Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

気温と出かける人の気持ち

2006-11-07 08:13:23 | ひとから学ぶ
 昨日に引き続いて郡総合展覧会の作品から得たものを書いてみよう。

 豊丘村の小学4年生の女の子が「気温と出かける人の気持ちの予想」というテーマでまとめていた。表題を見るととても興味深い印象がある。展覧会だから数多い作品の中から何にヒントを得るかといえば、表題とそこに表現されている雰囲気から目がとまったりする。この作品の表題とグラフにまとめられた「車の通行量」というキーワードから、すぐに気温と人々の行動パターンが思い浮かんだ。①人々が行動する時間はどんな時間なのか、②それが気温と関係するのか、③上下方向で違いがあるのか、④その時天気はどうなのか、⑤どんな車が多かったのか、⑥性別で違うのか、などさまざまな視点がわいてくる。とくに表題にあるような気温と行動がどう関係しているのか、というのは誰でも考えることかもしれないが、意外にもそんなことを現実の数字として調べる機会はないだろう。

 この作品の表題を見て、足を止めたのはわたしばかりではない。「気温と出かける人の気持ち」という部分に、けっこう多くの人が関心を示していた。残念ながらその表題から想像されたものと内容は若干異なっていて、気温と行動パターンは結果からはあまり見出すことはできていない。なぜそうなってしまったかといえば、8月15日から8月18日までの連続4日という調査日数にあったかもしれない。気温というキーワードで捉えるのならば、明らかに気温と行動に変化が現れる日を選択する必要があったかもしれない。そうしないと結果が同じようなものとなってしまう。時間帯で通行台数が異なるのは、気温との関連よりも違った意味があったりする。通勤時間帯に多いことはもちろんだし、田舎の道ともなれば、日中は減少することはだいたい予想がつく。当たり前のことが立証されるということも必要だが、表題の意図からいったら、やはり温度差というものが前面に出てきてほしいし、そういう結果があってほしいわけだ。

 とはいえ、ひとのやった成果であって何もしないわたしが批判するものではないが、そんな視点があればなお面白いという期待でもある。どうも彼女は、調べた結果を見ながら自分ならこうではないか、という「予想」をしたかったわけだ。視点としては面白いもので、前述した①から⑥のほかにもいろいろな見方ができるのかもしれない。加えて調査箇所を変えるとどうなのか、季節が異なるとどうなのかという見方もある。

 先日中条村での雑談から出た話にこんな話題があった。朝は何時から野に出るか、昼休みを何時までとるか、というようなものである。1日の中での仕事時間というものが、同じ村内でも地域によって異なるということである。昼になると3時くらいまで休みをとる地域もあれば、1時には仕事を始める地域もある。最近わたしが頻繁に訪れている同村のある地域は、昼休みどころか、午後12時から1時の間にも畑に働く人の姿がみえたりする。妻の実家のある周辺では、昼食後すぐに農機具の音を立てることは控えるように言われる。だから午後の始まりは遅いのである。というように、山間の農村地帯でも、時間の使い方がずいぶん違うことに気がつく。休んでいるときに働くというのは、本来なら嫌われるものなのだろうが、時代は変わってそんなことはお構いなしという人も増えた。まわりのことを気にするということは、けして悪いことではない。
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