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とねり日記

とりことや舎人(とねり)の
どげんかせんとの日々

追悼 トチ カヤ

2019年11月06日 | わが舎の動物たち

カヤとトチが相次いで死んだ。どちらも突然死だった。

10月20日午後、夏野菜を始末した後の畑へトチとカヤを入れて茂った草などを食べさせていたところ、1時間ほどでカヤが座り込んでしまった。あの食い意地旺盛なカヤにしては変だなとは思ったのだが…。

舎長によると、ヤギたちを小屋に戻すとき、他のヤギたちは走って小屋に戻ったが、カヤは立ち上がろうとせず、舎長に引っ張られて小屋に戻ったそうだ。その夜9時40分ごろ、寝入りばなを舎長に起こされてヤギ小屋に駆けつけると、呻き声を上げながらカヤが小屋の外に横たわっていた。荒い息を吐き谷じゅうに響き渡るような声でウー、ウーと呻いている。なすすべもなく「カヤ! カヤ!」と呼びかけながら腹をさすっていたが、やがて口のまわりにうっすら泡のような唾液を残してカヤは息絶えた。9時55分だった。

それから4日後の10月24日、舎長と外出し夜9時ごろ帰宅すると、小屋の中にトチが横たわり既に息絶えていた。トチの体にはまだ微かにぬくもりが残っていた。出かける前までトチはごく普通だった。トチもカヤも死んだ翌日に京都府・南丹家畜保健所に運んだ。

トチが生まれたのは2016年5月7日。クリの最初の子だった。父親は同じ南丹市内にある「るり渓やぎ農園」のオス山羊・チューボー(こちら)。

ピョンピョン飛び跳ねる真っ白な子ヤギだった。「真っ白な子ヤギ」というのは同義反復みたいなもの。「ピョンピョン跳ねる子ヤギ」もそう。子ヤギというのは(ザーネン種であれば)どの子ヤギも真っ白でピョンピョン跳ねるのだから。

そんなトチは、生まれてから何度も「痛い目」に遭ってきた。

最初の痛い目は、除角。生まれて11日後、るり渓やぎ農園で角の核を電気ゴテで焼き切ってもらった。悲鳴をあげながらの除核だったが十分に焼き切れていなかったようで、後に除角が失敗だったことを知る。何か月が経ったころ核の部分から柔らかく歪んだ角が生えてきたのだ。その角が伸びて来るたびに、鉄製の網や柵などに引っかけて根元から角が取れ、顔を血だらけにしてトチは泣いた。

次に、生後3か月弱のころ獣医の三浦先生に去勢してもらった。オス山羊の家畜としての価値は、種オス、食肉用、草刈り用(去勢)しかないが、わが舎の場合、ひとりぼっちのクリの「お連ヤギ」として、オスであれメスであれ生まれた子ヤギを飼い続ることに決めていた。本で読んだのだが、スイスではヤギを1頭だけで飼うと動物保護法で処罰されるのだという。群れで生きるヤギを1頭だけで飼うのは虐待になるという。1頭では可愛そうと思い、もう1頭いないかと探しまわったが子ヤギを得ることはできず、結局、クリに子を産ませ、生まれた子をお連れにしようということになった。結果、オスが生まれ、飼い続けるために去勢した。基本的に産業獣医の外科手術は麻酔など使わない。トチと舎長が悲鳴をあげるなかタマタマ切除手術が執刀された(こちら)。

第3、翌年の冬に脚の腱を切った。

大雪の日で、車に乗りたがらないトチにクリが付き添って三浦先生のところへ連れていった。

その後は角が取れかかったり、歪化した角が伸びて頭蓋骨に突き刺さってきたため切断したりということもあったが、概ね大過なく成長し、

わが舎の人気ヤギとして、特に女性のお客さんから熱い支持を受けてきた。

 

