久しぶりに、東洋大学非常勤講師の横江公美氏とじっくりお話をする機会を得た。
その折、彼女から「判断力はどうすれば身につくのか」(PHP新書)と題されたご近著を頂いた。
題名からして、凡百のビジネススキル本かと思ったが、アメリカ政治のフィールドワークをご専門とする彼女がそんな本を書くとは思われない。副題をよく見ると「アメリカの有権者教育レポート」とある通り、この本は「民主主義教育の実態を丹念に描き出す、有権者のための参考書」であった。
新書らしく、平易で読みやすい。それでいて、アメリカの草の根レベルで「有権者教育」が、どのような形で具体的に実践されているかを、事例ベースでじっくりと紹介してくれている。
まえがきに、ちょっと面白いエピソードが紹介されている。やや長くなるが、引用させていただこう。
「学校の授業では、小学校低学年から内容を知らないで投票することの怖さを学ばせる。
たとえば、「アイスクリーム」「宿題」などと書かれた紙に何の情報もないまま、イエス、ノーのどちらかを選ばせる。普通は「アイスクリーム、イエス」「宿題、ノー」となるが、その選択の結果、
『にんにく味のアイスクリームだけが給食のおやつに出ます』
『週末の宿題はなくなります』
ということを知らせると、生徒たちからいっせいに驚きと失望のブーイングが起こる。アイスクリームとあればイエスだが、にんにく味となればノー。宿題はノーだが、週末の宿題廃止であれば、イエスだ。生徒たちはこうした授業を通じて、投票のための意思決定をおこなうには詳しい情報を集める必要性があることを実感し、実際の政治の投票では候補者と政策の両方を徹底的なリサーチに基づいて判断すること、比較すること、議論することが必要だと知り、そのコツを体得する」
まさに、ここにこそ、ディベート甲子園、より正しくは全国教室ディベート連盟の活動にコミットしていきたいと、私が考える理由がある。
「未来を決める訓練」(トーマス・ジェファーソン米国第三代大統領)
至言である。
その折、彼女から「判断力はどうすれば身につくのか」(PHP新書)と題されたご近著を頂いた。
題名からして、凡百のビジネススキル本かと思ったが、アメリカ政治のフィールドワークをご専門とする彼女がそんな本を書くとは思われない。副題をよく見ると「アメリカの有権者教育レポート」とある通り、この本は「民主主義教育の実態を丹念に描き出す、有権者のための参考書」であった。
新書らしく、平易で読みやすい。それでいて、アメリカの草の根レベルで「有権者教育」が、どのような形で具体的に実践されているかを、事例ベースでじっくりと紹介してくれている。
まえがきに、ちょっと面白いエピソードが紹介されている。やや長くなるが、引用させていただこう。
「学校の授業では、小学校低学年から内容を知らないで投票することの怖さを学ばせる。
たとえば、「アイスクリーム」「宿題」などと書かれた紙に何の情報もないまま、イエス、ノーのどちらかを選ばせる。普通は「アイスクリーム、イエス」「宿題、ノー」となるが、その選択の結果、
『にんにく味のアイスクリームだけが給食のおやつに出ます』
『週末の宿題はなくなります』
ということを知らせると、生徒たちからいっせいに驚きと失望のブーイングが起こる。アイスクリームとあればイエスだが、にんにく味となればノー。宿題はノーだが、週末の宿題廃止であれば、イエスだ。生徒たちはこうした授業を通じて、投票のための意思決定をおこなうには詳しい情報を集める必要性があることを実感し、実際の政治の投票では候補者と政策の両方を徹底的なリサーチに基づいて判断すること、比較すること、議論することが必要だと知り、そのコツを体得する」
まさに、ここにこそ、ディベート甲子園、より正しくは全国教室ディベート連盟の活動にコミットしていきたいと、私が考える理由がある。
「未来を決める訓練」(トーマス・ジェファーソン米国第三代大統領)
至言である。