今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・三ノ宿山、大木戸山、丸山、六郎地山

2008年11月25日 | 山登りの記録 2008
平成20年11月23日(日)
三ノ宿山1,229m 大木戸山1,286.6m 丸山1,242m 六郎地山1,097.1m

 平年より寒い日が続いた。県境方面や高い山は、みな雪が積もっている。気軽に出かけられる所も少なくなった。3連休ということだが、最終日は雨の予報。家の用事がある土曜はダメなので、日曜に山に行くことにした。当然、土曜の夜に家を出た。

 いつも日光方面や、会津方面に出かける時に通るR122の日足トンネル。行き帰りにその上に並んでいる雑木の山並みを眺めて、いつか登ろうと思っていたが、なかなか足が向かなかった。今年こそ、と春先から思っていたが、もうすっかり晩秋。むしろ、これらの山々に登るのはこの時期が静かでいいだろう。ハイキングコースがあるとはいえ、特徴もない薮山で眺めも良くない。ただ、春のツツジの時期だけは人が賑やかに訪れる。そんな山域だ。

 足尾山地(安蘇山塊とも…)とは粕尾峠で区分され、R122の東側、古峰ヶ原から北に日光の鳴虫山辺りまでの山域は前日光と定義されているようだ。前日光県立自然公園という栃木県で指定した自然公園の名前から、そう呼ばれているのだろう。古峰ヶ原周辺や、3つ並んでこの山域の中心といえる、薬師・地蔵・夕日の三山は随分昔に登った事があるが、最近はご無沙汰。家から近い山域とはいえ、まだ登っていない山が沢山あった。今回は、日足トンネルの真上に当たる、三ノ宿山から大木戸山・丸山と、東大芦川(日光沢)を挟んで向かい合う六郎地山を歩いてみようと思った。『栃木の山紀行』さんのhpを参考にさせて頂いた。

 土曜の夜に家を出た。とは言え、近いところなので1時間ちょっとで着いてしまった。日光の『やしおの湯』の奥から林道(基幹林道前日光線・河原小屋三の宿線)に入る。つい最近まで途中が崩落して不通だった林道だが、今は全線開通している。滝ヶ原峠で小来川に下る旧和の代線(現県道)と別れ、山の中腹を縫うようにして着いた所が三の宿峠で、切り通しの先に駐車スペースがあった。この切り通し脇から上に登る様だ。満天の星空で、翌日の予報は曇りに傾いてはいるが、何とか晴れそうだ。6時にアラームをセットしてシュラフに潜った。

 6時に起きたけれど、まだ余り明るくない。今日のコースはそんなに早出をする事もないだろう…で、また少し寝て6時半に起きた。パンを食べて、身支度を済ませて7時に出発する。切り通しの西側、鹿沼寄りの検地ブロックの上から玉むすびの細引きと、なんと電気コードがぶら下がっていた。そこから薮を少し上がると、踏跡が低い笹を一直線に登っていた。しばらくは壁のような急な上りだった。滑って落ちたら、下の切り通しまで落っこちてしまいそうなくらい。

 杉の植林の縁を通る。相変わらず上りは急だ。南の樹間から、六郎地山が朝日を背後から受けてシルエットになって見えている。行く手の三ノ宿山から南に続く山並みにピラミダルに聳えて見えるのは、この山塊の主峰夕日岳だった。北側には鳴虫山や雪を頂いた女峰山が見えるようになってくる。急な上りも一段落し、低い笹の向こうにこんもりした山が現れる。これが三ノ宿山らしい。

 稜線に登り着くと、木々の間から雪の付いた男体山が姿を現した。そこは三叉路になっていて、右手に落葉松の感じの良い笹原を少しで、展望のない三ノ宿山の山頂だった。7時56分着。山部さんの山名板がリョウブの木にぶら下がっていた。他にも栃木の山紀行さんのや、RKと書かれたもの、だいぶ疲れた達筆名板なんかがある。頂上は平らで広い落葉松に囲まれた笹の原。北側からしっかりした登山道が上ってきている。『日光和の代やしおの湯→』と書かれた小さなプレートがあった。

 昨日の様な風は吹いていないが、まだ冬型のままの様で、樹林越しに男体山の左手奥、日光白根方面は雪雲が雲堤になり、真っ白い山の一部がその下に見えている。時々冷たい風が音を立てて強く吹く。その時ばかりは寒くなるが、風のない時は余り寒さを感じない。

 8時丁度に三ノ宿山から大木戸山に向かう。三叉路を南に辿ると、直ぐに急な下りになった。下り着いた笹が美しい鞍部には、南北に向かい合うように2つの石祠があった。南側の祠の中には合掌したお坊さんの様な石仏が鎮座していた。ここから細尾の大木戸方面には、はっきりした踏跡が下っている、細尾方面からも大木戸山に登る道があるのかも知れない。

