とねり日記

とりことや舎人(とねり)の
どげんかせんとの日々

秋の実り、BOX冬便へ

2019年11月19日 | 山里から
台風19号の強風で稲木が倒壊して、一時はどうなることかと気を揉んだ今年の稲作も、なんとか無事に終えることができた。

天日乾燥を終え、稲こき(脱穀)をし、

乾燥が足りない分はむしろに広げて干す。16%以下にしないと保存中にカビが生えてしまうこともある。

秋晴れの一日、午前9時半ごろから籾米をむしろに広げ、お昼ごろに一度手のひらでかき混ぜる。シャラシャラという音がしたら乾いてきた証拠。午後2時半ごろに干し終わる。よく晴れた日に5時間干せば20%あった水分が14~15%程度まで下がる。

乾燥した米を小型籾摺り機にかけ脱稃(だっぷ)、すなわち籾殻を取り除き玄米にする。
これで4月の苗作りから始まった米作りがすべて終わった。
玄米は10キロずつ袋詰めして保冷庫で保管。1年かけて食べていく。

2019年産イセヒカリ。
今年の出来具合は豊作でもなく凶作でもなく、ボチボチかな。ただカメムシに食害された米粒が多少目立った。でも食味にはまったく関係ない。無農薬の証だ。

新米ができたので「とりことBOX冬便」の準備にかかる。


(表紙デザインはアクセサリー作家のY子ちゃん。いつもイベントで裏方スタッフをしてくれる、キュートでファンキーなイケてる女の子)

入るのはいつもの、イセヒカリ(3kg)、黒米(200g)、五色米(200g)、手作りジャム(2種)、フルーツケーキ、クッキー、黒米甘酒、加工味噌(ゆずみそ等)、野山のめぐみ雑穀茶、ベーコン、かき餅、クリチチ石鹸などのほか、お楽しみの何か。

□お値段:1万円(税込)+送料
 商品到着後、お振り込みください。
□ご注文方法:メールでお申し込みください。
 ご注文の際は氏名、住所、電話番号をご明記ください。
 イセヒカリは玄米・白米のご希望をお書き添えください。
 メール:toricotoya@gmail.com
 確認メールの返信をもって受けつけといたします。
□締め切り:無くなりしだい締め切ります。
□発送:12月18日(水)~19日(木)
 生ものが入るため、発送日の変更はできません。
 発送日が変わる場合は事前にお知らせいたします。
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野生のウン国

2019年11月15日 | 山里から
今年は近畿地方は台風の直撃を受けなかった。去年は3回ほど直撃され、道が流されたり浸水したりで大変な目にあったので、台風シーズンが終わってホッとしている。そのかわり東日本が何度も直撃され、大きな被害を受けた。心からお見舞い申し上げます。

さて、10月なかば、台風20号「ノグリー」(韓国語でタヌキ)が日本に近づきつつあったころ、わが舎にもタヌキが姿を見せるようになった。いつも2匹、夫婦か親子か兄弟姉妹だろうか。昼下がりに現れた豆ダヌキ。しばらくクリと見つめ合った後、


放牧場を横切って


堆肥置き場で野菜クズなどをあさる。そこへ大きい方のタヌキが合流。


日に日に大胆になり、前庭に落ちている柿を食べたり、部屋の中を覗いてお客さんと目が合ったりしていたのだが、ある日、ぱったり姿を見せなくなった。


なぜ来なくなったのかなあ。テンは変わらず毎晩やってくるというのに。テンはあえて目立つ場所に糞をする習性がある。舎長によると単独で行動するテンはこれ見よがしに糞を見せることで仲間とコミュニケーションしているのだそうだ。


裏庭の木道の上にも。


そんなある日、柿の木の下で異様なものを見た。吐瀉物のような下痢便のような…

周りに柿の葉や実が大量に落ちている。猿か何かが木に登って柿を食べ散らかしたのかなあ、そしておなかをこわして下痢したのかなあ。鼻を近づけて匂いをかいだが爽やかな柿の匂いだ。糞や吐瀉物のようなくさい臭いはしない。よくわからないまま片付けたが、翌朝、えらいことになっていた。

