7月26日は私のン回目の誕生日。
夕方、イマやんがお祝いにナマズとウナギをもってやって来た。
イマやんはベテランの猟師で、いろいろと教えてもらったり、少し変わった獲物が獲れたときにおすそ分けをもらったりする。
杉板で急ごしらえのまな板を作って、火を熾して待っていると、さっさとやって来て、さっさとさばき始めた。
まずはナマズから。
頭をアイスピックでまな板に打ち付け、背中から開く。
外観とは裏腹に中身はきれいな白身。
次はウナギ。細長いし、身を捻(ねじ)って抵抗するし、ナマズよりも苦戦。
ナマズ2匹とウナギ1匹を開いたところで、焼きにかかる。
皮の側から焼くのか身の側から焼くのか迷って舎長に相談すると「『魚身鶏皮(うおみとりかわ)』というから身からかなあ…。そもそもナマズって魚なん?」と自信なさげ。
「えら呼吸してるから魚類やろうよ…」私も自信がない。
後でネットで調べると「ナマズ目ナマズ科に属する硬骨魚類の1種」で英語では「キャットフィッシュ」というそうだ。やっぱりフィッシュだ。じゃあオオサンショウウオはどうなんだ。ウオなんか。とか疑問は次々とわいてくるのだが、とにかくまあナマズは魚なんじゃないかなということで最初に開いたナマズは身の側から焼いてみた。
大失敗でした。身が網にくっついて串も打ってなかったからボロボロになり、なんとも情けない姿になってしまった。
2匹目のウナギと格闘中のイマやんに聞くと
「皮からに決まってるがな。『川は皮から、海は身から』言うやんけ」
川の魚は皮の側から、海の魚は身の側からということだ。
ほーっ、そんな言葉もあるのか。
てなことを申しておりますうちに、上(かみ)の方からヒトっちゃんが野菜と焼酎をもってやってまいりました(ここはなぜか落語調)。しかもよいあんばいに串ももってきてくれた。
今度は串を打って皮の側から焼く。
両面がほどよく焼けたところでタレをぬり、もう一度焼く。
オー、うまそう。
この夜、ナマズ2匹、ウナギ2匹を食べた。
ナマズは生まれて初めて食べた。ウナギと似たような味だが、肉厚でいくらか身がぱさぱさする感じ。でも外見ほど悪くないんじゃないか?
ウナギはナマズよりもう一段、味が洗練されている。身もきめが細かく、口の中でとろける感じ。皮もパリッとしてうまい。
舎長いわく「うなぎ屋は日本中にあるけど、なまず屋はない理由がわかるわ」
うまいことを言う。
そもそもウナギがいないならナマズを食べるかもしれないが、どちらかを食べるのならウナギだよなあ。
われわれはどちらも食べたけど。
焼酎を飲みながらナマズウナギ談義が続く。
「ナマズに似たやつでな、ギィタいうのがうまいんや」とヒトッちゃん。
「頭はナマズやけど尾は魚で、30センチくらいになるやつや」
「ゴリ言うやつとちがう?」
「それとは違う。あれもうまいけどな」
「あれは正式名はヨシノボリ言うんや」
「昔そんな名前のプロレスラーがおったな」
「それはトヨノボリ」
「吉村なんとかいう弱いやつもおったろ?」
「いろいろおってプロレスいうもんは成り立っておるんや」
などとワイワイ言うておりますうちに日も暮れてまいりました。
暮れ六つの鐘がゴーン…
宴もたけなわとなったころでございます。
舎長が目にもとまらぬ早さで両腕を振り回し、鯰鰻(なまずうなぎ)踊りを始めたのでございます。
ナマズとウナギの霊が取り憑いたのでしょうか…
といったあたりでお開き。楽しい誕生日になりました。ありがとう。
後日、淡水魚図鑑で調べたところ、ヒトッちゃんの言う「ギィタ」は正式名称ギギと判明した。
写真を見るとまさに頭はナマズ、下半身は魚だ。「地方名:ギンタ(関西)」とある。