 向かう大木戸山の北面山頂付近は笹原になっていて、白いポールが沢山立っていた。これはシカに食害された植生を回復させる為に、植林した苗木を保護するものらしい。足尾の赤倉山付近でも、山の斜面一面にこれが施された所を見た。

 大木戸山まではかなりの急登だった。稜線の鹿沼側は有刺鉄線が張られていた。大木戸山の山頂部に着くと道は右手に折れ、しばらく進んだ山頂直下(植林地の上部)から北面に大きく展望がある。女峰山が正面からすっきりと眺められる。雪を頂いた女峰山は、西の帝釈山から東の赤薙山までずらっと並んで素晴らしい。下には日光清滝の街並みが広がり、古河電工の工場が目に付く。女峰山の西には高原山が聳え、間にある大笹山・夫婦山・月山などの小山が見える。その向こうの県境方面は雪雲が迫っていた。直ぐ上が、笹とナラの樹林に囲まれた大木戸山頂だった。8時50分大木戸山頂着。融け残った雪が少しあった。

 三等三角点と、周囲のナラの木に栃木の山紀行さんの山名板・達筆名板などが見られた。9時に大木戸山からやや西に向かって稜線を進む。少し下った鞍部の南側も笹原になって植林された木が見られた。この辺りにも有刺鉄線が張られている。下の大芦川本沢の方から鉄砲の音がしていた。本沢を挟んで向かい合う夕日岳が、背後から陽を浴びてシルエットになり、ことのほか立派で、この辺りの主峰という貫禄を見せている。細尾側の薄暗い杉の斜面を、メスジカが逃げていった。鉄砲の音が山峡に木霊しているので、山の動物たちもおどおどしている様だ。銃猟はまだ始まっていないが、そんな危険な気配を彼らも感じているのだろう。

 大木戸山から丸山までは緩い上下で、落ち葉と低い笹のコントラストが美しく、感じの良い丸山の山頂に9時27分に着いた。丸山山頂は小広く休むには良いところだが、残念ながらここも樹林に囲まれて展望は良くない。樹間から男体山が大きく見えた。やはり、日光白根方面は低い雪雲に隠れていた。ミズナラの木に栃木の山紀行さんのプレートが付いていた。

 さっそく、ここで湯を沸かし、カップラーメンを作る。まだ、9時半。朝食のパンと、さっき食べた豆大福で昼前から食べてばかりだ。

 誰もやってこない静かな山だが、遠くで時折鳴る鉄砲の音だけがちょっと気になる。10時4分に丸山から引き返す。大木戸山・三ノ宿山と登り返し、三の宿峠に急降下。ここの下りでサルの群れに遭遇。大きな雄ザルが直ぐ側で平然を装い威嚇してきた。ストックを振り上げて威嚇し返したら、驚いて逃げていった。サルと勝負してもしょうがないけど…。11時52分に三ノ宿峠の切り通しに戻ってくる。

 さて、次は向かいの六郎地山だ。六郎地山へは、反対側の切り通しの日光側を少し巻いてこの上の稜線に上がり、973mピークに上りあげるとある。切り通しの日光側に回ると、そこにテープがあり踏跡が続いている。沢を大きく巻くように、いいかげん北側に伐採作業の道らしい踏跡を行くと、973mピークの裏側からこのピークへ上っていく踏跡が繋がる。それを詰めると973mピークに着いた。

 ちょっと下って、下を見たら切り通しの直ぐ上で、車が小さく見えていた。随分大回りをするもんだなと思ったが、この稜線の切り通し付近から西側は、がらがらした岩場の沢がくい込んでいるから、それを巻いて登る様になっているみたい。ところが、帰りはここの巻き道を北の沢に下り過ぎて迷ってしまった。注意すれば、稜線伝いに下った方が安全かも知れない。

 稜線はナラなどの雑木が続き、こちらも眺めは良くない。午前中に登った三ノ宿山と大木戸山を樹間に眺めながら歩いた。六郎地山より高い1,101mピークを越え、130mばかり下って再び上り返したところから、結構頂上までは長かった。2,3のピークにだまされて、13時26分に六郎地山頂に着いた。ここも樹林の中で眺めは良くなかった。木々を透かして、午後の傾いた陽に、ますます夕日岳は大きく立派だった。六郎地山の頂上には三等三角点と山部さん、栃木の山紀行さんのプレートがあった。もう一つSHCと書かれた山名板が付いていたが、こちらは割れて落ちそうだった。

