もっちぃーの宮崎暮らし

宮崎在住の私が、焼酎を飲みながら気ままにやってます(旧「もっちぃーの焼酎ぶろぐ」をリニューアル)。

長期熟成(その4)

2008-05-02 00:29:17 | 旧「もっちぃーの焼酎ぶろぐ」
だいぶ間が空いてしまいましたが、長期熟成についての続き。

まず、アルコールと水の混和について。

よく言われていることですが、長期熟成により水とアルコールが混ざり合い、
まろやかさが増すというもの。
焼酎の「前割り」もこれを利用したものですね。
これは実際に自分の舌でも感じることのできる変化ですから、私も賛同できる
効果といえますね。

そもそも、アルコールは非常に他の液体と混ざりやすい物質です。

ただ単に「混ざる」というのではなくて、確かに分子レベルでの「混和」が起きて
いるのだそうです。
その証拠に、水とアルコールを混ぜると、もとの液体の合計よりも体積が少し減る
ということもよく知られていますね。

また、蒸留するときでも、アルコールと水が別々に上がってくるのではなくて、
ある程度混和した状態で一緒に蒸留されます(これを「共沸」といいます)。
沸点の低いアルコールが気化するときに、まだ沸点に達していない水の分子も
一緒に連れて行くという現象です。

それくらい水とアルコールは混和しやすい物質だということですね。

そうすると、そこまで混和しやすい物質であるならば、例えば2、3日の前割りで
焼酎が十分まろやかになることを考えると、数年も寝かす「長期」の熟成の必要
まではないんじゃないかと思うのですよ。
もちろんこれは素人の感覚的なものであって、どれくらい置いたらどれくらい混和
が進むのかという根拠データがある訳じゃないんですけど、混和のためだけに
長期置くのだとすると、ちょっと効果に疑問がある気がします。


さて、最後に焼酎の劣化について。

皆さんも経験されたことがあると思うのですが、焼酎を一度開封すると、香りが
少しずつ飛んでいきますよね。特に華やかな香りの紫芋系の焼酎だと、それが
よく分かると思います。
また、アルコールも揮発性ですから、少し飛んでしまい度数が下がっているかも
しれません。
そして、旨み成分に関しても、酸化により多少の劣化が考えられます。

その結果、どうなるのか。

香りも弱く、アルコールきつくもなく、味も薄めの……、
つまりは「飲みやすい」焼酎が出来上がってしまいますよね……。

そして「飲みやすさ」を「熟成されて旨くなった」と勘違いしている部分も多々
あるではないかと。

特定の銘柄を出して恐縮ですが、以前「川越1972」を飲んだときに思ったこと。
あまりにも透明な水に近くなったようで、芋の香りや旨みを感じられなかったん
ですよ。本当にさらさらとしたやわらかい水なんですが、やわらかすぎて何も
引っかからない。芋焼酎には感じられませんでした。
残っていたのは、米焼酎に似た蜜っぽい甘さだけでした。
(バカ舌ゆえの評価なので、違う感覚の方にはスイマセン。)

これを受けての私の結論としては、芋焼酎の香りや旨みというのは、長期熟成に
より若干のプラスの変化があるのかもしれないけれど、よい意味での「クセ」に
関しては、マイナスの方が大きいのではないかと。
やりすぎもよくないな、と。
一方、米焼酎のような甘さはちゃんと残っていたので、米焼酎である泡盛なら
長期熟成への期待もあっていいのかなとも思いました。

考えてみれば、芋焼酎は、蒸留してすぐに(若干のガス抜きをしたら)飲めると
いう優れた蒸留酒であり、芋の華やかな香りが特徴です。
例えば同じ蒸留酒でもウイスキーは、蒸留したては味、香りともに飲めたもの
ではないそうで、樽貯蔵により味を落ち着かせ、風味を添加させることで
ようやく完成します。

そういった「長期貯蔵しないと飲めない」ものと「すぐに飲めて華やかさを楽しむ」
ものとの、そもそもの成り立ちの違いを考えると、長期熟成に対する考え方も
変わってくるんじゃないかと思います。
「長期熟成」という言葉はカッコいいですが、それが適した場合であるのかの
判断が、なにより大切なのではないかと。


長くなったので、まとめを書いておきますと、
・空気に触れることでよいことは少ないように思う。呼吸する生物はいないし、
 劣化しやすくなるし。
・だから通気性のある甕貯蔵はあまりよくないんじゃないかと思う
・瓶で熟成するにしても、微量の旨み成分の変化に賭けるしかないのだが、
 その効果についてはよく分からない。
・水とアルコールの結合については効果があるものの、それほど長期の貯蔵は
 必要ないのではないか。
・それでも長期貯蔵に賭けるなら、やりすぎないようほどほどに。
といった感じでしょうか?

ということで、
できたての焼酎はさすがにガス臭がするのでしばらく空気に触れさせ、
割り水したら瓶詰めして空気から遮断し、
混和するまで若干待ち(長期は不要)、
開栓したらそれなりの期間で飲んでしまう、
というのが一番旨いのかもしれません。

それって、いつも飲んでるいつもの焼酎ということになりますね…(w。


以上、全て私の勝手な独断によるものです。
単なるお遊びの読み物として理解していただければと思います。。。。。