トラウマ身体はトラウマを記録する

2024年03月09日 19時30分15秒 | 社会・文化・政治・経済

――脳・心・体のつながりと回復のための手法


べッセル・ヴァン・デア・コーク (著), 柴田 裕之 (翻訳)


私たちは何よりもまず、患者が現在をしっかりと思う存分生きるのを助けなくてはならない――世界的第一人者が、トラウマによる脳の改変のメカニズムを解き明かし、薬物療法や従来の心理療法の限界と、EMDR、ニューロフィードバック、内的家族システム療法、PBSP療法、ヨーガ、演劇など、身体志向のさまざまな治療法の効果を紹介する、全米ベストセラー。
トラウマの臨床と研究を牽引してきたヴァン・デア・コーク博士の集大成。

■本書を通して私は、被虐待児とその親の臨床の中で疑問を感じつつそのままになっていた問題や、断片的な理解のままになっていた問題のほぼすべてに、明確な回答を与えられ、視野が何倍にも広がったような体験をした。
本書は日本でも、トラウマに向き合わざるを得ない人々にとって信頼できるテキストとなるだろう。――杉山登志郎(「解説の試み」より)

■科学者の果てしない好奇心と、研究者の該博な知識と、真実を語る者の情熱が見事に融合したのが、ヴァン・デア・コーク博士によるこの名著だ。――ジュディス・ハーマン(『心的外傷と回復』著者)

■ヴァン・デア・コークは、見事なまでに明快で魅力に満ちたこの力作で、私たち読者(専門家も一般大衆も)を彼自身の旅に伴い、自分の研究、同僚や学生、そして何をおいても患者から学んだ事柄の数々を示してくれる。
端的に言えば、本書は傑作だ。――オノ・ヴァン・デア・ハート(国際トラウマティック・ストレス学会元会長)

■この傑出した作品は、セラピストばかりでなく、トラウマが引き起こす途方もない苦しみを理解したい、防ぎたい、あるいは治療したいと望む人なら誰もが、絶対に読むべき一冊だ。――パット・オグデン(センサリーモーター・サイコセラピー・インスティチュート創設者)

■本書は、一般読者がトラウマの複雑な作用を理解するための最先端の作品であり、苦しみを軽減するばかりでなく、生き延びるのが精一杯の状態を抜け出して人生で成功を収めるための、科学的知見に基づいた多種多様な取り組みの案内書だ。――ダニエル・J・シーゲル(UCLA医科大学臨床教授)

■本書は、明快で、人の心を捉えて離さず、途中でページを繰るのをやめるのが難しい作品であり、胸を打つ症例記録に満ちている。
トラウマ治療の大家ヴァン・デア・コークは、過去三〇年間にメンタルヘルスの分野で起こったうちでも最重要と言ってよい一連の大躍進を取り上げる。
トラウマが脳内のつながりばかりか、心と体のつながりをも断ち切ることが本書で明らかになり、このうえなく深刻なトラウマを抱えた人でさえ、あらゆる部分を再びまとめ上げるのを可能にする、胸躍るような新しい取り組みの数々について、私たちは学ぶことができる。――ノーマン・ドイジ(『脳はいかに治癒をもたらすか』著者)
 
著者について
【著者】ベッセル・ヴァン・デア・コーク (Bessel van der Kolk,M.D.)
米国マサチューセッツ州ブルックラインのトラウマセンターの創立者・メディカルディレクター。ボストン大学医学部精神科教授。国立複雑性トラウマトリートメントネットワークのディレクター。ボストン在住。世界各地で教鞭を執っている。邦訳された著書に、『サイコロジカル・トラウマ』(金剛出版)、『トラウマティック・ストレス』(共著、誠信書房)がある。
 
 
 実に面白い

情報が濃縮されすぎている
参考になりすぎて頭が痛い

心理家は読むべき

トラウマ治療の歴史と著者の熱意が伝わる

ずっとトラウマ治療の最前線にいらっしゃる先生のご著書。分厚くページ数が多いので、読むまでに時間がかかると思っていたら、面白くてあっという間に読み終わりました。
著書の臨床に関する熱意と、良い意味での業界に対する怒り、既存の良しとされている療法への批判。

