り空に変わってきた。登山口の標識はあるものの、道はどうも藪に覆われ気味でハッキリしない。沢筋から尾根に移って登るようになると、次第に岩稜に変わり、無理して登ることはできるが、またここを下るのであればザイルが欲しい様な登りになってきた。痩せたナイフリッジ状の岩場に詰まり、いよいよここはルートを外れていると感じる。そのくせ、紛らわしいテープをたまに見るのでここまで登ってきたのだが…。ここから仰ぐ山頂部は、岩稜とルンゼの向こうに見え、どのみちこのまま登っても、そこへは却って遠くなりそうな状況にも思えるので、下の沢まで一旦戻ることにした。かなり急峻な登りにここまで喘いできただけに、戻ることはもう五里山に登ることを断念する気分に近かった。

尖峰を見せる五里山三角点峰に向かうには、隣にある3つの1700m台のピークを持つ岩混じりの山との鞍部に突き上げる広い沢を詰めるのが本当のルートらしかった。ハッキリとした赤テープを確認して、今度は沢を詰める。水流も無い急な沢には、やはり道なんか無かった。ますます、足場も悪くずり落ちてしまいそうな急な沢をやっとの思いで詰めて、ようやく小広い鞍部に登りついた。

鞍部からは、五里山の恐ろしく急な斜面を這い登って、痩せた岩稜に登り上げた。岩稜を少し先に進むと、雑木がびっしりと囲む全く眺めもない山頂に2時丁度に着いた。何と林道入口を出発してから2時間近くも掛かった訳だ。登りなおしたロスタイムは大きかった。そんな大変な思いをして登って来たにしては、三等三角点こそあれど、余りにも地味な山頂だ。消えかけた山名板が付いていたが、そこには『向山』と書かれている。五里山の別名なのだろうか?地元の名前が向山で、地図の名前が五里山なのかなあ?木々の切れ間から、真下に金山山荘が見下ろせた。遠目には木々に隠れて分からないが、この山はあちこちに岩場が多く、山頂部も岩稜のナイフエッジになっている。落ちたらオシマイという緊張感のある山だった。

2時20分に五里山を下る。鞍部まで転げ落ちそうな急斜面をずり下り。鞍部からも滑り易い急な沢を下って二重にある堰堤に降りる。登り出しとは全く違う林道のかなり手前に降りた。登り終わってもルートは良く掴めなかった。3時丁度に車に戻った。駐車スペースには他に軽自動車が2台停まり、子連れの母親が小さな子供を沢の水流で水遊び?させていた。もう1台の方は若い女性2人が周辺を散策していた。山登りなんか、この山には滅多にやって来ないのだろう。見かけによらず、甘くない山だった。

帰りは増富ラジウム温泉(昔は鉱泉と言っていた)で入浴しようと思っていたが、日帰り温泉施設は車が一杯なので寄る気がしなくなる。あわや、ここでの入浴は断念かなと思いかけたが、某宗教団体の保養施設が「日帰り入浴はじめました500円」の幟を見つけ、そこに入る。宗教団体とは何の関係も無いが、無論言うまでもなく誰でも入れるということだ。浴場は狭くて湯船も小さかったが、掛け流しの湯船には鉄さびみたいな臭いの湯がとうとうと注がれていた。先客が一人だけ居たが、直ぐに出て行ってしまったので、貸切になった。最後の山でかなり疲れてしまったが、貸切温泉で大満足。いい気分だった。

帰りは佐久で少し渋滞したが、後はほぼ順調に走り、群馬に入って富岡で夕飯を食べて帰路に着いた。地味な4山のハシゴであったが、展望もお天気も最高で、思いがけない難峰の五里山も変化があり、最後は温泉貸切で印象に残る山歩きであった。

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2 コメント

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鷹見岩は展望がいいのですね (ノラ)
2011-09-22 21:54:38
あさぎまだらさん こんばんは。久しぶりの山歩きは堪能されたようでなによりでした。鷹見岩は大展望ですね。私もストックに入れて,忘れてしまいそうですが。五里山は厳しそうですが,あさぎまだらさん的には一番充実した山歩きのように見受けられました。明日から3連休でアルプスですか?天気が続く事をお祈り申し上げます。今日は午後から雨が降ったりしてへんな天候でした。私はまだ明日は出勤でやっと土日休みに戻ります。今年の夏は暑さと天候不順が交互にやってきてくたびれました。
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この夏は振り回されました (あさぎまだら)
2011-09-22 22:24:18
ノラさん今晩は。
明日はお仕事ですか、ご苦労様です。おっしゃるとおり、この夏は天候不順と台風で振り回されました。災害の博覧会といった年です。
ようやく、明日から夏休みの休暇のおまけも付けて、北アルプスに行こうと思っています。多分混むんでしょうが、まあ仕方ないと思っています。山に行けるだけで満足です。もう紅葉が始まっているでしょうね。
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