Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

松倉のイワヤマツツジ

2009-04-25 20:26:43 | 農村環境


 国立信州高遠青少年自然の家へは高遠町藤沢川沿いから松倉川に沿って上ったところにある。かつての江戸への道である金沢峠道は同じように松倉川に沿って上る。ようは古い街道沿いということになる。この川に沿って上っていくのだが、実はこの松倉については昨年触れたことがある。昨年の冬に何度かここを訪れ、大きな雪だるま三兄弟にひかれたものだ。高遠の町から車で20分余走らないとこの地には入れない。旧藤沢村は藤沢川沿いでももっとも奥の村である。ところがこの松倉の集落へ入ると、いわゆる郊外であっても廃れ気味な山間の地という印象は薄い。きっとそこそこ若い人たちが同居している集落なのだろう。だからこそ雪だるま三兄弟を見ることができたのかもしれない。

 ほぼ1年ぶりにその松倉の集落に入った。松倉川沿いに集落へ入ると、やはり季節もあるのだろうが外で働いている人の姿を何人もうかがうことができる。少し集落を上って行くと対岸の川のほとりの岩場に妻の家にも咲いているイワツツジが何株も栄えるように咲いていた。妻の実家のあたりよりはほぼ一週間近くこちらの方が花期が遅いようで今が盛りである。そこからさらに集落はずれのあたりまで上っていくが、やはり山の中にイワツツジが点在して咲いている。わたしの住むところの近くの松川町生田あたりではもう二週間ほど前がその花の盛りであった。やはり岩場のあるような場所に点在して咲いている。まだ芽吹きの始まるころのイワツヅシの姿は、点在していても十二分に山の風景を楽しませてくれる。

 用事を足して松倉川を今度は下り始めると、眼前に見事なイワツツジの群落が視界に飛び込んできた。集落の対岸のやや高い位置の山肌にイワツツジが密集するように咲き誇っているのだ。下から上ってきたときにはまったく気がつかなかったのに、集落の上から下の方に視線をやると見事な花に気がつく。「これは」と思い、集落上に高遠青少年自然の家へ向かう広い道に上る。予想していたように集落の向こう側に見事な花を咲かせる姿が構成された。妻の家の群落の比ではない。2倍、いや3倍くらい広いだろうか。これだけ群落するには手をかけているのではないかと思い、道端で働いているおじいさんに声をかけた。「いつからこんなに咲くようになったのですか」と。おじいさんいわく「自分が青年団のころ点在して咲いていたツツジに手をかけるようになった」と言う。「青年団のころといえば、もう5、60年くらい前のことですか」と聞くと、「わたしはもう92になる」という。これもまたびっくりで、とてもそのようなお年には見えない。その当時から手をかけてきたのがここまでなったということなのだろう。今では青年の衆が手をかけるということはなく、区の役員など有志が管理しているという。ここではイワツツジとは言わずにイワヤマツツジというらしい。その名の通り「こい土のところでは増えない。岩場のあるようなところで増える」という。これほど見事に傾斜のきつい山肌に群落を見たのは初めてであって、感動ものであった。

 撮影 2009.4.24(伊那市高遠町藤沢松倉)
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