 今日はこのピークで打ち止め。この時期、もうこの時間では夕方に近い雰囲気だ。しばし、人の気配もしない静かな薮山の時間を満喫。14時に六郎地山を辞す。

 帰りは2回もルートミスをした。良い調子で六郎地山から1,101mピークの鞍部に下って行こうと思ったら、何となく様子がおかしい。六郎地山は南北に長いピークだが、その稜線なりに進んでしまうと、1,101mピークの鞍部へ下るルートを通り越してしまう。そのまま進めば岩場が出る沢に下ってしまう。杉の植林をトラバースして、やや東寄りに軌道修正。

 正規のルートは鞍部付近が岩混じりのやせ尾根(ナイフリッジ状)で繋がっている。この両側は深い沢がくい込んでいるから、このやせ尾根を通らないと1,101mピークには行けない。(後で烏が森さんの記録を見たら、同じ所でルートミスをしていたようだ。間違いやすい所なのだろう)

 少し薄暗くなってきて、山際には早くも夕暮れの気配が漂いはじめた。夕日岳や大木戸山の稜線にも赤みがかった陽が当たるようになってきた。ところが、1,101mピークから下った最後の973mピークの巻き道で、再びルートミス。沢の下部、水音が聞こえるくらいの所まで下りすぎてしまった。ここで、分かった時に登り返して戻れば良かったのだが…安易に沢をトラバースして、伐採跡の迷路みたいな斜面を右往左往するハメになり、足場の悪い枝沢で危うく転落しそうになった。思っていたより随分上に林道を確認して、再び斜面を強引に登り返し、どうにか元の巻き道に出て終了。16時丁度に車に戻った。

 初めから終わりまで、誰にも会わなかった。花の時期にはそこそこの人が訪れるこの山域も、晩秋は静かな山らしい。

 帰りは小来川に回り、小来川温泉の福寿荘という小さな旅館で入浴(入浴のみは500円)。こぢんまりした岩風呂だけで、露天風呂も無かったが、他に入浴している人もなく、全くの貸し切り状態で気分は最高。お湯の温度も丁度良く、あーあ良かったなあ。で、大変満足でした。

 しばらく温めていた山だったが、静かで滋味深い、まるで一昔前の山紀行随筆みたいな山歩きが楽しめた。こんな山歩きが、ぼく的にはお好みです。


=コースタイム=
三ノ宿峠7:00→7:56三ノ宿山8:00→8:50大木戸山9:01→9:27丸山10:04→大木戸山10:29→三ノ宿山11:16→11:52三ノ宿峠11:55→1,101mピーク12:50→13:26六郎地山14:00→1,101mピーク14:43→三ノ宿峠15:59(六郎地山の復路はルートミスで20分くらい遅い)

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3 コメント

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女峰の写真は見事ですね (ノラ)
2008-11-25 21:34:10
あさぎまだらさん こんばんは。毎回の写真は見事に撮れてますね。カメラに詳しくないので私はどこでも写るフジのF10を使ってます。相当暗くても写るので,よく飛んでしまって失敗するのですが。
今回行かれたルートでたぶん丸山までは行ってないので,いつか薬師から三の宿まで歩いてみたいと考えてます。安蘇山塊の茫洋としたところが気に入ってます。
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画像 (重鎮)
2008-11-25 22:35:34
たしかにノラさんのコメントの通り、画像がスキッとしています。
PLフィルターでも使ったような感じですが、どうなんでしょう。

ところで、この時期は日暮れとの競争になりますね。
ルートミスをしたときの心細さは、たとえようがありません。
こんな時は、土地勘があると違いますね。

これからは新雪か、日溜まりコースとなります。
やっぱり、日溜まりコースが良いかな。

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補正してます (あさぎまだら)
2008-11-25 23:12:02
ノラさん、重鎮さんこんばんは。
ご指摘の画像ですが、これは画像ソフトで少々コントラスト補正しました。でも、基本的にはオリジナルと余り変わりません。ソニーのα100の画像です。宣伝するつもりは無いですけど、このカメラはこういう色に仕上がります。それが気に入って買ったんですが…カメラとしては先に買ったオリンパスのE500の方が機械として優れています。やはりカメラメーカーはメカ的にはツボをきっちり押さえていますね。

ソニーのαは、透明感がある何とも言えない色彩が素敵だと思います。キャノンにもニコンにもこういう色合いは出せないでしょう。求めているモノが違うのでしょう。ということで、少々重いけど、持ち歩いています。

今回、凡ミスを2回しました。ルートミスしたときは
実は直ぐ気づくんですね。でも、つい面倒で基本を忘れた行動を取ると、それが最悪の場合遭難に繋がると思います。今回は、そんな大げさじゃないちょっとしたミスでしたが、矢張り『初心忘るべからず』ですね。傲りはイケナイです。

高くない山にも雪が来てしまいましたね。赤城山は中腹まで真っ白になりました。
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