私と歳が同じの企業リスクやコンプライアンスが専門の國廣 正 弁護士の
国内外の最新のコンプライアンス事案、組織におけるリスク管理のあり方、
経営幹部が果たすべき役割についての講演を聴きました。
話の内容が具体的で、かつはっきりとご自身の考えを述べられ、とても参考になりました。
講演を聴いていて、昔のブログの記事を思い出しました。
・誠実な経営(Integrity Management) - KOfyの「倍行く」人生 2013年12月12日
・新入社員へのトップの言葉 - KOfyの「倍行く」人生 2009年5月12日
<國廣 正 弁護士の略歴>
1955年大分県生まれ。東京大学法学部卒業。1986年に弁護士登録。
86年から90年まで、那須弘平弁護士(2006~2012年:最高裁判事)の事務所に勤務し、訴訟事件を中心に業務を行う。
90年から92年にかけて渡米しニューヨークの法律事務所で研修。
帰国後、国際業務を専門に扱う法律事務所の勤務を経て94年1月に國廣法律事務所(現国広総合法律事務所)を開設。
1999年~2000年 第二東京弁護士会、民事介入暴力被害者救済センター副委員長
2004年4月~ 内閣府顧問(法令遵守対応室法令顧問)
2006年6月~ 積水化学工業(株)社外監査役
2007年3月~ 内閣官房顧問(内閣総務官室法令遵守顧問)
2007年6月~ 東京海上日動火災保険(株)社外取締役
2009年12月~ 消費者庁顧問(法令遵守調査室法令顧問)
2012年6月~ 三菱商事(株)社外監査役
■講演会でのキーワード
・「企業は危機的状況において、弁護士の法律意見・解釈にしがみついてはいけない。」
世の中の常識や社会的要請から離れてしまってはいけない。
現に、パロマの事件以後「消費性格安全法」ができ、法的不備を改善した。
・コンプライアンスとは、「企業に対する社会的要請」を「想定する」ことである。
世の中の常識に従うことが大事。
・みずほ銀行事件(オリコの反社勢力への自動車ローン)問題だった点は、
結果として反社勢力に利益をもたらすとアウト!で、世の中は「断絶」を求めていることへの理解不足
記者会見前に、あらゆる事実を確認する努力を怠った
世の中の要請を理解することなく、表面的な対応に終始した
・世の中の要請の根本を理解しなければ、モグラ叩きの危機管理に陥る危険性がある。
・「コンプラ力」とは、何が世の中から求められているかを把握するセンス
「コンプラ力」とは、過去当然のこととしてやっていた過ちからの「断絶力」
「コンプラ力」とは、リスク管理能力
「コンプラ力」とは、まじめに隠さずやり抜く力
・最近の多くの不祥事は子会社や関連会社で発生し、それが親会社を直撃するパターン
目の届きにくいところで、問題が起こりやすいのは道理
本社の網羅的アプローチ(幕の内弁当)でなく、子会社ではリスクベースアプローチ(海苔弁当)
最低限、グループ企業のベースになる課題を選択し、検討する。(上記の例示の「ごはん」にあたるもの)
・日本型企業の不祥事の特徴は、「先送り」、「不作為」その結果「隠ぺい」、内部告発などで「発覚」→「破滅」
・「二発目轟沈の原則」経営者が原因発生を主導したわけでないが、不作為や隠ぺいなどの対応で問題を大きくする。
・リスク管理は、「リスクをゼロにする」ことでなく、「時代や社会の要請を知る力や想定する力」
・「あってはならない」は不合理な精神論で、隠ぺいを促してしまう。
「あるかも知れない」で備えることが大事。
・コンプラは「知識」より「意識」、ものさしは「そのことを家族に話せる内容か?」
・コンプライアンスは、「おてんとさまが見ている」と意識すること。
・隠ぺいに「時効」はない、「公表しないこと」が隠ぺいと評価されてしまう時代。
・「隠す」とネタが多くなり、連続報道、スクープ合戦で、「報道を1回で終わらせる」ことができない。
・リスク管理能力(消費者や社会から見た安定感、安心感)とコンプライアンス力(費者や社会から見た信用、信頼)は