夕方、イマやんがお祝いにナマズとウナギをもってやって来た。
イマやんはベテランの猟師で、いろいろと教えてもらったり、少し変わった獲物が獲れたときにおすそ分けをもらったりする。
杉板で急ごしらえのまな板を作って、火を熾して待っていると、さっさとやって来て、さっさとさばき始めた。
まずはナマズから。
頭をアイスピックでまな板に打ち付け、背中から開く。
外観とは裏腹に中身はきれいな白身。
次はウナギ。細長いし、身を捻(ねじ)って抵抗するし、ナマズよりも苦戦。
ナマズ2匹とウナギ1匹を開いたところで、焼きにかかる。
皮の側から焼くのか身の側から焼くのか迷って舎長に相談すると「『魚身鶏皮(うおみとりかわ)』というから身からかなあ…。そもそもナマズって魚なん?」と自信なさげ。
「えら呼吸してるから魚類やろうよ…」私も自信がない。
後でネットで調べると「ナマズ目ナマズ科に属する硬骨魚類の1種」で英語では「キャットフィッシュ」というそうだ。やっぱりフィッシュだ。じゃあオオサンショウウオはどうなんだ。ウオなんか。とか疑問は次々とわいてくるのだが、とにかくまあナマズは魚なんじゃないかなということで最初に開いたナマズは身の側から焼いてみた。
大失敗でした。身が網にくっついて串も打ってなかったからボロボロになり、なんとも情けない姿になってしまった。
2匹目のウナギと格闘中のイマやんに聞くと
「皮からに決まってるがな。『川は皮から、海は身から』言うやんけ」
川の魚は皮の側から、海の魚は身の側からということだ。
ほーっ、そんな言葉もあるのか。
てなことを申しておりますうちに、上(かみ)の方からヒトっちゃんが野菜と焼酎をもってやってまいりました(ここはなぜか落語調)。しかもよいあんばいに串ももってきてくれた。
今度は串を打って皮の側から焼く。
両面がほどよく焼けたところでタレをぬり、もう一度焼く。
オー、うまそう。
この夜、ナマズ2匹、ウナギ2匹を食べた。
ナマズは生まれて初めて食べた。ウナギと似たような味だが、肉厚でいくらか身がぱさぱさする感じ。でも外見ほど悪くないんじゃないか?
ウナギはナマズよりもう一段、味が洗練されている。身もきめが細かく、口の中でとろける感じ。皮もパリッとしてうまい。
舎長いわく「うなぎ屋は日本中にあるけど、なまず屋はない理由がわかるわ」
うまいことを言う。
そもそもウナギがいないならナマズを食べるかもしれないが、どちらかを食べるのならウナギだよなあ。
われわれはどちらも食べたけど。
焼酎を飲みながらナマズウナギ談義が続く。
「ナマズに似たやつでな、ギィタいうのがうまいんや」とヒトッちゃん。
「頭はナマズやけど尾は魚で、30センチくらいになるやつや」
「ゴリ言うやつとちがう?」
「それとは違う。あれもうまいけどな」
「あれは正式名はヨシノボリ言うんや」
「昔そんな名前のプロレスラーがおったな」
「それはトヨノボリ」
「吉村なんとかいう弱いやつもおったろ?」
「いろいろおってプロレスいうもんは成り立っておるんや」
などとワイワイ言うておりますうちに日も暮れてまいりました。
暮れ六つの鐘がゴーン…
宴もたけなわとなったころでございます。
舎長が目にもとまらぬ早さで両腕を振り回し、鯰鰻(なまずうなぎ)踊りを始めたのでございます。
ナマズとウナギの霊が取り憑いたのでしょうか…
といったあたりでお開き。楽しい誕生日になりました。ありがとう。
後日、淡水魚図鑑で調べたところ、ヒトッちゃんの言う「ギィタ」は正式名称ギギと判明した。
写真を見るとまさに頭はナマズ、下半身は魚だ。「地方名:ギンタ(関西)」とある。