とねり日記

とりことや舎人(とねり)の
どげんかせんとの日々

夏の思ひ出(2)鶏たちとの会話

2021年08月29日 | 山里から

土間の外を誰かが行ったり来たりしている。

通り過ぎるときチラリとこちらを見たりして…とら屋の前を行き過ぎるときの寅さんのように。

ピーコガード(鶏が入ってこないための格子状の衝立)を開けて外に出てみると、ミリチャが「クーックック」と低く鳴きながらうずくまるような仕草をする。

卵産みたいのかい?

舎長が抱えて小屋へ連れて行く。

さあ、お入り。

小屋に入れて戸を閉めると、ミリチャは産み箱の横に立ち、一度だけ前に回ってからまた箱の横に戻り、よっこらしょと飛び上がって産み箱の中に入る。

20分ほどすると産み箱から出て、やはりクーックックと低く鳴いて小屋の中を歩き回り、外に出してほしいとアピールを始める。厨房からも聞こえるその声で、舎長が出て行って鶏小屋の戸を開けてやる。

そして、産み箱の中を覗くと、ほれ。

入舎5年のベテランだが、まだ二日に一度は卵を産む。偉いねえ。

しばらくすると今度はツブコがウロウロし始めた。

おやおや、あんたも産みたいのかい?

ツブコは自分から小屋の前まで歩いて行き、

戸を開けてやると、

サッと入り、

やはり産み箱の横に立って、一呼吸おいてから、跳び上がる。

30分ほどしてポコンと産んで、「コケ-コッコッコ!」と大きな声で産んだことを知らせてくれる。

ツブコは入舎7年2か月の最長老。それでも三日に一度くらいのペースで産む。すごいねえ。

この日の卵は合計5個。手前の三つがピコたちが産んだ卵。奥の二つがミリとツブ。ピコたちは去年12月に初卵を産んでから今日までの8か月あまり、毎日産んでいる。おかげで、お客さんが次々やってきたこの夏も卵に困ることはなかった。

おやおや、あんたたち、今度は何? 夕方、鶏たちが土間の前に集まっているので外に出ると…

そうかいそうかい、遊び疲れたんだね。小屋に入りたいんだね。さあ、おいで。

朝8時に外に出てから夕方5時まで、さすがに「堪能したわあ」。

皆満足して小屋に帰っていった。

わが舎の鶏たち、舎長と会話できるようなんです。

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夏の思ひ出(1)壁塗り

2021年08月25日 | 山里から

いやあ、大変な夏でしたねえ…

コロナ、オリンピック、長雨…

季節がおかしくなっているよね。ここへ来て20年になるが、極寒の冬、異様に早い桜の開花、観測史上最速の梅雨入り、そして8月の盆前に「秋雨前線」だとさ。この調子だと、最速の木枯らし1号、そして12月にはドカ雪が降るかもね。

ということはさておき、諸々の異変、流行病、政治の機能不全が続くなかで、わが「farm-inn とりこと舎」は開業以来最多のご宿泊があり、そのうえ能の発表会まであり、てんてこ舞いの夏だった。

そんなわけでブログを書く暇も無かったので、この夏の出来事をまとめてご紹介。

8月初め、お客さんの途切れた一瞬を突いて、風呂の壁塗り。

民宿開業時に塗って以来だから5年ぶり。下地がまだらに浮き出て気になっていたので上塗りすることにした。

舎長が楽しそうに壁塗りするので助かる。私は左官が苦手なんです。

ケーキに生クリームを塗るのと同じ感じなのだとか…

コテ板にホームセンターで買ってきた調合済み漆喰を載せる。

その名も「うま~くヌレール」。

「消臭&調湿」、「不燃&防カビ」、「抗菌…抗ウイルス」!。すごいね漆喰。「コロナ時代」の壁材だ。

舎長にとっても久しぶりの壁塗り。この家を直していた時期、2012年から16年まで、いろいろと塗りましたね。こねる時の手の返し。あのときの感触がよみがえる?

