嶽南亭主人 ディベート心得帳

ディベートとブラスバンドを双璧に、とにかく道楽のことばっかり・・・

【ノート】ディベート甲子園ルールにおけるTの提出タイミングについて

2019-07-16 16:40:38 | ディベート
昨年24回大会の高校論題で、「論題充当性」の素養が全国大会出場の皆さんに求められそうな気配があった。

関連して「論題充当性を提出するのは、立論に限るか、1反でもOKか」という問題については、下記のように考える。

◆一説に、トピカリティを第一反駁で出してもよい、なぜならば、トピカリティは相手のプランへの反論だから(=ホントはは、肯定側の解釈の妥当性への疑義の表明+【反証】なのだけれども)。

■私は、この説には立たない。
■デメリットと同様に、論題充当性は、否定側が挙証責任(反論がなければ命題的だと推定される場合における、肯定側解釈への反証の責任)を負う議論である。
■ならば、その初出は、「リバッタル・スピーチ」ではなく、否定側の「コンストラクティブ・スピーチ」の中で行われるべきものだと考える。
■そうでないと、否定側による第一反駁でのDAの初出すら「肯定側のプランへの反論だ」などとして正当化されてしまう。この解釈に立つと、否定側の議論はすべて「肯定側の議論への反論である」と言い立てることが可能になってしまう。DAすら肯定側の議論への反論だと言い張るのは、いくらなんでも不合理だろう。
■事実、肯定・否定とも立論が1回しかない形式のディベート(例:英語による5人制ディベート)においては、Tは、NegConで出さなければ有効だとカウントされなかった。1NRで許されていたのは、あくまでNCで出された議論への補足的情報提供だけだった。

しかるに。

〇現状のディベート甲子園ルールは、「コンストラクティブ・アーギュメント」と「リバッタル・アーギュメント」を明示的に定義・説明するかわりに、立論・反駁で論ずべき議論の内容をメリット・デメリット、およびそれらへの「反論」といった言いぶりでルールが記述されていることから、Tは「プランへの反論なのだから、1反で出すのは問題ない」という解釈が成立するに帰結している。
〇なので、Tを出すのは立論に限るべきか、1反でも許容されるべきかという問題に決着をつけるには、最終的にはディベート甲子園ルールの改正を待たなければならないだろう。

以上