カヤは、トチと1年違いの同じ日、20017年5月7日に生まれた。双子で生まれたオス山羊(タブ)は近所の酪農家へもらわれていった。

生まれてすぐに母ヤギのクリが足を痛め授乳が困難になり、人間用の哺乳びんで与えようとしたが、うまくいかず、

搾った乳を洗面器に入れて飲ませた。

幼いカヤは牧瀬里穂に似た可愛い子ヤギだったが、メンタルは強かった。

よくトチ兄ちゃんにいじめられたが、大人のヤギたちに混じっても決してひるむことなく、よく食べ成長していった。

節分の日、年の数の豆を食べる一家。

トチ、カヤ、短い間だったけれどありがとう。世話の焼けることもあったけれど、私たちやお客さんにたくさんの笑顔をくれたね。

カヤが死んだ翌21日、お客さんが発たれた後、家畜保健所に運んだが、法定伝染病の疑いがなければ解剖はしないと言われた。だが4日後、トチも急死したことで翌25日に保健所が解剖してくれることになった。

解剖の結果、腸炎が原因だろうと言うことだったが、なぜ腸炎が起きたかについては、細菌や寄生虫の影響かもしれないという程度で、立て続けの2匹の急死に納得いく説明は得られなかった。

クリは再び一人になった。

大事に育てていきたい。

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クリ、謎の激下痢

2019年08月31日 | わが舎の動物たち

8月25日朝、餌やりと掃除のためヤギ小屋へ行くと、クリが出てこない。部屋を覗き込むとうずくまっている。体をなでるとびっくりするほど冷たい。

床の至るところに薄緑色をしたお粥状の便。昨夜から明け方にかけて激しい下痢が続いていたようだ。

ポカリスエットに炭の粉を混ぜて飲ませるが、少し口を付けただけで、目をつぶりうめきながら荒い息をしている。これは尋常ではないと思い、日曜日ではあったが、三浦先生に電話した。

「緑の便をしているなら細菌に感染してるかもしれない。午後4時以降なら空いているので連れてきて」とおっしゃってくださった。細菌感染?

前日夕方まで何の兆候もなかった。前日午後はクリ、トチ、カヤの3頭を家の周辺につないで2~3時間青草を食べさせたが、食べてはいけない草木が生えている場所ではない。何かそれ以外の毒物を食べてしまったのか…、クリだけが突然発症する原因がまったく思い当たらない。

先生はまず心音を聞き

体温を測る。

近寄って見ると38度。ヤギの平均体温は39.5度前後だから低体温だ。ただこれでも朝よりはだいぶ体が温かくなっている。

注射を3本打つ。何かで中毒を起こし弱ったところに細菌性の感染症を発症した可能性もあるので、中毒を抑える薬と抗生剤と栄養剤、というような説明だった(と思う)。人間と違ってどこで何を飲み食いしたか話してくれないから正確な診断がつけにくい。「この辺り」と少し広めに原因を推察し投薬する。

そして「朝晩飲ませて」と整腸剤を3包、渡された。たぶん100均かどこかで買ってきたチャック付きビニール小袋に、先生自ら粉薬を小分けしたのだと思うが、小袋には「Have a nice trip!」と。麻取(まとり)に見られたらやばくねえか…

冗談はさておき、これで一安心と思ったが…

その晩も、次の日も、その次の日も、下痢は止まらない。舎長と交代で夜中に何度も様子を見にいく。

ほとんど垂れ流し状態の下痢を拭き取り、床を掃除し、

使っていないネルの寝巻きを掛けてやる。

見にいくたびに、朝になったら冷たくなっているんじゃないか…と不安がよぎった。

4日経っても、下痢は止まらず、血の混じった粘液も出て、餌もほとんど食べず、骨が浮き出るほど痩せ、日々弱っていく様子。ただ餌は食べないが鉱塩(ミネラルを配合した家畜用の固形塩)だけはずっと舐め続けていた。本能の行動なのだろう。水と塩だけで命をつなぎ、自ら治ろうとしているのだ。生き物の「生命力」というものを目の当たりに見ている気がした。負けるな!がんばれ!と心の中でクリを励まし小屋を後にする夜が4晩続いた。

8月29日、衰弱がひどいのでたまらず三浦先生に電話して、翌30日、再び先生の所へ。右目も炎症を起こしているようだ。まずは体温測定。この前よりは上がっているとのこと。低体温が続くとよくないそうだ。

