Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

郡総合展覧会から

2006-11-06 08:21:15 | ひとから学ぶ
 下伊那地域の小中学生の理科や社会、国語などさまざまな教科にかかわる作品が集められた展覧会が、毎年行なわれている。今年もこの5日から7日まで開かれている。よその郡ではやっていない催しだということも聞くが、いまだに下伊那では続いている。しかし、長年見ていて思うのは、参加作品が減っているという印象である。昨年は理科や社会の作品を見て回る時間がなかったのでわからないのだが、数年前に比較すると明らかに展示数が少ないという感じがした。夏休みを中心とした1人1研究の延長上にあるこの作品展は、下伊那郡下の各学校から選ばれたものが並んでいるから、夏休みの一課題をやるには参考になる展示である。この展覧会をもとに来年の課題の参考にしようというような子どもは限られるのかもしれないが、多くの子どもたちの作品を見て、視点のおきどころを学ぶことができるような気がする。

 息子は小学一年のときから意欲的に郡展に出品することを意識してきた。とくに一研究の理科作品に力を注いだ。とはいうものの、やはりというか、おじさんが理科の教員だということで、かなりおじさんの力を借りたことは確かだ。そんなこともあって、最後の郡展まで毎年お世話になることができた。それはそれで、親としても見に行く楽しみとなったわけであるが、それよりもわたしにはさまざまな課題を展開してくれる子どもたちの作品を見ることの方が、行く楽しみとなっていった。子どもたち以上に、大人が見て楽しいものだとわたしには思うのだが、そんな気持ちで見に来る人たちはいないかもしれない。かつて、『伊那』(伊那史学会発行)誌上にこうした郡展の作品をもっと多くの人たちに閲覧できる機会をもって欲しい、というようなことを投稿したことがあるが、そう思う源には、大人でもなかなかこうした視点でものを捉えて、さらにそれを調べてみるということはなかなかできないことへの提言のつもりもあった。自分たちにはできないから、子どもたちの視点を借りて「自分ならこう思う」という場を持って欲しいわけだ。

 そんななかで社会、あるいは総合の作品に、わたしにはとくに興味がある。数は少ないがそうした作品から楽しい視点を与えられている。そんな視点を、今日一度では触れられないので、何回か触れてみたい。そんなひとつとして、「交差点のモラル」という作品について触れる。総合の作品として展示してあったのだが、停止線、いわゆる「止まれ」マークで運転手がしっかり止まっているか、ということを調べたものだ。8月1日午後5時半からの1時、阿智村消防第1分団前の交差点で観察したものである。82台の車のうち、停止した車8台、停止しなかった車74台という。ご存知の通り、停止とは徐行ではない。だから明確に停止した、というのを判断するのは第三者がもっともわかるのかもしれないが、それもまた絶対的な判断をするのは難しいかもしれない。そのへんについてはまとめの中で触れられていない。年代別、男女別のデータとしてグラブまとめているが、停止しない人の数が多いため、それぞれのグラフから認められる傾向があまり見えてこない。それも仕方ないことかもしれないが、課題の結果からだけみると、うまくまとめられない題材だったということになってしまうのかもしれない。しかし、まとめにもあるように「ほとんどの人が交通ルールを守っていない」ということを、子どもに知られてしまったということが、ここではポイントになるのだろう。やはり、ここからわかることは、一課題としての成果よりも、これが大人たちに何を語っているか、ということの示唆だと思うわけだ。それこそが大人たちが捉えなくてはならないことを、子どもたちに教えられたということになるわけだ。このまとめから、加えてどんなことが見えてくるか、そんなことを子どもたちに展開させていってほしいのだが、どうたろう。
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