玄関前の柿の枝が折れ、


農機具小屋横の柿の木に繋いでおいた柵が壊され、


幹にはするどいツメ跡が残り、


樹上には枝を折り集めて「熊棚」が作られてあった。


熊が枝を折りながら柿の実を食べ、折った枝を座布団のように敷いて作ったものだ。


そして裏庭にはっきりそれとわかる熊の糞。

ネットで検索してみると、熊の糞について「食べたものを そのまますりつぶしたようなフンになります。ドングリを食べたクマのフンは黄土色、リンゴを食べたクマのフンはまるですりおろしリンゴのようです。くさい匂いもほとんどなく、食べたものそのままの匂いがします 」とあった(獣害被害対策.comのウェブサイトより)。
つまり地表で脱糞したときはウンチが潰れずに芋のような形で残るが、樹上で脱糞すると落下速度がついて地表に衝突しひしゃげてグチャグチャになる、ということではないかな。
もしかしてタヌキが姿を見せなくなったのは熊が来たからかな…猟で罠を仕掛けているとわかるが、罠の周りにイノシシが徘徊すると鹿が寄りつかなくなり、熊が徘徊するとイノシシも寄りつかなくなるからなあ。
こうなったら決定的瞬間を押さえてやる、と動物写真家のようにカーテンの隙間にカメラを設置したが二晩にわたって失敗。私たちが寝込んだスキを狙うかのように熊がやってきていた。


そして次の夜。舎長が深夜、トイレに立った際、ガサゴソする音に気付いて農機具小屋横の柿の木を見にいくと、柿の木の上の方、懐中電灯にうっすら白く照らされている光の輪の中(木の下の方は門灯の灯り)に熊が確認できた。枝にしがみつきながら二股の枝の間から顔を出し口から舌がのぞいている。闇夜の熊だから判然としないが、わかるかなあ…

懐中電灯で照らされ熊も驚いたようで、慌てて柿の木から降り、川の方へ逃げ去った。そしてこの夜から熊は出てこなくなった。少し可哀想な気もした。京都府によると今年はコナラ、クヌギなどの堅果類(つまりドングリ類)が凶作なのだそうだ。冬眠に備えて熊はこの時期、カロリーの高い堅果類を食いだめする。以前、知り合いの猟師から「秋に、ほとんど水分だけの柿の実を食べに里に下りてくるのは山によっぽど食べ物がないからや」と聞いたことがある。

大量に折れた枝は数日の間、クリのランチになった。柿の実と葉はヤギの大好物。

これは? 鹿の糞?
いえいえ、よく似ているけどクリのウンチ。黒豆のようなツヤのある健康なウンチ。クリは元気です。

コメント (2)
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追悼 トチ カヤ

2019年11月06日 | わが舎の動物たち

カヤとトチが相次いで死んだ。どちらも突然死だった。

10月20日午後、夏野菜を始末した後の畑へトチとカヤを入れて茂った草などを食べさせていたところ、1時間ほどでカヤが座り込んでしまった。あの食い意地旺盛なカヤにしては変だなとは思ったのだが…。

舎長によると、ヤギたちを小屋に戻すとき、他のヤギたちは走って小屋に戻ったが、カヤは立ち上がろうとせず、舎長に引っ張られて小屋に戻ったそうだ。その夜9時40分ごろ、寝入りばなを舎長に起こされてヤギ小屋に駆けつけると、呻き声を上げながらカヤが小屋の外に横たわっていた。荒い息を吐き谷じゅうに響き渡るような声でウー、ウーと呻いている。なすすべもなく「カヤ! カヤ!」と呼びかけながら腹をさすっていたが、やがて口のまわりにうっすら泡のような唾液を残してカヤは息絶えた。9時55分だった。

