アレクサンドラキャプテンリュウメーメメお嬢様SUNきなこあずきここユアササン・クリは2014年3月20日、京都府南丹市の「るり渓やぎ農園」で生まれ、生まれて3か月ちょっとの7月3日にわが舎にやってきた。「・クリ」の前の長い長い名前は、オーナーさんたちが名付けてくれた11のファーストネームを続けたもの。ファーストネームのメーメー権(命名権)などを特典として、クリのオーナーを募集したところ数多くの応募があったのです。
これは生まれて4か月ちょっとの子ヤギのクリちゃん。
この一月後に、クリの1年上のお姉さんヤギのフクが事故で死んでしまった。
それからクリはずっと一人だった。
ヤギは群れで生きる動物。
スイスではヤギや羊を一頭だけで飼うと動物保護法違反で罰せられる、というくらい、ヤギにとって独りというのは辛いのだ。
寂しそうなクリを見ている私たちも辛かった。
パートナーになれそうなヤギを譲ってもらおうと、あちらこちらにお願いしたり問い合わせたり駆け回ったが、結局どれもうまくいかず、最後に出した結論は、クリが秋に発情したら、雄ヤギと掛け合わせて、子ヤギを産ませ、複数頭にする、ということだった。
だが、クリは発情の気配をなかなか見せなかった。
舎長は「クリは体も小さいし発情しないのではないか(子どもを産めないヤギなのではないか)」と心配していた。というのも1年目の秋に発情しなかったから(フクは1年目から発情した)。私は舎長ほどには悲観的ではなかったが、もし10月末までに発情しなかったら、るり渓やぎ農園に来春生まれる子ヤギの購入を予約しようと決めていた。
結局10月末までにクリは発情しなかったので、るり渓やぎ農園に来春生まれる子ヤギを予約した。
それでも私は、まだ発情するかもしれない、と望みをつないでいた。
11月15日朝、ヤギ小屋の方からクリの鳴き声が聞こえてきた。いつもより高い声で繰り返し鳴いている。朝食を食べながら、舎長と顔を見合わせた。
発情?
ヤギの発情の兆候は、叫ぶように泣き続ける、頻繁にシッポを振る、エサにあまり興味を示さない、落ち着きなく動き回る、体をすり寄せてくる、外陰部が充血する、などだが、この日は今ひとつ確信が持てなかった。
だが明くる日、鳴き声はさらに激しくなり、やたらシッポを振り、小屋の柵内に入ると体をすり寄せてきたり乗りかかってきたりする。
「ちょと待て、ちょと待て、お姉さん。人間の私とは無理っすよ」
明らかに発情だ。
発情は40時間続く。この間に雄ヤギと掛け合わせなければならない。
だが、11月半ばは、風呂・トイレ・洗面所の工事で、それどころではなかった。
で、今回はやぎ農園に連れて行くのは見送り、次の発情が来たら連れて行く、ということにした。
翌朝、クリは憑きものが落ちたように、普通に戻った。
ヤギは21日間隔で発情するという。そうであれば次の発情は12月6日(日曜日)だ。
月日はあっという間に流れた。
12月6日朝のクリちゃん。
朝からメーメー、というかベェーベェー鳴いている。試しに「メ」を、腹に渾身の力を力を込めて発音すると「ベ」になった(なんなら試してみてください)。
「12月6日」に備え、前日から突貫工事で作ったクリ移送用のケージにクリを入れ、やぎ農園に向かう(私はこの日にクリが発情すると95%信じていた)。やぎ農園からは事前に「日曜日でも誰かいますから(発情したら)連れてきてください」と了解をもらっていた。
やぎ農園に着いたときはもう暮れかけていた。
畜舎の中に入ると、今年生まれた子ヤギたちが柵の間から顔を出して迎えてくれた。
