とねり日記

とりことや舎人(とねり)の
どげんかせんとの日々

トチの角(閲覧注意)

2019年07月19日 | わが舎の動物たち

トチは2016年5月、有角のオス山羊として生まれた。角があると事故が起こりやすいので生後9日目に、南丹市内のるり渓やぎ農園で除角をしてもらった。除角は生後7~10日の間に実施する。専用の電気ゴテを角の芽の部分に押し当て角芽部を焼き切るのだが、十分に焼き切れないと角芽部が残り、そこから変形した角が生えてくる。しばらくしてトチの除角が失敗だったことがわかった。

変形した角は次第に伸び、ついに左側(向かって右側)の短い方の角が、くるりと弧を描いて自分の頭に突き当たるようになった。これを放置しておくと角が頭蓋骨を突き破って死に至る事例もある、と聞いた舎長は獣医さんに角を切ってもらうことにした。

ところが、獣医の三浦先生のところへ連れていくことが決まった後、なんと右側の長い方の角が柵に引っかかり、角が半分取れかけた。ブビエ~~~!という恐ろしい鳴き声が母屋まで聞こえたので、舎長が駆けつけると、角の付け根から血を噴き出し、ホラー映画のような顔になったトチがいた。数日して血は固まり出血も止まったが、何かの拍子にどこかに角が当たるとそこからまた鮮血がほとばしった。よっぽど痛かったのだろう、その後のトチは部屋の中にこもってビクビク怯えながら暮らすようになった。

7月18日、つかの間の梅雨の晴れ間。この取れかけた角もついでに根元から切り取ってもらうことにし、いやがるトチをなんとか軽トラの後ろのケージに押し込み、三浦先生の家へ向かった。

プラスドライバーでケージの上の板を1枚はずし、トチの頭を出し、クツワをはめる。頭を振って激しく抵抗するトチ。

だがクツワをはめ、軽トラのフレームにロープで繋ぐと動かなくなった。まな板の鯉状態。 なるほど、クツワというのは人間が家畜をコントロールするために編み出したアイテムなのだな、と深く納得した。

剪定バサミのようなもので角の根元を切り取る。ブビエ~!!!と絶叫しながら激しく頭を振る。舎長も一緒になって悲鳴をあげ、人気のない白昼の住宅街が騒然とする。

悪戦苦闘すること5分~10分? やっと角が切り取れた。血が激しく噴き出す。私も血しぶきを浴びながら必死でトチの首輪を掴み抑える。

ズームイン。水鉄砲のように血が噴き出しているのが見えるだろうか。

切り取った後をガスバーナーで焼くと血が止まった。

消毒液?を傷口にかけ右角の処置完了。

これが切り取られたトチの右角。

次は頭蓋骨に突き刺さりつつある左の角。

これはワイヤー状のノコギリであっけないほど簡単に切り取れた。トチもほとんど痛がらない。

フーッ…深いため息が出た。長い時間が過ぎたように感じたが、時間を見ると先生の家について30分ほどしか経っていなかった。角2本を切る(1本は根っこから)というこの大手術の代金は、たったの3000円。先生の背中に手を合わせたい気分だった。

(オマケ)帰り道、役場によって期日前投票を済ませた。

下はツイッターから拾った画像。過去4回の衆議院選挙の投票率と自民党の絶対得票率(比例)と自民党の全獲得議席数の関係を比べたもの。自民党の絶対得票率は16~18%でほぼ変化無しだが、投票率が落ちると獲得議席が跳ね上がるというミラクル。

投票後「投票済証明書」をもらって帰る。これを持って博多・長浜ラーメンの一風堂(全国93店舗)へ行くと、無料で「替玉」がもらえると聞いた。しかもキャンペーン期間中(7月21日~31日)何度でもOKだと。みんな、選挙、行こうね。

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9年目と1年目

2019年07月10日 | 田んぼ・野良仕事

チェーン除草が一通り終わり、田草取りの時期になった。

今年のチェーン除草は、途中からやり方を変えた。1回目は田植え後7日目。去年と同様、田んぼのなかを歩いて引っぱる。

だが、2回目以降は、除草機にロープを付けて、田んぼの畦から引っぱった。田んぼの端から端まで40メートルあるので、ロープの長さは45メートル。

これを2本付けて、舎長と二人で対岸から交互に引っぱる。泥田のなかを歩いて引くより楽だし早い。

2枚の田んぼのうち、今年から始めた「新田(しんでん)」はほぼ1週間おきに4回除草。

除草後の田。チェーンに掻き取られた子葉期の雑草が浮いている。

そしてこれは2回目の除草前の様子。除草しても除草しても田んぼの底の方から新たな種が浮力で浮き上がってきて、次から次へと発芽してくる。

 

さて、もう1枚の田、有機無農薬栽培9年目の田はどうか。

田植え2日後に4キロ(反当たり20キロ)のヌカを撒き、

その3日後、自家製乳酸菌10リットルを噴霧。 

 

チェーン除草は1回しかおこなっていないが、草はほとんど生えていない。

蛙が気持ちよさそうに泳いでいる。

有機無農薬1年目と9年目とではこれだけの差が出るのだ。

長年、農薬と化学肥料を使い続けた田には有機物を分解する菌や微生物が少ない。その代わりアンモニア化成菌など無機物を分解する菌が多数派になっている。そこへ有機肥料を投入すると、分解・発酵ではなく、腐敗が進む。数年前までヌカ投入後のわが舎の田んぼからはドブのような悪臭がし、草取りのため田んぼに入ると、メタンガスのような臭いガスがブクブクと盛んに湧いたのはこのためだ。だがあきらめずに有機肥料を入れ続けていると(有機物を分解する)有用菌が増えてくる。すると、有機物が分解されて有機酸を生じ、加えて有機物を食べる微生物も爆発的に増えて過還元(酸素不足)状態となり、この2つが相まって雑草の発生が抑えられる。有用菌や微生物の少ない田ではヌカの除草効果が発揮されないばかりか、逆に苗を痛めつけていたのだ。

有機無農薬栽培を初めて5年目あたりからようやく土が変わってきて、抑草効果が発揮されるようになり収量も伸び出した。「土が変わる」「地力がつく」ということの意味を身を持って知った歳月だった。

身を持って知ったことを新しい田で活かそうと、新田では田起こし前にヌカを撒き、乳酸菌を噴霧してから鋤き込み、田植え2週間ほど前に荒代を掻いた。そして前述の「逆効果」を避けるために田植え後はヌカを撒かなかった。

さて、田植えの日、新田に入ると、ヌカ+乳酸菌の効果がはっきりと感じられた。足を踏み入れるとラクトース臭の発酵ガスがブクブクと湧き出てきた。

数日が経過すると、見た目にも雑草の発生が抑えられていると感じられるほどになった。2回代掻きをして1番草(代掻き後、最初に発芽してくる雑草)を叩いたのと、鋤き込んだヌカがじんわり効いているのかな…。だがそれでも、チェーン除草を4度やってなお、多い所ではこんな状態。草取りに入らざるを得ない。

さあ、これからが本番や。ド貧乏のドン百姓のド根性を見せたろやないかい! 渡辺てる子に負けへんで〜!!

ん? 渡辺てる子? 誰? ここからはオマケ。朝起きて、足がだるい、肩が痛い、腰が重い、今日も田草取りか~、フトンから出たくな~い、と思うとき、ユーチューブで昨夜のてるちゃんの演説を聞くと一発で起きられる。検索して聞いてみてください。きっとあなたのネジも巻いてくれるよ。

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