とねり日記

とりことや舎人(とねり)の
どげんかせんとの日々

白炭へGO!(5) 天井の床

2015年03月24日 | 山里から
わが舎の裏庭の梅もようやく開きました。
今年は例年に比べいくらか春が早いようでうれしい。
寺山修司は「東京」という言葉を聞いただけで胸が締め付けられた、と書いていたが、私は「春」という言葉を発しただけで胸がいっぱいになり涙腺がゆるむ。
厳しかった冬がようやく終わる。

2月の終わりころ、窯の壁も予定の高さまで積み上がった。


煙突作りも進む。


続いて壁塗り。


火を囲んで休憩。
ノグさんの作ってくれたぜんざいで暖まる。


壁を塗りおえたら、敷(しき=床)にかかる。消石灰を混ぜた土を入れてたたき締める。


敷には微妙なカーブをつける。
窯の入り口(焚き口)から煙の出口の下(煙突の一番下)までは水平。だが、窯の入り口と煙の出口下を結んだ線から左右の壁に向かって煙の出口の高さの幅(5センチほど)だけなだらかに上昇する。ざっくりいうと窯の中央部分の床はスノボーのハーフパイプのような感じになっているわけね。そして左右の壁と床が交わる接点は煙の出口の上と同じ高さになっているということ。
言葉で説明してもわかりにくいでしょうねえ。
とにかく、その根気のいる微妙な仕事をせーやんがやってくれました。

平行して煙突の最上部を作る。これが難題だった。


最上部は直径7センチ5ミリまで絞らなければならない。
これをレンガを積んで絞っていくと、内部は逆階段状になり、煙の渦が至る所にできてスムーズに流れないのではないかと懸念される。
どうすればよいか。
ナガちゃんが一晩かかって考えたアイデアは…
型枠を作って、その中心に円錐状に削った杉の丸太を立てる。円錐の上部は直径7.5センチ、下部は積み上げてきたレンガの幅。
ここへ耐火セメントを流し込む。
枠と杉丸太には灯油とエンジンオイルを混ぜた剥離剤を塗った。

1週間後、丸太の頭をたたいて引っ張り出すと…


壁もでき床もできたところで、天井作りにかかる。
天井は土と耐火セメントを混ぜたものを25センチくらいの厚さに盛り、それを20センチくらいまで叩き締めて作る。その土を乗せる「天井の床」を作らなければならない。

まずは壁の内側に丸太の柱を立て、


柱の上に壁に沿って丸太を這わせる。


そこへ丸太を横に並べて架ける。
人が乗ってもビクともしない。
「鴨川の床(京都の夏の風物詩)みたいやなあ。ビール飲みたいなあ」とナガちゃん。


さらに丸太を乗せて、天井のアーチの大まかな形を作り、


そこへ「シゴ」を乗せて形を整えていく。


シゴというのは「4~5」の意、4寸(12センチ)~5寸(15センチ)ほどの短い木のこと。

お彼岸過ぎの春の日差しを浴びて、役場のマナちゃん(炭系女子)がチェーンソーでシゴを切る。
チェーンソーを使うのはこの日が初めて。
おじさんたちも仕事をしながら、注意深く見守る。


そして美しくできあがりました。


煙突も、ほれ、このとおり。


気がつけば春本番です。

コメント (2)
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