点滴を打ち、右目に目薬(抗炎症剤)をさす。

リンゲル。ただし「動物用」と書いてある。これも体に直接入れる水分と塩分だ。

先生の説明は、おなかの中から全てのものが出るのに4日間かかる。それが出た後、正常な消化活動が再開されるが、食べないとどうしようもない、というようなことだったと思う。たぶん中毒の原因になった悪いものも4日で排泄されるのだろう。その後、食べる力が残っているのか…。ただ前回よりも体温が上がっているのが明るい材料だ。

8月31日朝、クリの部屋を覗くと便が固まり始めていた。

餌も、干し草の細かく砕けたところを選んで食べている。細かい部分はマメ科のアルファルファが多く、カロリーが高いだけでなく消化にもよいはずだ。干し草のお粥かすり下ろしリンゴといったところか。

食べる力がよみがえったクリ。目にも力が戻りつつある。

昼近くなると、便が粒あんのようになってきた。もうすぐ黒豆状の健康なウンチになりそうだ。

クリ、ようがんばったな。 もう一息だ。

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サヨナラ1、2

2019年08月06日 | わが舎の動物たち

8月4日、子ヤギの「1」がもらわれていく日。なんとなんと、その日の朝に別の人から「子ヤギをゆずって欲しい」「今日、もらいに行きたい」と連絡があり、あれよあれよという間に「2」ももらわれていくことになった。

1は大阪の方へ、2は滋賀県の方へ。結局2人同時にいなくなることになった。

朝、最後の授乳。

お昼過ぎ、大阪の方が引き取りに来られた。「最後にだっこさせてね」と1に頬ずりをする舎長。

新しい里親さんに引き渡す。大阪市内に住まわれているが、広い庭があり、ほかにも動物を飼われているらしい。「柴犬と遊ばせて、散歩にも連れて行きたい」とのこと。

よかったね~。可愛がってもらってね。元気でね。

最後にもう一回触らせて。

さあ、これでお別れ。

2君も一緒にお見送り。元気でね~。

それから1時間ほどして、滋賀の方が2君を引き取りに来た。舎長、またもや「最後に触らせて~」。

2君の里親さんも動物好きで、ニワトリやウサギをはじめ、亀やら爬虫類、ハリネズミまで飼われているそう。わが舎よりも賑やかだね。よかったね~。ハリネズミくんとも仲良くね~。

最後に記念撮影。クリとカヤまで映り込んで…。パシャリ!

さあ、お別れ。元気でね~。可愛がってもらってね~。

最後に好物のイタドリを。生まれ故郷の草の味。忘れないでね。

さようなら~。

2人が去った後、子ヤギを保護するため居住区を分けていたパーテーションをはずした。3か月前と同じになっただけなのに、がらんとした感じ。

次の日の朝、珍しくクリが鳴いている。子ヤギたちがいなくなって寂しいのか…乳が張っているのか…

久しぶりに乳を搾ってあげたら、鳴きやんだ。

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家族写真

2019年08月03日 | わが舎の動物たち

明日、子ヤギの「1」君がわが舎を去る。

その前に、クリファミリー5人全員が揃った写真を撮っておきたいと、舎長の強い希望があった。ヤギの集合写真を撮るのはなかなかむつかしい。いったん全員を放牧場に入れる。

これは生まれて一月後の「1」と「2」の写真。誰かにもらわれていく2人に情が残ってはいけないと、あえて名前は付けなかった。

手前が「2」だが、このころはまだ角も小さい。

2人してよくおっぱいを飲んだが、最近はほとんど飲まない。

その代わり干し草や青草をよく食べる。クリの餌箱の中に入ってまで食べる。

そしておなか一杯になったら餌箱の中で休む。安心できるのかな。 

こんなに小さかった「1」が… 

お兄ちゃんらしくなってきた。 

「2」の角も立派になってきて…。だが角は立派でも、おっとり控え目。性格的には「1」のほうが何かにつけ積極的。

「2」君の行き先はまだ決まっていない。一度は広島へ草刈りヤギとしてもらわれていくことになっていたのだが、ドタキャンになった。誰かもらってくれませんか?草をよく食べ性格も穏やかなよい子ですよ。