クリは、今夜、ここで一泊。
雄ヤギと愛の一夜を過ごす(ウラマヤシ~)。
次の朝、クリを迎えに農園に行く。
ヤギたちが初冬の弱い日差しを浴びている。
畜舎に入ると、クリのお相手の雄ヤギが挨拶してきた。
「チヤーッス(こんにちは)」
ちょっと軽いかなあ、こいつ。
聞くと、ザーネン種に変わりはないが、乳の出のよいニュージーランド産のザーネン種の血が半分混じっているとのこと。「ハーフ」か…。そういえば顔がどことなくバタ臭い。
顔つきだけでなく、この目線。
クリもどうよ…
飼育員さんに聞くと、昨夜1回、今朝3回、掛け合わせたとのこと。
発情が始まって20時間後に排卵が始まるので、今朝9時頃がベストタイミングだったとのこと。
愛の一夜を過ごし、見つめ合う二人。
Ah,love…
なんだか、好きな女の子に好きだと言えず、不器用にモジモジしている胴長短足平板顔のニッポン男子の横から、愛情表現豊かなデカプリオみたいな、どうあがいてもかなわないような欧米系男子に、あの子をさらわれていくような…
そんな、やっかみが起きるのを如何ともしがたい…
あー、こんちくしょー。
でも、コトは済んだ。
さあ、行こう。
クリを農園の畜舎から連れ出し、ケージに入れる。
クリは比較的おとなしく入る。
すると、そのとき。畜舎の方から激しい「メェ~、メェ~」という鳴き声、とともに、柵を頭突きする「ゴン、ゴン」という音。あのデカプリオが激しく怒っているのだ。
だが、クリは冷静。
フフフ…
わが舎に帰ったクリ。
発情する前より、落ち着いて静か。
妊娠してホルモンバランスが変わったのか。
おなかの中にもう一人いるから(自分は独りじゃないと)安心できるのか。
陽だまりを求めてたたずむクリ。
「アレクサンドラ」の名前を付けたクリのオーナーの一人がつい先ごろやってきた。
クリを見てひと言。
「クリちゃん変わった」
以前よりももっと女っぽくなったというのだ。
やはり妊娠したのだろうか?
21日後の12月27日に発情しなければ、妊娠した可能性が濃くなる。
もし妊娠していれば、出産予定日は5月6日。
よい季節だ。
これは生まれて4か月ちょっとの子ヤギのクリちゃん。
この一月後に、クリの1年上のお姉さんヤギのフクが事故で死んでしまった。
それからクリはずっと一人だった。
ヤギは群れで生きる動物。
スイスではヤギや羊を一頭だけで飼うと動物保護法違反で罰せられる、というくらい、ヤギにとって独りというのは辛いのだ。
寂しそうなクリを見ている私たちも辛かった。
パートナーになれそうなヤギを譲ってもらおうと、あちらこちらにお願いしたり問い合わせたり駆け回ったが、結局どれもうまくいかず、最後に出した結論は、クリが秋に発情したら、雄ヤギと掛け合わせて、子ヤギを産ませ、複数頭にする、ということだった。
だが、クリは発情の気配をなかなか見せなかった。
舎長は「クリは体も小さいし発情しないのではないか(子どもを産めないヤギなのではないか)」と心配していた。というのも1年目の秋に発情しなかったから(フクは1年目から発情した)。私は舎長ほどには悲観的ではなかったが、もし10月末までに発情しなかったら、るり渓やぎ農園に来春生まれる子ヤギの購入を予約しようと決めていた。
結局10月末までにクリは発情しなかったので、るり渓やぎ農園に来春生まれる子ヤギを予約した。
それでも私は、まだ発情するかもしれない、と望みをつないでいた。
11月15日朝、ヤギ小屋の方からクリの鳴き声が聞こえてきた。いつもより高い声で繰り返し鳴いている。朝食を食べながら、舎長と顔を見合わせた。
発情?