コーポレートブランド力を高め、企業価値を持続的に高めることができる。
・「やらされ感のコンプライアンス」から「元気の出るコンプライアンス」へ変貌させていく必要がある。
■國廣 正 弁護士の論考
から、一部を抜粋要約しました。
【マイナス情報を自ら示せ】(抜粋)朝日新聞 2007.03.03
企業不祥事が多発しているが、これは最近になって急に企業が悪いことを始めたからではない。談合も粉飾決算も昔の方がひどかった。ただ社会が大目に見てくれたり隠し通せたりしたに過ぎない。
企業は、この劇的ともいえる社会の変化を理解し、時代に合った不祥事防止=リスク管理を実行しなければならない。「最近はうるさくなった」という程度の意識では、新しい現実に対応できない。
旧態依然の典型例が「この度は、あってはならないことを起こしてしまい……」という決まり文句である。
不正や事故を起こした企業に求められるのは土下座することではない。原因となる事実関係と再発防止策を速やかに公表して、社会に対する説明責任を果たすことである。
「あってはならない」式の対応からは、頭を下げて嵐の過ぎ去るのを待つ姿勢が見えるだけだ。これでは危機を乗り越えられない。
「あってはならない」の精神論は重大な判断ミスを招くことも多い。食品会社で消費期限切れの牛乳使用が判明しても、これは「あってはならないこと」なので「なかったこと」にするが、後日、隠蔽が発覚して致命傷になる、というパターンである。
リスク管理は不正をゼロにするという実現不能の精神論ではない。企業はもちろん官公庁、報道機関、どんな組織でも間違いは起きる。これを前提に、不正を「より少なく小さく」するのが合理的なリスク管理である。
企業は自ら把握したマイナス情報を自発的に公表することで自浄作用能力を示すこともできる。製品事故が発生した場合、消費者の安全を優先的に考えて自社 に法的責任があるかどうかにかかわらず誠実に危険性を開示する企業と、法的責任やイメージ低下を恐れて公表を渋る企業のどちらが消費者の信頼を獲得できる かは一目瞭然である。
消費者や報道機関も「あってはならない」の精神論を捨てて、マイナス情報を開示する企業を正当に評価すべきだ。
企業に自発的なマイナス情報開示を促すことは、社会に存在する「目に見えない危険」の総量を減少させることでもある。したがって、消費者が正直な企業を高く評価することは消費者自身の利益にもつながるのである。
【法令の順守はリスク管理】(抜粋)朝日新聞 2006.02.11
経営陣には法規制が単なる足かせとしか映っていなかった。「後発の新参者が、きれいごとだけでやっていられるか。多少のルール違反は構わない」という意識があったのではないか。社長が記者会見で「スピード違反」を引き合いに出した発言は、そのような「本音」の表れだろう。
経営者には、自分の会社が社会からどう見られているか、という観点から経営上のリスクを認識することが求められる。企業活動の公正さや高齢化対応への社会一般の意識が高まっているのに、これを無視する法令違反が致命傷になりかねないという認識が欠けていた。
コンプライアンスとは、法令の文言だけでなく、その精神、目的は何かを考えて行動することであるが、これは単なる商道徳の問題ではなく、経営上のリスク管理であり、経済合理性に裏付けられた行動である。 また、長い目で見れば、消費者の信頼やブランド価値の向上にもつながる。コンプライアンスの本質を理解して持続的な成長をめざすか、近視眼的に利益のみを追求するかは、経営者の能力を決める重要な要素である。
【誠実な企業 ほめる社会に】(抜粋)朝日新聞 2003.02.08
私は「元気の出るコンプライアンス」を提唱したい。企業が利益の独得を目指す以上、コンプライアンスによる「正しい企業行動」には経済合理性の裏付けが必要だ。そのカギは「社会的責任」と「誠実さ」である。
企業の「社会的責任」は環境保護、障害者との共生、男女平等など様々だ。これらは企業活動の本筋とは別の慈善活動とされがちだが、実は経済合理性と締びつけることができる。