どれも感銘をうけました。
支援職を志す人には必ず読んでほしい1冊です。

自分で自分をどうにかカウンセリングするきっかけに、内容は素晴らしい、翻訳はやや不安

原著は読んでいないため的外れかもしれないのですが、たとえば「中国製の花瓶」となっている部分は「陶器(or陶磁器)の花瓶」の方が良いのではないかなどと思ったりしてしまいました。

chinaは陶器や陶磁器を意味するので。トラウマになった出来事として、家の中の両親の喧嘩があり、掴みかかる父から母が逃れる最中に「とても高価な」「花瓶」が割れ、テレビが壊れる、そんなショッキングなシーンを想起させる重要な場面で、「中国製の」という情報は日本人読者にとって重要ではないために違和感がありました。日本語では産地ではなく素材の情報としてのchina、つまり「とても高価な陶器(or陶磁器)の花瓶」の方がまだ情景や音などを連想しやすいのではと思ったりしました。
このように、たまになぜこう訳したんだろう?などど考えると変に頭にひっかかってしまったり本題から逸れてしまったりするので注意が必要です。

本の内容は、トラウマ研究の専門家による研究の歴史を辿っていくような本です。SSRIについても効かないケースにも触れつつ比較的肯定的に言及されています。

また、PTSDの専門家の本なので従軍経験や性的暴行や死別などを想定しがちかもしれませんが、この本ではそれ以外のケースもよく出てきます。そのため、フラッシュバックがあるとかではなくとも、何がトラウマかは分からないけれど日常で自分がトラウマ反応をしているかもしれない、くらいの人でも読んで損は無いです。「深い人間関係を信じられない」「動きや表情が不自然」「辛いはずの場所に戻ってしまう」「過去の失敗に囚われる」などでかまいません。

というか私は恥ずかしながら、苦手で逃げたくなるようなことを克服したいという自己啓発レベルの動機でこの本を買いました。当然専門家などではなく、心理学も脳神経の知識もないド素人です。

しかし、読むにつれ、他の方のレビューでもありましたが自分のことが語られているように感じ、泣きながら自分で自分の深層のトラウマを掘り起こして扱い方を学ぶ体験をしました。

今まで思い出さなかったような、あるいは常に思い出しては囚われていたような、ある日の幼少期や思春期の自分ではどうにもできず逃げられもしなかった出来事がきっかけとなって、自分をいわゆる異常な言動(摂食障害などの依存症や対人関係の問題など)へ向かわせていたことを、脳の働きと共に理解し説明することができました。

脳の原始的な情動系に振り回されて人生を棒に振らないように、今ではなく過去の経験のせいで今の自分が不必要にトラウマ反応を起こしていると知ることだけでも、まずは大きな一歩になりました。

そして、この本の登場人物たちが試した方法を自分の脳内でやってみただけでも、今まで自分を苦しめていたものに対処できたような感覚や、過去のものとして今と切り離せるようになったような違いを感じました。
そのため、自分で自分を深掘りしながら自分の経験や反応をこの本の内容と結びつけて客観視していくような方法で読むのも、一種のカウンセリングとして機能するのではないかと愚考します。
ただ、トラウマの脳の働きに関してはむしろ「勉強が嫌い」レベルのことも説明できる(学習性無力感など)普遍的な脳の機能としての説明でもあるため、カウンセラー必携の書どころか全人類が知るべきと思うほどですが、反対に、本当に酷いトラウマ反応を持つ人に対応できるまでの内容かは分かりません。

学がない自分でも読みやすい

少々高くても紙媒体で購入してよかったと思いました。
まだ途中ですが
この本を買おうか迷ってる方には本書から引用さてもらう以下の質問に1つでも答えるのにつまったら読んで見る価値はあると思っています
>(子どもの頃)誰が特別な人間として扱ってくれましたか。
>子どものころ、一緒にいて安全だと思える人はいましたか。