それから4日後の10月24日、舎長と外出し夜9時ごろ帰宅すると、小屋の中にトチが横たわり既に息絶えていた。トチの体にはまだ微かにぬくもりが残っていた。出かける前までトチはごく普通だった。トチもカヤも死んだ翌日に京都府・南丹家畜保健所に運んだ。

トチが生まれたのは2016年5月7日。クリの最初の子だった。父親は同じ南丹市内にある「るり渓やぎ農園」のオス山羊・チューボー(こちら)。

ピョンピョン飛び跳ねる真っ白な子ヤギだった。「真っ白な子ヤギ」というのは同義反復みたいなもの。「ピョンピョン跳ねる子ヤギ」もそう。子ヤギというのは(ザーネン種であれば)どの子ヤギも真っ白でピョンピョン跳ねるのだから。

そんなトチは、生まれてから何度も「痛い目」に遭ってきた。

最初の痛い目は、除角。生まれて11日後、るり渓やぎ農園で角の核を電気ゴテで焼き切ってもらった。悲鳴をあげながらの除核だったが十分に焼き切れていなかったようで、後に除角が失敗だったことを知る。何か月が経ったころ核の部分から柔らかく歪んだ角が生えてきたのだ。その角が伸びて来るたびに、鉄製の網や柵などに引っかけて根元から角が取れ、顔を血だらけにしてトチは泣いた。

次に、生後3か月弱のころ獣医の三浦先生に去勢してもらった。オス山羊の家畜としての価値は、種オス、食肉用、草刈り用(去勢)しかないが、わが舎の場合、ひとりぼっちのクリの「お連ヤギ」として、オスであれメスであれ生まれた子ヤギを飼い続ることに決めていた。本で読んだのだが、スイスではヤギを1頭だけで飼うと動物保護法で処罰されるのだという。群れで生きるヤギを1頭だけで飼うのは虐待になるという。1頭では可愛そうと思い、もう1頭いないかと探しまわったが子ヤギを得ることはできず、結局、クリに子を産ませ、生まれた子をお連れにしようということになった。結果、オスが生まれ、飼い続けるために去勢した。基本的に産業獣医の外科手術は麻酔など使わない。トチと舎長が悲鳴をあげるなかタマタマ切除手術が執刀された(こちら)。

第3、翌年の冬に脚の腱を切った。

大雪の日で、車に乗りたがらないトチにクリが付き添って三浦先生のところへ連れていった。

その後は角が取れかかったり、歪化した角が伸びて頭蓋骨に突き刺さってきたため切断したりということもあったが、概ね大過なく成長し、

わが舎の人気ヤギとして、特に女性のお客さんから熱い支持を受けてきた。

 

カヤは、トチと1年違いの同じ日、20017年5月7日に生まれた。双子で生まれたオス山羊(タブ)は近所の酪農家へもらわれていった。

生まれてすぐに母ヤギのクリが足を痛め授乳が困難になり、人間用の哺乳びんで与えようとしたが、うまくいかず、

搾った乳を洗面器に入れて飲ませた。

幼いカヤは牧瀬里穂に似た可愛い子ヤギだったが、メンタルは強かった。

よくトチ兄ちゃんにいじめられたが、大人のヤギたちに混じっても決してひるむことなく、よく食べ成長していった。

節分の日、年の数の豆を食べる一家。

トチ、カヤ、短い間だったけれどありがとう。世話の焼けることもあったけれど、私たちやお客さんにたくさんの笑顔をくれたね。

カヤが死んだ翌21日、お客さんが発たれた後、家畜保健所に運んだが、法定伝染病の疑いがなければ解剖はしないと言われた。だが4日後、トチも急死したことで翌25日に保健所が解剖してくれることになった。

解剖の結果、腸炎が原因だろうと言うことだったが、なぜ腸炎が起きたかについては、細菌や寄生虫の影響かもしれないという程度で、立て続けの2匹の急死に納得いく説明は得られなかった。

クリは再び一人になった。

大事に育てていきたい。

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