経営者は「社会的責任」を競争力に結びつける戦略を考えるべきだ。企業は得意分野で積極的に「社会的責任」を果たし、そのアピールで自らを差別化できる。また「社会的責任」の実行は担当社員に会社を外の目で見る機会を与え、社員の創造性、批判精神を育てる。それは企業の競争力向上にもつながる。
「誠実さ」を企業ブランドに結びつけることも重要だ。ブランド力は商品の質やイメージだけではなく、企業の「誠実さ」に対する社会の信頼を基盤に成り立つのである。
「誠実さ」は危機管理の要でもある。間違いを犯したとき、事実を隠さずに原因を究明し再発防止に立ち向かう企業こそが生き残れる。おわびの記者会見のハウツーを伝授する「危機管理ビジネス」が繁盛しているそうだが、社長の頭を下げる角度は危機管理の本質ではない。
消費者やマスコミの役割も大きい。日本特有の「どんなミスもあってはならない」という精神主義は、企業を委縮させて正直な行動のタイミングを遅らせ、企業不信を増幅させる。過剰反応による行き過ぎた製品回収は環境にもマイナスだ。この「負のスパイラル」を脱するには「間違いに誠実に対処しているか」を基準にして、事後の改善ぶりも正当に評価する姿勢が欠かせない。「褒める姿勢」は企業を元気にし、社会全体にも利益をもたらす。
不況だから背に腹は代えられないと考えるか、不況だからこそコンプライアンスを経済再生のテコにするのか。企業の力量と社会の成熟度が試されている。
■参考サイト
・企業の危機管理とコンプライアンス経営」~企業不祥事をなくすために必要なこと~
・RIETI - 企業のリスク管理とコンプライアンスの実務食品偽装から財政不正まで―危機管理の現場から―
・弁護士列伝 - 学生が直撃インタビュー! 弁護士ドットコム<国広総合法律事務所 國廣正先生>
・第三者委ガイドラインを作った久保利、國廣、斉藤の3弁護士に聞く - 法と経済のジャーナル Asahi Judiciary
・「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」
国内外の最新のコンプライアンス事案、組織におけるリスク管理のあり方、
経営幹部が果たすべき役割についての講演を聴きました。
話の内容が具体的で、かつはっきりとご自身の考えを述べられ、とても参考になりました。
講演を聴いていて、昔のブログの記事を思い出しました。
・誠実な経営(Integrity Management) - KOfyの「倍行く」人生 2013年12月12日
・新入社員へのトップの言葉 - KOfyの「倍行く」人生 2009年5月12日
<國廣 正 弁護士の略歴>
1955年大分県生まれ。東京大学法学部卒業。1986年に弁護士登録。
86年から90年まで、那須弘平弁護士(2006~2012年:最高裁判事)の事務所に勤務し、訴訟事件を中心に業務を行う。
90年から92年にかけて渡米しニューヨークの法律事務所で研修。
帰国後、国際業務を専門に扱う法律事務所の勤務を経て94年1月に國廣法律事務所(現国広総合法律事務所)を開設。
1999年~2000年 第二東京弁護士会、民事介入暴力被害者救済センター副委員長
2004年4月~ 内閣府顧問(法令遵守対応室法令顧問)
2006年6月~ 積水化学工業(株)社外監査役
2007年3月~ 内閣官房顧問(内閣総務官室法令遵守顧問)
2007年6月~ 東京海上日動火災保険(株)社外取締役
2009年12月~ 消費者庁顧問(法令遵守調査室法令顧問)
2012年6月~ 三菱商事(株)社外監査役
■講演会でのキーワード
・「企業は危機的状況において、弁護士の法律意見・解釈にしがみついてはいけない。」
世の中の常識や社会的要請から離れてしまってはいけない。
現に、パロマの事件以後「消費性格安全法」ができ、法的不備を改善した。
・コンプライアンスとは、「企業に対する社会的要請」を「想定する」ことである。
世の中の常識に従うことが大事。
・みずほ銀行事件(オリコの反社勢力への自動車ローン)問題だった点は、
