嶽南亭主人 ディベート心得帳

ディベートとブラスバンドを双璧に、とにかく道楽のことばっかり・・・

ディベート甲子園2011中学論題(3)公共の問題の理論的背景

2011-03-10 20:16:07 | ディベート
今回は、なぞかけ問答といきましょう。

では、いきます。

「国家の安全保障」

とかけまして、

「打ち上げ花火」

と解きます。

【問い】
そのココロは?
 


「どちらも__________」ココを、みんなで話し合って考えてみて下さい。

では、どうぞ。


⇒(指導者の方へ)

この問題、見かけは軽く見えるものの、「公共の問題」の特徴を、公共経済学の理論を念頭におきつつ、本質的なところまで深く考えてもらうことをねらいとしています。

公共経済学・財政学では、

1.「消費の非競合性(=共同消費が可能)」
2.「消費の排除不可能性(=フリーライドが可能)」

という点が公共財の有する性質として整理されています。

これら2つの性質ゆえに、公共財は、社会的に必要とされているにも関わらず、市場メカニズムを通じては適正量が社会に供給されません(いわゆる「市場の失敗」のひとつです)。

それゆえに、そういった公共財の供給メカニズムとしての「政治」、その専門組織としての「政府」が必要になるという点に向けて、選手諸君の気づきを促して頂ければと思います。

なお、上記のカタイ趣旨以外にも、この設問は息抜きやアイスブレーキングとしても楽しんで頂ければと思います。

例えば、どちらも「慎重に扱わないと、イタイ目に会います

といった要領で。

Wコロンに負けないよう、いろいろとユニークな回答を整えてみてください。


ディベート甲子園2011中学論題(2)「公の問題」とは?

2011-03-09 18:56:10 | ディベート
前回の(1)の議論を経ることで、「政治は公(おおやけ)の問題を扱う」ということがおわかり頂けると思います。

そこで、チェックの意味でお尋ねします。

【問い】

「公の問題」とは、要するにどんな問題なのでしょうか。みなさんなりに「定義」してみてください。


(指導にあたる方へ)
⇒「具象から抽象へ」のトレーニングです。具体的な公共的問題の「共通項」は何なのかについて、選手諸君の気づきを促して頂ければと思います。

2011ディベート甲子園:中学論題に取り組む皆さんへ(1)

2011-03-08 19:00:14 | ディベート
今年度のディベート甲子園の論題が発表された。

中学論題は「日本は選挙の棄権に罰則を設けるべきである。是か非か
高校論題は「日本はすべての原子力発電を代替発電に切り替えるべきである。是か非か

であった。

今年度、大会にチャレンジしようとなさる選手・指導者の方々におかれては、まずは全国教室ディベート連盟のサイトに開示されている論題解説を、よくお読み頂きたい。

今回の論題は、いずれも古典的な論題であるが、政治学を趣味とする主人としては、どちらかというと中学論題の方に、より心が魅かれる。

そこで、論題の検討にあたった方々の想いを察しながら、今年は中学論題を中心に、議論構築のヒントを、例によってぼちぼちと論じて行きたいと思う。

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そう、コトは「政治」の問題である。

論題検討のブレストの一環として、まず、以下の点について、語り合ってみるのは、いかがであろうか、選手諸君? 


【問1】 

私たちの社会は、なぜ政治という営みを必要としているのでしょうか。あるいは、もし政治が機能しないとすると、どういったことで私たちの社会に不都合が生じるでしょうか?


⇒(指導にあたる方へ) 
「世の中の秩序形成には、市場的と非市場的という2つのアプローチがある」ということ。また「非市場的領域は公共財の供給、あるいは公共善の実現が企図される」ということを、具体例をもってイメージできるところに議論が到達するよう、どうか選手諸君をお導きください。