前回に引き続き、「選挙の原則」について考えます。
今回は、「平等選挙」の原則です。
この原則は、「各人に等しく一票が与えられ、性別・財産・学歴などの差別はない」ということを意味します。
さぁ、皆さんには、今回調べ学習に取り組んでいただきましょう。
***
【問1】
いわゆる「一票の格差」を問題視している人がいます。この問題について、以下の資料を参考にしながら調査を行い、その上で「平等原則」に照らした時、何がどのように問題なのかについて、説明を行ってください。
<参考> 一人一票実現国民会議HPからの抄録
住んでいる場所によって一票の価値が不平等になるという事態が、いろんなところで起きています。
人口10万人につき議員1人という地域の住民が投じた一票に対して、
人口20万人につき議員1人という地域の住民が投じた票はその半分の価値しかない、
といったような不平等です。
これを「一票の不平等」と呼びます。
私たち「一人一票実現国民会議」が目指しているのは、
こうした「一票の不平等」をなくすことです。
「1人1票」とは、多数決で物事を決めるときに、それぞれの人が1票をもつことです。
0.5票しか認められていないということは、1人の人間としての人格価値を認められていないこと、言い換えれば、一人前の人間と見られていないことです。住所によって投票価値に不平等があるのでは、日本では、国民が、国民の多数決によって物事を決めていることになっていません。個人を尊重し、人格価値を公平に扱ったといえるためには、「1人1票」でなければなりません。
例えば、東京都民は、現在、「一人一票」の選挙権を認められていない『二流市民』です。
衆議院議員選挙では、高知3区の住民の選挙権を1票とすると、東京5区の住民の選挙権は0.5票です。
参議院議員選挙では、鳥取県の住民の選挙権を1票とすると、東京都民の住民の選挙権は0.2票です。
***
そんなもの、ググればすぐにできて、簡単すぎますよ、というディベーターもおられるでしょうから、発展的な問題もお示しておきましょう。
【問2】
2009年8月30日の総選挙結果についての一票の格差訴訟での最高裁判決(平成23年3月24日)の内容について、どの部分に納得がいき、どの部分に納得がいかないか、あなたなりの意見を論じてください。
では、どうぞ。
***
(指導にあたる方へ)
⇒平等原則に関わる問題は、決して理屈上の問題ではなく、一票の格差訴訟として実際に裁判沙汰にもなっている、極めてリアルにして切実な問題なのです、という点について、まずはディベーターの注意を喚起してください。
⇒この取り組みを通じて、いわゆる「一票の格差」の問題について、
◆現状の一票の不平等は「住所による差別」(←誠に秀逸な表現だと思います)であり、法の下の平等に反する(←最高裁の判事様がどうおっしゃろうと、法の下の平等に反しまくっているのは明々白々ではないか、と政治学徒である主人は常々思っております<笑>)と考える意見や、
◆のみならず、都市部に比して「地方の利益を過剰に代表させてしまうことで、政策決定をゆがめる」ことを懸念する意見がある、
という風に、問題点を簡潔に確認してみてください。
⇒上記、2点目の問題点を換言して得られる現状の問題、すなわち「現状の選挙システムは、一部の声を過剰に代表させる方向に機能してしまう結果、政策決定において、一部の人が得になるようなバイアスがかかっている。それは良くない」という現状分析は、今回の論題でも応用が可能です!