私自身一緒にいて安全…?ん…?とつまってしまい
購入目的は複雑性PTSDやフラッシュバックメインだったのですが色々と考えさせられています。
自分がフラッシュバックおこしたときにはなぜうまく原因を話せないのか等納得がいく状態で画像や文章で表現されているのがとてもよかったです。

あの行動や言動はこうだからそうなってるのか…を誰にも理解されなくても自分自身が理解できるようになるのは大きな一歩だと感じました。

全部読み終わったらまた再度書きたいと思います。

 

PTSD症状を理解することには役立つが治療法に対する洞察が浅い

この本は全体を通して多くの患者の例をバックグラウンドも含めて一つ一つのテーマについてゆっくりと展開していく
患者一人一人の短い物語からの自然な導入により一般人向けに書かれた読みやすい本である
前半は患者の症状と実験や観察を照らし合わせることで患者の身体や脳に何が起きているかを
具体的な脳の部位について説明を交えて説明している
脳で起きている現象が突きつける事実は強烈でPTSD症状への理解は大幅に向上する
後半は様々な治療とその成功例を書いている
EMDR、ヨガ、IFS、ストラクチャー、ニューロフィードバック、演劇などの治療が症状をどのように改善したかを
成功例を観察しつつ説明している
しかしながらそれぞれの治療法の比較はしておらずただ色々な選択肢を与えているだけなのが不満である
患者にどの治療法が有効であったかを症状と照らし合わせて詳細に記述していれば治療法の理解はより深まるはずである
また治療法は奇天烈で実践が難しいものが多い印象である、それだけPTSDは奇天烈なことをしなければ改善が難しいのも頷けるが
問題なのは奇天烈な治療法が読者を置いてきぼりにするほど成功した場面ばかりで茶番のようにも思えてしまうのと
精神世界のポエムのような筆致になっており脳で実際に起きたことを示すデータが前半とは違いほとんど出てこない
脳科学的な証拠が不足している分治療法の有効性についての説明の説得力が欠けている
残念ながらこの本だけでは説明が簡略化されすぎて実際に治療をすぐ実践できず、筆者のような有能なセラピストの協力が必要であるのだがそのセラピストに出会うのが困難である
奇天烈な治療法は特に熱心なセラピストでないと見向きもされない
とはいえ長年悩まされたPTSDが様々な治療法で劇的に改善する例を見れば
薬ではなく根本的な治療の重要さを知るきっかけや改善の糸口を掴むことはできる
実践するには残念ながらまた別の本を読む必要があるだろう
もっと少なく読む
 日本の精神科医もこの本を読んで勉強するべき。

日本の精神科医はチェックリストだけを見て、患者を見ない。投薬で麻痺させてるだけで治せもしない。
薬も効かなくなってくるので強い薬強い薬と…
名倉潤や深キョンを見ればわかるように治ったと言いながら目が以前と違うのがわかる。
全然治ってない。
日本の精神科医なんてそんなもんなんです。
欧米の精神医学から50年以上遅れて使い物になりません。
こういう本がもっと世に出るべきです。
何でもかんでもADHDにしてしまうヤブ医者たちよ、恥を知れ。
と、言いたくなる内容です。
そこいら辺の精神科医や公認心理士よりもはるかに役に立つ本です。

 

トラウマ・PTSDについて現在わかっていることが纏まっている良書

トラウマ・PTSDについて、脳科学、ポリヴェーガル理論、薬物療法、各種の精神療法、これまでの歴史上の専門家などに関する様々な知見が、筆者の経験した幅広い症例を交えて網羅的に書かれている。
トラウマについて現時点の医学でどこまでわかっているのか、どういった回復例があるのか、情報を多く得られる一冊。
これだけトラウマを理解して熱心に治療に取り組んでいる筆者らのような専門家が居るということを知れるだけでも、世界が開けたように感じられる本だと思う。


 素晴らしい分析力の本です。

医師のレベルが高い‼️

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