今年は春が早い。というか冬の底が浅く、寒い期間が短かった。
やれやれ、今年もなんとか冬を乗り切ったな。
その短い冬の終わりごろから、舎長が裏庭を覗いては嬉しそうにしている。
今年初めて、蝋梅に花蕾がついたのだ。
舎長の実家から15年くらい前にやってきたのだが、これまで一度も花を咲かせたことがなかった。
毎年、毎年、春が近づくと、舎長は蝋梅の枝先を見てはため息をついていた。
蝋梅より一足早く梅の花がほころんだ。例年、3月半ばにならないと開花しないのだが、今年はひと月ほど早い。
2月25日、まだいくぶん冷たいが、春の風が吹いた。日射しもようやく中庭に届くようになった。
今年初めて洗濯物を外に干した。「洗濯番長」の私は毎年、毎年、この日を待ちかねている。2月に外干ししたのは、この地へ来て初めてではないだろうか。くすんだ色のくたびれた服たちだけれど、冬の間中、私たちを寒さから守ってくれた服たち。ありがとう。
おや? 洗濯物の向こうで誰かがうずくまっている。
シンチャだ。目を閉じ日向でじっとしている。鶏冠が赤黒くしぼんでいる。春は命が膨らむ季節であると同時に命が尽きる季節でもある。
春の日射しの中でヤギたちが反芻しながらうたた寝している。
ヤギたちの穏やかな表情を見ていると何とも言えぬ安心感が心の中に広がる。
やれやれ、今年もなんとか冬を乗り切ったな。
その短い冬の終わりごろから、舎長が裏庭を覗いては嬉しそうにしている。
今年初めて、蝋梅に花蕾がついたのだ。
舎長の実家から15年くらい前にやってきたのだが、これまで一度も花を咲かせたことがなかった。
毎年、毎年、春が近づくと、舎長は蝋梅の枝先を見てはため息をついていた。
蝋梅より一足早く梅の花がほころんだ。例年、3月半ばにならないと開花しないのだが、今年はひと月ほど早い。
2月25日、まだいくぶん冷たいが、春の風が吹いた。日射しもようやく中庭に届くようになった。
今年初めて洗濯物を外に干した。「洗濯番長」の私は毎年、毎年、この日を待ちかねている。2月に外干ししたのは、この地へ来て初めてではないだろうか。くすんだ色のくたびれた服たちだけれど、冬の間中、私たちを寒さから守ってくれた服たち。ありがとう。
おや? 洗濯物の向こうで誰かがうずくまっている。
シンチャだ。目を閉じ日向でじっとしている。鶏冠が赤黒くしぼんでいる。春は命が膨らむ季節であると同時に命が尽きる季節でもある。
春の日射しの中でヤギたちが反芻しながらうたた寝している。
ヤギたちの穏やかな表情を見ていると何とも言えぬ安心感が心の中に広がる。