⇒具体的には、こういうことです。
「世代別の投票率の差異(過剰代表されている世代とそうでない世代)」
や
「団体所属の有無による投票率の差異」
の分析を基点にすれば、
「義務投票制が導入されることによる属性別の投票率の変化」
と
「それによって予想される候補者の当選確率の変化」、
及び
「当選者の顔ぶれの変容を通じた政策決定への影響」
というシナリオに沿った議論構築が可能になるはずです。立論準備の一環として、そのシナリオに沿った議論をリンクマップに落とすための検討を試みるのも面白いという要領で、ディベーターにヒントを出してあげてみてはいかがでしょうか。
以上です。
今回は、「平等選挙」の原則です。
この原則は、「各人に等しく一票が与えられ、性別・財産・学歴などの差別はない」ということを意味します。
さぁ、皆さんには、今回調べ学習に取り組んでいただきましょう。
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【問1】
いわゆる「一票の格差」を問題視している人がいます。この問題について、以下の資料を参考にしながら調査を行い、その上で「平等原則」に照らした時、何がどのように問題なのかについて、説明を行ってください。
<参考> 一人一票実現国民会議HPからの抄録
住んでいる場所によって一票の価値が不平等になるという事態が、いろんなところで起きています。
人口10万人につき議員1人という地域の住民が投じた一票に対して、
人口20万人につき議員1人という地域の住民が投じた票はその半分の価値しかない、
といったような不平等です。
これを「一票の不平等」と呼びます。
私たち「一人一票実現国民会議」が目指しているのは、
こうした「一票の不平等」をなくすことです。
「1人1票」とは、多数決で物事を決めるときに、それぞれの人が1票をもつことです。
0.5票しか認められていないということは、1人の人間としての人格価値を認められていないこと、言い換えれば、一人前の人間と見られていないことです。住所によって投票価値に不平等があるのでは、日本では、国民が、国民の多数決によって物事を決めていることになっていません。個人を尊重し、人格価値を公平に扱ったといえるためには、「1人1票」でなければなりません。
例えば、東京都民は、現在、「一人一票」の選挙権を認められていない『二流市民』です。
衆議院議員選挙では、高知3区の住民の選挙権を1票とすると、東京5区の住民の選挙権は0.5票です。
参議院議員選挙では、鳥取県の住民の選挙権を1票とすると、東京都民の住民の選挙権は0.2票です。
***
そんなもの、ググればすぐにできて、簡単すぎますよ、というディベーターもおられるでしょうから、発展的な問題もお示しておきましょう。
【問2】
2009年8月30日の総選挙結果についての一票の格差訴訟での最高裁判決(平成23年3月24日)の内容について、どの部分に納得がいき、どの部分に納得がいかないか、あなたなりの意見を論じてください。
では、どうぞ。
***
(指導にあたる方へ)
⇒平等原則に関わる問題は、決して理屈上の問題ではなく、一票の格差訴訟として実際に裁判沙汰にもなっている、極めてリアルにして切実な問題なのです、という点について、まずはディベーターの注意を喚起してください。
⇒この取り組みを通じて、いわゆる「一票の格差」の問題について、
◆現状の一票の不平等は「住所による差別」(←誠に秀逸な表現だと思います)であり、法の下の平等に反する(←最高裁の判事様がどうおっしゃろうと、法の下の平等に反しまくっているのは明々白々ではないか、と政治学徒である主人は常々思っております<笑>)と考える意見や、
◆のみならず、都市部に比して「地方の利益を過剰に代表させてしまうことで、政策決定をゆがめる」ことを懸念する意見がある、
という風に、問題点を簡潔に確認してみてください。
⇒上記、2点目の問題点を換言して得られる現状の問題、すなわち「現状の選挙システムは、一部の声を過剰に代表させる方向に機能してしまう結果、政策決定において、一部の人が得になるようなバイアスがかかっている。それは良くない」という現状分析は、今回の論題でも応用が可能です!
⇒具体的には、こういうことです。
「世代別の投票率の差異(過剰代表されている世代とそうでない世代)」
や
「団体所属の有無による投票率の差異」
の分析を基点にすれば、
「義務投票制が導入されることによる属性別の投票率の変化」
と
「それによって予想される候補者の当選確率の変化」、
及び
「当選者の顔ぶれの変容を通じた政策決定への影響」
というシナリオに沿った議論構築が可能になるはずです。立論準備の一環として、そのシナリオに沿った議論をリンクマップに落とすための検討を試みるのも面白いという要領で、ディベーターにヒントを出してあげてみてはいかがでしょうか。
以上です。