結果として反社勢力に利益をもたらすとアウト!で、世の中は「断絶」を求めていることへの理解不足
記者会見前に、あらゆる事実を確認する努力を怠った
世の中の要請を理解することなく、表面的な対応に終始した
・世の中の要請の根本を理解しなければ、モグラ叩きの危機管理に陥る危険性がある。
・「コンプラ力」とは、何が世の中から求められているかを把握するセンス
「コンプラ力」とは、過去当然のこととしてやっていた過ちからの「断絶力」
「コンプラ力」とは、リスク管理能力
「コンプラ力」とは、まじめに隠さずやり抜く力
・最近の多くの不祥事は子会社や関連会社で発生し、それが親会社を直撃するパターン
目の届きにくいところで、問題が起こりやすいのは道理
本社の網羅的アプローチ(幕の内弁当)でなく、子会社ではリスクベースアプローチ(海苔弁当)
最低限、グループ企業のベースになる課題を選択し、検討する。(上記の例示の「ごはん」にあたるもの)
・日本型企業の不祥事の特徴は、「先送り」、「不作為」その結果「隠ぺい」、内部告発などで「発覚」→「破滅」
・「二発目轟沈の原則」経営者が原因発生を主導したわけでないが、不作為や隠ぺいなどの対応で問題を大きくする。
・リスク管理は、「リスクをゼロにする」ことでなく、「時代や社会の要請を知る力や想定する力」
・「あってはならない」は不合理な精神論で、隠ぺいを促してしまう。
「あるかも知れない」で備えることが大事。
・コンプラは「知識」より「意識」、ものさしは「そのことを家族に話せる内容か?」
・コンプライアンスは、「おてんとさまが見ている」と意識すること。
・隠ぺいに「時効」はない、「公表しないこと」が隠ぺいと評価されてしまう時代。
・「隠す」とネタが多くなり、連続報道、スクープ合戦で、「報道を1回で終わらせる」ことができない。
・リスク管理能力(消費者や社会から見た安定感、安心感)とコンプライアンス力(費者や社会から見た信用、信頼)は
コーポレートブランド力を高め、企業価値を持続的に高めることができる。
・「やらされ感のコンプライアンス」から「元気の出るコンプライアンス」へ変貌させていく必要がある。
■國廣 正 弁護士の論考
から、一部を抜粋要約しました。
【マイナス情報を自ら示せ】(抜粋)朝日新聞 2007.03.03
企業不祥事が多発しているが、これは最近になって急に企業が悪いことを始めたからではない。談合も粉飾決算も昔の方がひどかった。ただ社会が大目に見てくれたり隠し通せたりしたに過ぎない。
企業は、この劇的ともいえる社会の変化を理解し、時代に合った不祥事防止=リスク管理を実行しなければならない。「最近はうるさくなった」という程度の意識では、新しい現実に対応できない。
旧態依然の典型例が「この度は、あってはならないことを起こしてしまい……」という決まり文句である。
不正や事故を起こした企業に求められるのは土下座することではない。原因となる事実関係と再発防止策を速やかに公表して、社会に対する説明責任を果たすことである。
「あってはならない」式の対応からは、頭を下げて嵐の過ぎ去るのを待つ姿勢が見えるだけだ。これでは危機を乗り越えられない。
「あってはならない」の精神論は重大な判断ミスを招くことも多い。食品会社で消費期限切れの牛乳使用が判明しても、これは「あってはならないこと」なので「なかったこと」にするが、後日、隠蔽が発覚して致命傷になる、というパターンである。
リスク管理は不正をゼロにするという実現不能の精神論ではない。企業はもちろん官公庁、報道機関、どんな組織でも間違いは起きる。これを前提に、不正を「より少なく小さく」するのが合理的なリスク管理である。
企業は自ら把握したマイナス情報を自発的に公表することで自浄作用能力を示すこともできる。製品事故が発生した場合、消費者の安全を優先的に考えて自社 に法的責任があるかどうかにかかわらず誠実に危険性を開示する企業と、法的責任やイメージ低下を恐れて公表を渋る企業のどちらが消費者の信頼を獲得できる かは一目瞭然である。
