Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

桜咲く

2009-04-05 22:37:32 | つぶやき


 桜の季節である。例年になく早くに咲いているようだが、このところけっこう寒かったこともあって、「とても早い」というほどではない。飯田で開花宣言されてから、なかなかこのあたりまでやってこない。桜ほど近所であっても気候差ががあることを教えてくれるものはないのかもしれない。皆が注目するからそれを皆が感じるはずだ。そしてまた種類によってもずいぶんと咲き方に違いがある。桜好きの日本人は、あちこちに木を植えた。そしてそれほど長いときを待たなくとも、そこそこ見栄えのする姿になる。植えて間もない桜並木も、子どもが生まれて成人するころには人を呼ぶ桜の名所となる。

 妻の実家の裏山に久しぶりに入ってみた。尾根伝いに隣村に通じていた道は、今ではめったに人通りがないほど荒れ果てている。木がだいぶ混んでいるせいか、日が当たることは少ない。生えている木は多くは松であるが、ヒノキや杉も混ざる。尾根伝いの道をしばらく登ると、桜の木に出会う。周辺ではまだ早い桜なのだが、山の中に忽然と現れた桜は、満開とまではいかないものの、8分咲きを超えている。それにしても荒れ果てた感が否めない空間に、一点の花はわたしの足を向かせた。桜の木の下で天を仰ぐと、ちまたで人を寄せている桜にくらべれば、青空が花の向こうに背景として見えるほど、密度は薄い。正確にその花の種類を断定できるほど、わたしには知識はない。このあたりではヤマザクラは少し遅れて咲くものだからそれと判断しにくいのだが、咲いている場所から判断するとヤマザクラなのだろうか。8分咲きながら、すでに葉が見え始めている。満開のころには葉がしっかりと確認できるほどになりそうだ。

 人々が賑わう桜の木を訪れるほど余裕はないが、こんな具合に気のつかない場所に見つけた山の桜は、印象深い。3月の中ごろから始めた山作業が、この日ほぼ終了した。すでにヤマツツジのつぼみが赤くなり、間もなく咲きそうなものもある。なんとか咲く前に作業を終えることができた。日の沈むころに終了の安堵感をこんな具合に味わっていると、西山に風越山が浮かんでいた。手前にある峰には桜がやはり8分咲きくらいに咲いていてすでに日が陰っている。ようやく過ごしやすい日々を迎え、春は一段と実感の中にやってきている。間もなく我が家のあたりでも桜が咲くのだろう。

 撮影 2009/4/5 「風越山」
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