とねり日記

とりことや舎人(とねり)の
どげんかせんとの日々

コマの新居

2021年07月28日 | 山里から

暑いなあ。夏休みがほしいなあ。でも、期日を切られたタスクのあれこれを抱えて、不快な汗にまみれながら老躯に喝!を入れつつ仕事に励む日々が続く。

田んぼの草取り、迫り来る能の発表会のお稽古、ハイシーズン突入の民宿業、そして新しい鶏小屋作り…。

家主さんから土地の境界(私たちが賃借している土地と、賃借していない家主さんの所有地との境界)にフェンスを設けるので7月末までに鶏小屋を移動するように言われた。

上の写真の古い鶏小屋の背後の斜面にフェンスを作るのだという。

この古い鶏小屋、十数年前、隣の集落(東牧山)に住んでいた舎長のお友だちのOさんから譲っていただいたもの。Oさんが京都市内の実家に転居することになり、ベンチなどいくつかの大きな荷物とともにいただいた。Oさんのダンナさんが移動することを想定せずに作った(に違いない)ので、太くて厚い古材をふんだんに再利用して堅牢に作ってある。これを6人がかりで、当時、車が通ることのできなかったわが舎への坂道を人力で運び上げたのだが、いま持ち上げてみようと試みてもピクリともしない。「こんなものよく持ってこれたなあ」と我ながら感心してしまう。あの頃はみんな若かったんや…

以来、錆びて穴があいた金網を張り替えたりトタンで塞いだり、壁板を補修したりしながら使い続けてきたが、この際、新しく作りなおそうではないか。

重たくて私と舎長の力では動かせないので現場で解体し、新しい小屋は別の場所で作り、現場に運んで組み立てることにした。

というわけで、新しく作る鶏小屋の条件は、まず軽いこと。そして、パーツごとに運ぶことができること。そしてなるべくお金をかけないで作ろう。

うまいことに3㎝×4㎝角の古い角材が何本かあったので再利用することにした。壁や床に使うコンパネは新たに購入した。

コンパネをカットせず最大限有効に使い、軽量かつ強度を増すために、枠となる角材にホゾ穴を穿ち、

ホゾを切り出して繋ぐ。

屋根は別に作る。

トタンは離れの裏の物置小屋を解体したものの再利用。傘クギを抜いた穴のところに野地板がくるようにして、古いクギ穴に新しい傘クギを打つ。こうすれば雨が漏れない。

新しい小屋ができあがるころ、古い小屋の解体にかかる。

解体することを想定していないので、まあなんと頑丈に作ってあることか…

ようやく土台まで解体。ここまで解体してもまだ一人で運べない。舎長と二人えんやこらせーどっこいせ。

解体が済んだら、新しい小屋の立地スペースを空けるために、下の写真の三つの小屋を50~60㎝ほど北側(向かって右側)にずらす。

これも重たくて二人では運べないので、小屋の両脇に枕木を置き、その上に単管(直径7~8㎝の鉄管)を渡し、その上に小屋を乗せ転がして移動する。

空いたスペースにコンクリートブロックの基礎を据え、小屋を設置。別枠で作った屋根を載せてビスとフックで小屋に固定。解体した小屋のドアから外した蝶番で新しいドアを付け、錠を付け、出来上がり。

ドア枠もあれこれの端材の寄せ集め。このピーコマークは当舎オリジナル木工作品に押す焼き印の試し押しのときの端材。今回の鶏小屋総制作費はコンパネ4枚5962円+金網3m2094円+コンクリートブロック4個440円=8496円。

何とか4棟並んだ。以前と違い、ピーコたちの様子が母屋側から一望できるのがいいなあ。それと母屋と離れ(空き家)の間に挟まれているので台風などの風の影響を受けにくい。加えて水やり餌やりなど管理がしやすい。いいことずくめだ。

新居にはコマたちを入れた。

どうや? 新居の居心地は。

ありがチュー!

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舎長が謡う!舎人が舞う!

2021年07月12日 | 山里から

「能の世界を体感しよう!」

能の発表会が来月、京都府福知山市で催される。ところが、なんと、我々も、それに出ることになってしまった。半年前、入門したてのころ、師匠の萩原周子先生が8月に発表会らしいものがあると話していたが、まさか我々が出演するとは思ってもいなかったので涼しい顔をして聞き流していた。

「謡(うたい)10年、仕舞(しまい)3年」という言葉がある。その意味するところは、「10年も稽古すればまともに謡えるようになる」ではなく、「なんとかまともな稽古をつけられるようになるまで10年はかかる」という意味なのだそうだ。翻って私らは稽古を始めて半年ですよ。今もって訳がわからないまま(特に謡は)稽古に通っているのです。しかも他人が舞台のうえで舞ったり謡ったりするのを一度も肉眼で見たことのない我々が、他人に見せるって…。心の中はムンクの叫びのようになっている。先生は「よいチャンスですから」と涼しい顔でおっしゃいますけどねえ…。

能の世界では他人に自分の芸を披露することを「披(ひら)き」と言い、もう一段ステップアップしていくための仕掛けとして稽古の中にビルドインされているものらしい。つまり上手だからお披露目するのではなく、下手だからこそ、上手になるためにお披露目するってことなんだそうだ。いやあ、それにしても恥ずかしい。だから本当は誰にも見られたくないのだが、チケットを15枚も割り当てられているので、恥を忍んで、こうして告知しているのです。1枚2000円。伝統芸能を支えるため、どうか買ってください。

もちろん第1部の発表会は無料(ただし入場整理券が必要)だけど、上司の子供のピアノの発表会みたいなもののチケットは例えタダでもいらんよなあ。でも今回の発表会には第2部としてプロの能楽師の能と狂言が付いてくる(というか発表会の方が付録・前座かな?)。辰巳満次郎(萩原先生の師匠です)、茂山千三郎、以下総勢17名の能楽師が出演。これは値打ちがあると思うよ(見たことないけど)。

第1部(発表会)は午前11時からで第2部は15時から。私らはピカピカの新入りなので出番は第1部の一番最初。ですから11時半ごろいらしてくだされば、我々の演目は終わっているはずなので、そうしていただければ我々としてもありがたい。

萩原先生を先頭に宣伝やチケット販売に取り組んだので、報道各社も注目。

『両丹日日新聞』

『あやべ市民新聞』などの他、地域放送局の『FMいかる』や『FM丹波』にも紹介されたそうだ。

そして否が応でも稽古に熱が入る。

後列真ん中が先生。前列真ん中は私たちを能の世界に引っ張り込んだ農家民宿仲間のカズミちゃん。ゆくゆくは力を合わせて「お能家民宿」をやろうかと話し合っている。姉弟子たちの謡は「大江山」。私たち新入り組の謡は「小袖曽我」、新入り組は先生に「そんな声じゃ客席の前から3列目くらいまでしか聞こえませんよ」とか「小学校の国語の時間に音読しているみたいですね」とか言われながらも何とか謡らしくしようと頑張っている。仕舞は舎長が「西王母」

私は「田村」のクセ舞。

 

日時:8月22日(日曜日)※緊急事態宣言などで中止の場合は料金払い戻し

場所:福知山厚生会館

チケットのお求めは是非「とりこと舎」で。頼んます。

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