消費者や報道機関も「あってはならない」の精神論を捨てて、マイナス情報を開示する企業を正当に評価すべきだ。
企業に自発的なマイナス情報開示を促すことは、社会に存在する「目に見えない危険」の総量を減少させることでもある。したがって、消費者が正直な企業を高く評価することは消費者自身の利益にもつながるのである。
【法令の順守はリスク管理】(抜粋)朝日新聞 2006.02.11
経営陣には法規制が単なる足かせとしか映っていなかった。「後発の新参者が、きれいごとだけでやっていられるか。多少のルール違反は構わない」という意識があったのではないか。社長が記者会見で「スピード違反」を引き合いに出した発言は、そのような「本音」の表れだろう。
経営者には、自分の会社が社会からどう見られているか、という観点から経営上のリスクを認識することが求められる。企業活動の公正さや高齢化対応への社会一般の意識が高まっているのに、これを無視する法令違反が致命傷になりかねないという認識が欠けていた。
コンプライアンスとは、法令の文言だけでなく、その精神、目的は何かを考えて行動することであるが、これは単なる商道徳の問題ではなく、経営上のリスク管理であり、経済合理性に裏付けられた行動である。 また、長い目で見れば、消費者の信頼やブランド価値の向上にもつながる。コンプライアンスの本質を理解して持続的な成長をめざすか、近視眼的に利益のみを追求するかは、経営者の能力を決める重要な要素である。
【誠実な企業 ほめる社会に】(抜粋)朝日新聞 2003.02.08
私は「元気の出るコンプライアンス」を提唱したい。企業が利益の独得を目指す以上、コンプライアンスによる「正しい企業行動」には経済合理性の裏付けが必要だ。そのカギは「社会的責任」と「誠実さ」である。
企業の「社会的責任」は環境保護、障害者との共生、男女平等など様々だ。これらは企業活動の本筋とは別の慈善活動とされがちだが、実は経済合理性と締びつけることができる。
経営者は「社会的責任」を競争力に結びつける戦略を考えるべきだ。企業は得意分野で積極的に「社会的責任」を果たし、そのアピールで自らを差別化できる。また「社会的責任」の実行は担当社員に会社を外の目で見る機会を与え、社員の創造性、批判精神を育てる。それは企業の競争力向上にもつながる。
「誠実さ」を企業ブランドに結びつけることも重要だ。ブランド力は商品の質やイメージだけではなく、企業の「誠実さ」に対する社会の信頼を基盤に成り立つのである。
「誠実さ」は危機管理の要でもある。間違いを犯したとき、事実を隠さずに原因を究明し再発防止に立ち向かう企業こそが生き残れる。おわびの記者会見のハウツーを伝授する「危機管理ビジネス」が繁盛しているそうだが、社長の頭を下げる角度は危機管理の本質ではない。
消費者やマスコミの役割も大きい。日本特有の「どんなミスもあってはならない」という精神主義は、企業を委縮させて正直な行動のタイミングを遅らせ、企業不信を増幅させる。過剰反応による行き過ぎた製品回収は環境にもマイナスだ。この「負のスパイラル」を脱するには「間違いに誠実に対処しているか」を基準にして、事後の改善ぶりも正当に評価する姿勢が欠かせない。「褒める姿勢」は企業を元気にし、社会全体にも利益をもたらす。
不況だから背に腹は代えられないと考えるか、不況だからこそコンプライアンスを経済再生のテコにするのか。企業の力量と社会の成熟度が試されている。
■参考サイト
・企業の危機管理とコンプライアンス経営」~企業不祥事をなくすために必要なこと~
・RIETI - 企業のリスク管理とコンプライアンスの実務食品偽装から財政不正まで―危機管理の現場から―
・弁護士列伝 - 学生が直撃インタビュー! 弁護士ドットコム<国広総合法律事務所 國廣正先生>
・第三者委ガイドラインを作った久保利、國廣、斉藤の3弁護士に聞く - 法と経済のジャーナル Asahi Judiciary
・「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」