トチは2016年5月、有角のオス山羊として生まれた。角があると事故が起こりやすいので生後9日目に、南丹市内のるり渓やぎ農園で除角をしてもらった。除角は生後7~10日の間に実施する。専用の電気ゴテを角の芽の部分に押し当て角芽部を焼き切るのだが、十分に焼き切れないと角芽部が残り、そこから変形した角が生えてくる。しばらくしてトチの除角が失敗だったことがわかった。
変形した角は次第に伸び、ついに左側(向かって右側)の短い方の角が、くるりと弧を描いて自分の頭に突き当たるようになった。これを放置しておくと角が頭蓋骨を突き破って死に至る事例もある、と聞いた舎長は獣医さんに角を切ってもらうことにした。
ところが、獣医の三浦先生のところへ連れていくことが決まった後、なんと右側の長い方の角が柵に引っかかり、角が半分取れかけた。ブビエ~~~!という恐ろしい鳴き声が母屋まで聞こえたので、舎長が駆けつけると、角の付け根から血を噴き出し、ホラー映画のような顔になったトチがいた。数日して血は固まり出血も止まったが、何かの拍子にどこかに角が当たるとそこからまた鮮血がほとばしった。よっぽど痛かったのだろう、その後のトチは部屋の中にこもってビクビク怯えながら暮らすようになった。
7月18日、つかの間の梅雨の晴れ間。この取れかけた角もついでに根元から切り取ってもらうことにし、いやがるトチをなんとか軽トラの後ろのケージに押し込み、三浦先生の家へ向かった。
プラスドライバーでケージの上の板を1枚はずし、トチの頭を出し、クツワをはめる。頭を振って激しく抵抗するトチ。
だがクツワをはめ、軽トラのフレームにロープで繋ぐと動かなくなった。まな板の鯉状態。 なるほど、クツワというのは人間が家畜をコントロールするために編み出したアイテムなのだな、と深く納得した。
剪定バサミのようなもので角の根元を切り取る。ブビエ~!!!と絶叫しながら激しく頭を振る。舎長も一緒になって悲鳴をあげ、人気のない白昼の住宅街が騒然とする。
悪戦苦闘すること5分~10分? やっと角が切り取れた。血が激しく噴き出す。私も血しぶきを浴びながら必死でトチの首輪を掴み抑える。
ズームイン。水鉄砲のように血が噴き出しているのが見えるだろうか。
切り取った後をガスバーナーで焼くと血が止まった。
消毒液?を傷口にかけ右角の処置完了。
これが切り取られたトチの右角。
次は頭蓋骨に突き刺さりつつある左の角。
これはワイヤー状のノコギリであっけないほど簡単に切り取れた。トチもほとんど痛がらない。
フーッ…深いため息が出た。長い時間が過ぎたように感じたが、時間を見ると先生の家について30分ほどしか経っていなかった。角2本を切る(1本は根っこから)というこの大手術の代金は、たったの3000円。先生の背中に手を合わせたい気分だった。
(オマケ)帰り道、役場によって期日前投票を済ませた。
下はツイッターから拾った画像。過去4回の衆議院選挙の投票率と自民党の絶対得票率(比例)と自民党の全獲得議席数の関係を比べたもの。自民党の絶対得票率は16~18%でほぼ変化無しだが、投票率が落ちると獲得議席が跳ね上がるというミラクル。
投票後「投票済証明書」をもらって帰る。これを持って博多・長浜ラーメンの一風堂(全国93店舗)へ行くと、無料で「替玉」がもらえると聞いた。しかもキャンペーン期間中(7月21日~31日)何度でもOKだと。みんな、選挙、行こうね。