さあ、写真撮るよ~、みんな集まって~、

ハイ、チーズ!(パシャリ)

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トチの角(閲覧注意)

2019年07月19日 | わが舎の動物たち

トチは2016年5月、有角のオス山羊として生まれた。角があると事故が起こりやすいので生後9日目に、南丹市内のるり渓やぎ農園で除角をしてもらった。除角は生後7~10日の間に実施する。専用の電気ゴテを角の芽の部分に押し当て角芽部を焼き切るのだが、十分に焼き切れないと角芽部が残り、そこから変形した角が生えてくる。しばらくしてトチの除角が失敗だったことがわかった。

変形した角は次第に伸び、ついに左側(向かって右側)の短い方の角が、くるりと弧を描いて自分の頭に突き当たるようになった。これを放置しておくと角が頭蓋骨を突き破って死に至る事例もある、と聞いた舎長は獣医さんに角を切ってもらうことにした。

ところが、獣医の三浦先生のところへ連れていくことが決まった後、なんと右側の長い方の角が柵に引っかかり、角が半分取れかけた。ブビエ~~~!という恐ろしい鳴き声が母屋まで聞こえたので、舎長が駆けつけると、角の付け根から血を噴き出し、ホラー映画のような顔になったトチがいた。数日して血は固まり出血も止まったが、何かの拍子にどこかに角が当たるとそこからまた鮮血がほとばしった。よっぽど痛かったのだろう、その後のトチは部屋の中にこもってビクビク怯えながら暮らすようになった。

7月18日、つかの間の梅雨の晴れ間。この取れかけた角もついでに根元から切り取ってもらうことにし、いやがるトチをなんとか軽トラの後ろのケージに押し込み、三浦先生の家へ向かった。

プラスドライバーでケージの上の板を1枚はずし、トチの頭を出し、クツワをはめる。頭を振って激しく抵抗するトチ。

だがクツワをはめ、軽トラのフレームにロープで繋ぐと動かなくなった。まな板の鯉状態。 なるほど、クツワというのは人間が家畜をコントロールするために編み出したアイテムなのだな、と深く納得した。

剪定バサミのようなもので角の根元を切り取る。ブビエ~!!!と絶叫しながら激しく頭を振る。舎長も一緒になって悲鳴をあげ、人気のない白昼の住宅街が騒然とする。

悪戦苦闘すること5分~10分? やっと角が切り取れた。血が激しく噴き出す。私も血しぶきを浴びながら必死でトチの首輪を掴み抑える。

ズームイン。水鉄砲のように血が噴き出しているのが見えるだろうか。

切り取った後をガスバーナーで焼くと血が止まった。

消毒液?を傷口にかけ右角の処置完了。

これが切り取られたトチの右角。

次は頭蓋骨に突き刺さりつつある左の角。

これはワイヤー状のノコギリであっけないほど簡単に切り取れた。トチもほとんど痛がらない。

フーッ…深いため息が出た。長い時間が過ぎたように感じたが、時間を見ると先生の家について30分ほどしか経っていなかった。角2本を切る(1本は根っこから)というこの大手術の代金は、たったの3000円。先生の背中に手を合わせたい気分だった。

(オマケ)帰り道、役場によって期日前投票を済ませた。

下はツイッターから拾った画像。過去4回の衆議院選挙の投票率と自民党の絶対得票率(比例)と自民党の全獲得議席数の関係を比べたもの。自民党の絶対得票率は16~18%でほぼ変化無しだが、投票率が落ちると獲得議席が跳ね上がるというミラクル。

投票後「投票済証明書」をもらって帰る。これを持って博多・長浜ラーメンの一風堂(全国93店舗)へ行くと、無料で「替玉」がもらえると聞いた。しかもキャンペーン期間中(7月21日~31日)何度でもOKだと。みんな、選挙、行こうね。

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