ヤギの発情の兆候は、叫ぶように泣き続ける、頻繁にシッポを振る、エサにあまり興味を示さない、落ち着きなく動き回る、体をすり寄せてくる、外陰部が充血する、などだが、この日は今ひとつ確信が持てなかった。
だが明くる日、鳴き声はさらに激しくなり、やたらシッポを振り、小屋の柵内に入ると体をすり寄せてきたり乗りかかってきたりする。
「ちょと待て、ちょと待て、お姉さん。人間の私とは無理っすよ」
明らかに発情だ。
発情は40時間続く。この間に雄ヤギと掛け合わせなければならない。
だが、11月半ばは、風呂・トイレ・洗面所の工事で、それどころではなかった。
で、今回はやぎ農園に連れて行くのは見送り、次の発情が来たら連れて行く、ということにした。
翌朝、クリは憑きものが落ちたように、普通に戻った。
ヤギは21日間隔で発情するという。そうであれば次の発情は12月6日(日曜日)だ。
月日はあっという間に流れた。
12月6日朝のクリちゃん。
朝からメーメー、というかベェーベェー鳴いている。試しに「メ」を、腹に渾身の力を力を込めて発音すると「ベ」になった(なんなら試してみてください)。
「12月6日」に備え、前日から突貫工事で作ったクリ移送用のケージにクリを入れ、やぎ農園に向かう(私はこの日にクリが発情すると95%信じていた)。やぎ農園からは事前に「日曜日でも誰かいますから(発情したら)連れてきてください」と了解をもらっていた。
やぎ農園に着いたときはもう暮れかけていた。
畜舎の中に入ると、今年生まれた子ヤギたちが柵の間から顔を出して迎えてくれた。
クリは、今夜、ここで一泊。
雄ヤギと愛の一夜を過ごす(ウラマヤシ~)。
次の朝、クリを迎えに農園に行く。
ヤギたちが初冬の弱い日差しを浴びている。
畜舎に入ると、クリのお相手の雄ヤギが挨拶してきた。
「チヤーッス(こんにちは)」
ちょっと軽いかなあ、こいつ。
聞くと、ザーネン種に変わりはないが、乳の出のよいニュージーランド産のザーネン種の血が半分混じっているとのこと。「ハーフ」か…。そういえば顔がどことなくバタ臭い。
顔つきだけでなく、この目線。
クリもどうよ…
飼育員さんに聞くと、昨夜1回、今朝3回、掛け合わせたとのこと。
発情が始まって20時間後に排卵が始まるので、今朝9時頃がベストタイミングだったとのこと。
愛の一夜を過ごし、見つめ合う二人。
Ah,love…
なんだか、好きな女の子に好きだと言えず、不器用にモジモジしている胴長短足平板顔のニッポン男子の横から、愛情表現豊かなデカプリオみたいな、どうあがいてもかなわないような欧米系男子に、あの子をさらわれていくような…
そんな、やっかみが起きるのを如何ともしがたい…
あー、こんちくしょー。
でも、コトは済んだ。
さあ、行こう。
クリを農園の畜舎から連れ出し、ケージに入れる。
クリは比較的おとなしく入る。
すると、そのとき。畜舎の方から激しい「メェ~、メェ~」という鳴き声、とともに、柵を頭突きする「ゴン、ゴン」という音。あのデカプリオが激しく怒っているのだ。
だが、クリは冷静。
フフフ…
わが舎に帰ったクリ。
発情する前より、落ち着いて静か。
妊娠してホルモンバランスが変わったのか。
おなかの中にもう一人いるから(自分は独りじゃないと)安心できるのか。
陽だまりを求めてたたずむクリ。
「アレクサンドラ」の名前を付けたクリのオーナーの一人がつい先ごろやってきた。
クリを見てひと言。
「クリちゃん変わった」
以前よりももっと女っぽくなったというのだ。
やはり妊娠したのだろうか?
21日後の12月27日に発情しなければ、妊娠した可能性が濃くなる。
もし妊娠していれば、出産予定日は5月6日。
よい季節だ。
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