嶽南亭主人 ディベート心得帳

ディベートとブラスバンドを双璧に、とにかく道楽のことばっかり・・・

ちょっとした頭の体操のご紹介~高校論題・肯定側ディベーターの皆さんへ

2008-06-07 04:22:56 | ディベート
すでに会報トライアングルやNADEのHPで「労働者派遣禁止」論題におけるプラン後の世界の描き方について、注意喚起が為されておる。

これを要するに:

●論題の範囲内のプラン【のみ】によって、どのようなメリットが生じうるのかを考えてください。
●論題の範囲【外】のプランの細目(plank)から、メリットが出ていると受け止められないように注意しましょう。

ということ。

皆さんにおかれては、これらをふまえて

「どうしたらプラン後の世界が今よりもよくなるということが説明できるのか」

に知恵を絞って頂きたい。

地区大会までは、いま少し時間的余裕がある。主人、例によって、いくつかの地区大会に審判として出没する予定であるが、説得力のあるプランの解決性(=実現可能性+有効or実効性)の議論を期待したい。

でも、解決性の議論の立て方で、考え込んでしまって、袋小路から出られないとお困りのディベーターもおられるかもしれない。

そんなときには、お遊びとして、以下の頭の体操をお試しあれ。

【前提】

・あなたは、うどん専門レストラン、「EDAN」の社長さんです。

・従業員は、全部で100人。以下のような仕事をしてくれています。

 ①将来の出店戦略とか市場調査とか、諸々の企画業務を担当するスタッフ 5人
 ②経理・財務担当スタッフ 5人
 ③人事・総務・法務担当スタッフ 5人 
 ④広告・宣伝担当スタッフ 5人
 ⑤レストランの仕入れ担当スタッフ 5人
 ⑥新しいうどんメニューの開発チーム 5人
 ⑦レストランで出すうどんを作る製麺工場のスタッフ 10人 
 ⑧レストランの店長さん 10人
 ⑨レストランの厨房スタッフ 20人
 ⑩レストランの接客スタッフ 30人
 計 100人

 ⇒そうそう、この100人の従業員のみなさんは、すべて【派遣労働者】です。正社員、契約社員、パート・アルバイトは一人もいません。

・資本金は1000万円ですが、株主はあなたしかいません。また、株式は上場していません。
→将来、株式を上場・公開するのか、しないのか。するならいつ頃をめざしているのか、適当に仮定しておいてください。

・年間の売り上げは、だいたい5億円です。しかし、うどん市場の今後のトレンドは、よくわかっていません。昨今のうどんブームがどこまで続くのか、逆に急速にしぼんでしまうのか、安定的に推移していくのか、不明です。
→将来の売り上げ予測も、適当に仮定しておいてください。

・あなたは自分の会社をずっと大きな企業に成長させていくか、それともあと数年で会社をたたんで引退してしまうか、については、まだ決めていません。
→同様に適当に仮定しておいてください。

・あなたの会社の過去の収支の実績も、実は、よくわかってません。赤字だったのか、黒字だったのか、不明です。
→同様に適当に仮定しておいてください。

・あなたの会社にどれだけ借金があるのか、逆に、貯金がどれだけあるのか、またその他の土地や建物などの資産もどれくらいあるのかわかりません。
→同様に適当に仮定しておいてください。

・あなたな会社の資金繰りは、これまでのところなんとか回っていました。
→まあ、当面、あと1年ぐらいは、倒産しない程度に資金繰りがつくと仮定しておいてください。

【問題の発生!】

20XX年、「日本政府は労働者派遣を禁止する」という法律が成立、来年から施行されることとなりました。あなたの会社の従業員は、すべて、この規制にひっかかることになります。

(問題1)

社長さんとして、あなたは「どうしますか?」 また、そうするのは「なぜですか?」

(問題2)

問題1についてとりあえず解が得られたら、もういちど前提に立ち返ってください。そして、自ら設定した仮定をいろいろと変えてみてください。そうしたとき:

社長さんとして、あなたは「どうしますか?」 また、そうするのは「なぜですか?」

****

この頭の体操、わざと馬鹿馬鹿しく作ってある。

しかし、ディベーター諸君。このたとえ話にお付き合い頂くことで、企業行動を自分なりに考え、議論構築上のヒントを、1つでも2つでも拾うことができたなら、幸甚に存ずる次第。ご成功を切に祈る。



追記1・・・もしも前提のところで、わからない語句や概念があったら、社会の先生に訊ねるがよかろう。

追記2・・・この仮想例で、「うどん屋」にしたのは訳がある。

 ある青年が、「経営の神様」松下幸之助翁に問うて曰く。

 「経営とは、いったい何ですか」

 翁、答えて曰く。

 「君な、いっぺん『うどん屋』をやってみたらどうや? そしたらわかるで」

 蓋し至言である。

追記3・・・さらに続きがある。

 途方にくれる青年を諭して、丹羽正治翁、曰く。

 「『経営のコツ、ここなりと気づいた価値は百万両』なんやな」

 ディベーター諸君よ。リサーチは、さぞや辛かろう。さはさりながら、そこで「気づいた」コトは、諸君の一生の財産なのであるよ。ここは歯をくいしばって、とことん仲間と検討を深められるがよかろう。


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2 コメント

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Unknown (しむら)
2008-06-07 04:48:37
本題と全く関係のない話ですみません。
「そば屋は倒産しない」というのは関東ではメジャーな話ですが、それが関西では「うどん屋」になるのでしょうかね。
蕎麦屋ですよね、関東なら。 (岳南亭)
2008-07-01 03:43:45
しむらさま>

ようこそのお運びで。

言われてみれば、その通り。関東のそば屋に相当するのは、関西ではうどん屋な訳で。ならば、関西人の松下翁が「うどん屋」を言い出すのも、理の当然。

経営の実践コースとして「失敗しづらい実技」を例示しておられたのかと、ようやく思いが至りました。多謝!

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