エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

ゆく春を惜しむ

2013-05-01 | 文芸

                          

サクラもいつしか盛りを過ぎ、ひとひらひとひら散り始めている。
この時期には、散りゆく花びらを眺めて、何とも言えぬ思いに浸ってしまう。

ゆく春を惜しみつつ口ずさむ詩がある。
諳んじた達治の詩と、青春の寮歌を声に出して詠う

◎「甃のうへ」         <測量船より>
  あはれ花びらながれ
 をみなごに花びらながれ
 をみなごしめやかに語らひあゆみ
 うららかの跫音空にながれ
 をりふしに瞳をあげて
 翳りなきみ寺の春をすぎゆくなり
 み寺の甍みどりにうるほひ
 廂々に
 風鐸のすがたしづかなれば
 ひとりなる
 わが身の影をあゆまする甃のうへ

 中学だったか高校だったか、暗誦させられた覚えがある。
春の日に静かなお寺の境内を歩くさわやかなイメージに共感した覚えがある。
後年、サクラの花びらが風に流れて散る光景に、いつもこの詩が浮かび呟いてきた。
 流れた花びらは、あはれ青春の流れだった。

 ◎「春寂寥」       <信大・思誠寮寮歌>
 これは誰もいない桜の木の下で、ゆく春を惜しみながら玲瓏と詠う
 感動の歌。これまた、何度か傷める心を抱いた我が青春の歌だった。

春寂寥(せきりょう)の 洛陽に
昔を偲ぶ 唐人(からびと)の
傷(いた)める心 今日は我
小さき胸に 懐(いだ)きつつ
木(こ)の花蔭に さすらえば
あわれ悲し 逝(ゆ)く春の
一片(ひとひら)毎に 落(ち)る涙


【 春寂寥 】
     http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/harusekiryou.html 

 近くの神社のサクラを見に出た。お気に入りのヤエベニシダレが咲き始めた。

花散るや八幡の杜のベニシダレ

 

 


いつも一番に咲く神社のソメイヨシノは散りはじめた。我が家のヤマザクラやオオシマザクラもそろそろ散り始めだ。

このところ実の付けが悪かったサクランボの佐藤錦は満開だ。

   オオシマザクラ サクランボ

 

今年のサクラ、厳しい冬だったわりには例年より早く咲きだしたが、このところ気温が低く長く咲いてくれている。

 ほどなく短い春が行って 初夏へと時が流れて行く。

 

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