Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

生徒がいなくなる

2006-11-19 13:00:38 | ひとから学ぶ
 南信濃で遠山中、上村中、天龍中の3校が集まって交流マラソンが行なわれたという報道がされていた。小規模校同士で大人数の行事を体験しようというのがねらいだという。かつての遠山地域といわれるそれぞれの地域のうち、上村と南信濃村はなくなり今では飯田市である。そんな環境の中で、こうした山間地域がどう継続していくかは、子どもたちの数を見る限り不安ばかりだ。3校集まっても75名である。1学年平均12人余である。最も小さい上村中学は生徒数18名、天龍中学は20名と1学年平均が6人代である。下伊那郡内には、そうした小規模どころか最低限度に達していると思われる中学がいくつもある。なかには小中学校といって、小中を一緒にしている学校もある。

 複式学級になりかけている小学校があって、そういった学校では、そうした環境を回避すべく、よそからの子どもたちを誘導することもある。複式学級とは、小学校の規模があまりにも小さい場合、1学年1クラスでなく、2学年で1クラスにするという編成のことで、1年生を含む場合は、2学年合わせて7人から8人、それ以外だと15人くらいで複式学級を編成しているという。都道府県によって数値的には異なるかもしれないが、ほぼそのくらいの人数が目安になっているようだ。中学に複式があるのかどうか知らないが、いくらなんでも先のこと考えれば、数人という人数では現場としては心細い。場合によっては少人数の欠点を補うべく、大都市の学校と接点を持つ機会を得ているという話も聞くし、教育研究のためにそうした小規模校もあるという。しかし、子どもたちは研究題材ではない。山間の過疎のなかにある学校と、都会の小規模校では違う。

 どう考えてもいずれこの地域の学校には、自治体枠を越えた編成が必要とされてくる。事実、このごろ阿智村の学校へ清内路などの学校が統合できないかという検討もされている。もともと組合立の学校は存在してきたが、小規模になりすぎて自治体枠を越えて統合する、というケースはそう多くはなかったはずだ。そんな現実をみるかぎり、自治体の枠とは何か、とそんなことを考えさせられるわけだ。子どもたちの数はもちろん、人口の少ない地域が、「自立」といっていたとしても、いずれは立ち行かなくなることは予想される。それを何が悪いか、などといっていても仕方がないわけで、議論として将来の自らの住む地域をトータルに考えなくてはならないことは事実だ。地域は、そして村は、町は、どう生きてゆくのか、そんな将来を子どもたちの環境に見出してゆかなくてはならないと思うのだが、どうも子どもたちの環境は後回しにされているようで仕方がない。その現れが、子どもたちをとりまく多様な問題である。教育基本法などを改正しても、そんな問題は解消できないし、むしろ子どもたちの環境が大人たちへ問題を投げかけている事実をみて、大人たちが何かを悟らなくてはならないのではないだろうか。どこか子どもたちに大人世界の問題を転嫁しているようで仕方ない。
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