まずは下塗りから。

なるべく薄くのばしていく。

下塗りがすんだら半日ほど乾かし、仕上げの上塗りをする。

完成です。舎長手塗りの漆喰壁。タイルも5年前に私たちが貼ったものです。

狭いけど、ゆっくり温まってください。

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プロテクト・イン・サマー

2021年08月16日 | 山里から

お盆前にヤギ小屋の下の斜面の草刈りをしていたらスズメバチに刺された。地元で「カメバチ」と呼ばれるキイロスズメバチだと思う。小型だが凶暴なやつ。通常、巣は屋根裏や庇の下など高い所に作るので油断していたが、ネットで調べると土手の斜面に開いた横穴などにも巣を作ることがあるそうだ。このままでは草刈りが続けられない。日没を待って駆除することにした。暗くなると蜂が巣に帰ってくるので一網打尽にすることができる。昼間だと巣を取り除いても、出かけていた蜂が巣のあったあたりに戻ってきてブンブンするので安心して草刈り作業ができない。

南丹市役所の日吉支所で防護服を借りてきた。

舎長がカメラを向けたので、はいポーズ。これ能の基本姿勢。軽く膝を曲げ、スキーの前傾姿勢から上半身だけを起こす。簡単なようでもなかなか板に付かない。舞い始めはこの姿勢でスタートしても舞っているうちにいつの間にか膝も腰も伸びきってしまう。

ついでに発表会(8月22日です)の課題曲「田村」を舞ってみる。これ「左右」という仕草で仕舞の基本型の一つです。

ということはさて置いて、さあ出かけるぞ。

チャラチャッチャチャララーチャッチャ♪キラービーバスターズ!

昼間刺された付近を調べると斜面の小さなくぼみに直径10センチくらい、まだできたてのスズメバチの巣があった。

市販の蜂用強力スプレーを巣めがけて噴射する。

蜂が飛ばなくなったら棒で巣を破壊。

これでよし。

無事、帰って参りました。暑~っ

ところで、実は私、今回含めて二度(三カ所)スズメバチに刺されている。前回は4年前、古い空き家を見学に行ったとき、二カ所刺され、2週間近く痛んだ。今回、刺された箇所が膝頭あたりだったので、傷口を指で強く挟んで毒液を押しだし、口でも繰り返し吸い出した。おかげで痛みは半日ほど、2~3日で完治した。昔聴いたスネークマンショーの「急いで口で吸え」がなぜか耳によみがえってきたんだよね。

恐れられているスズメバチだが、毛虫などを食べる益虫でもある。巣に近づかない限り襲っては来ない。例えばスズメバチが捕食活動をしているときなどは数センチまで近寄っても攻撃してくることはない。人の生活圏内で危険と思われる場合以外はむやみやたらと駆除する必要はない。巣を作りそうな場所(スズメバチの生活圏)に不用意に接近しないことも肝心。

スズメバチ駆除からほどなく…これは一体何をしているのか? 何の防護服?

実は、クリの餌の干し草(オーツとチモシー)をブレンドしているところだが、私はチモシーの粉塵を浴びるとクシャミや肌の発疹が止まらない。ヤギを飼い干し草を扱うようになって初めて自分がチモシーアレルギーだということを知った。知らんでもええ人生だったかも知らないが、こういう道に踏み込んできた訳なんだよなあ…。で、アレルギーだとわかって以降、チモシーをやめてアルファルファに替えたのだが、7月末に美山の牛飼いさんのところに干し草を引き取りにいったとき、事情があってアルファが引き取れず、やむなくチモシーをもらって帰ったというわけ。

真夏に長袖のウインドブレーカーを着て、炭切りのときに使っていた防塵マスクをして、アームカバーをして、ゴム手袋をして、ゴーグルをかけて、2種類の干し草をブレンドした。クリのためなら多少の我慢はしますよ。

向かって左がチモシー、右がオーツ。

この乾燥した穂が粉塵になって私を襲う。

そして、ウィルスもプロテクト。

宿泊業には自粛要請も無いし補助金もない。お客さんを受け入れていかないと経済的に首が絞まる。

不安もあるが、細心の注意を払い営業を続ける。

お客さんや知人、友人たちに支えられながら…

コメント (2)
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