とねり日記

とりことや舎人(とねり)の
どげんかせんとの日々

ラク

2019年01月30日 | わが舎の動物たち
ラクが死んだ。
1月16日朝、舎長が土間へ降りていくと、ラクはすでに息絶えていた。
死ぬ前々日の14日までラクはかろうじて自力で歩くことができた。
だが15日には歩くことも食べることもできなくなった。
その日、ラクを犬小屋から土間に移した。2012年にカフェを始めてからは、冬もラクを外で飼うようになったが、7年ぶりに母屋に戻ってきた。


その夜、苦しいのか、ラクは何度も起き上がろうとしては倒れ、寝床からはみ出し、這いずり回ろうとした。真夜中、2時をまわって、ようやく穏やかな寝息をたてて眠りについたが、そのまま目覚めることはなかった。


ラクの父親は美山町佐々里の民宿「B&B段」で飼われていた猟犬の紋次郎、母親は美山町鶴ヶ岡のレストラン「厨房ゆるり」で飼われていたシロ。2002年10月初めごろ、シロはオス二匹、メス二匹の子犬を産んだ。子犬をもらいに、私も舎長のお供をして「ゆるり」に行った。「どの子犬がいい?」と聞かれた舎長は迷わず老け顔のラクを選んだ。私はもう一匹のハンサムで利発そうなオス犬の方がいいと思ったが、口出しはしなかった。
わが舎にもらわれてきて翌日のラク。


土間で飼い、ときどき室内にもあげていた。


当時は舎長独り暮らしで、週4日ほどは美山のレストラン等で配膳や給仕のバイトをしていた。したがって舎長が留守の間、ラクは一人きりだった。それで、ラクが外と行き来できるようにした。


土間の出入り口の引き戸に開けた「ラクドア」。


年末には舎長の郷里の和歌山に連れていかれた。
3時間余りのドライブ。舎長も緊張したがラクも緊張した。トンネルに入るとラクは座席の下に潜り込んだ。


和歌山から帰ってきて、わが舎で初めてのお正月を迎えた。


1歳の誕生日。


さらに季節はめぐり、すっかり成犬になった。このころから散歩の時もリードを付けるようになった。


近所の子どもたちがラクに付けたあだ名は「凶暴わんちゃん」


私たち以外の人には激しく吠えた。不用意に近づいて噛まれた人も数人。鶏も二羽が犠牲になった。山でリードをはずしたときに鹿を見つけると追いかけた。急斜面を駆け下りてきた鹿が転倒し、追ってきたラクが鹿の喉笛に食らいつき仕留めたこともあった。

散歩のときはいつもぐいぐい引っぱった。坂道でラクに引っぱられ舎長は何度も転倒し手足を擦りむいた。


吠えて噛んで…その結果、どんどん自由が制限されていくラクを憂えて、自治体等が呼びかける「犬のしつけ方教室」に通ったこともあった。だがいつも、他の参加者・参加犬から離れたところで、型どおりのことを1人と1匹だけでさせられるだけだった。このころ舎長は円形脱毛症になった。それほど舎長はラクの行く末を案じ、愛していた。
凜々しいラク。プーッとおならをしたので、大笑い。


ラクの妹(姉?)のハナちゃん。2年ほど前に死んだ。


ラクの父親の紋次郎は去年の2月に死んだ。紋次郎1歳の時に産まれた子なので父親とほぼ同じ寿命を生きたことになる。

16年3か月生きてラクは死んだ。私は舎長ほどにはラクを愛さなかった。というよりは疎ましいとさえ思っていたかもしれない。ただ、舎長によれば、ラクの視線は常に私を追っていたという。犬とはそういう生き物なのだろう。
そう思ってはいても、死ぬ前後のときには涙が流れて仕方がなかった。
悲しいというのと泣けるというのとは似ているようで少し違う。
ラクは舎長がこの地へ来てからのほぼ全期間をともに過ごした。私ともその一部を共有した。
花が咲き、用水路に水が流れ、苗が青みを増し、田草が茂り、泥田を這って草を取り、稲穂が垂れ、日射しが弱まり、時雨が続き、霜が降り、雪が舞い…それら全てをラクと散歩しながら五感で受け止め、そして笑いがあり、涙を流し、諍いが起き、慰めがあり…それらの月日をラクとともに過ごした。月日の記憶とラクが重なり胸がいっぱいになる。舎長の悲しみはどれほどだろう。

ラクは和歌山の舎長の実家の敷地の片隅に埋めた。鹿の骨が好きだったラクの口元に鹿の角を置いた。


土を被せ石を置いて


手を合わせた。
コメント (2)
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ウートートゥあん!とんど焼き

2019年01月17日 | 山里から
前夜、am3時半まで起きていた安藤庵ご一行は、お昼前になってようやく目覚めた様子。
起きてきた安藤先生が外で何やらごそごそ始めた。見ると山桜AB間にテープ状のものを張り、綱渡り?
スラックラインといって最近流行り始めた遊びらしい。
ボヨンボヨンして最初は1~2歩あるくのがやっと。だが何度かやっているうちにだんだんと長く歩けるように。


おー!安藤はん、今年も綱渡り人生か?


書き初めには「バランス」
何か思うところがあるんやね。


書き初めが終わり、集合写真。
みんな、今年の意欲をポーズで表してみ。


次は得意の変顔っ!


さあ、いよいよとんど焼き。


まずは昨年末にいらしたお客さんの「書き納め」から。


次は新年のお客様。ご夫婦でどっさり書き初めしていかれました。今度来るときは新車かな?


燃えて高く舞い上がるみんなの書き初め。


有り余るほどのお金~


舎長の故郷の祈りの言葉は「あん!」
沖縄では「ウートートゥ」
最後はとんどの回りを「ウートートゥあん!」「ウートートゥあん!」と叫びながら舞い踊る。

みんなの願いかなえたまえ~!
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お泊まり新年会

2019年01月15日 | 山里から
あらためまして
あけましておめでとうございます。

舎員からも一言ずつ、新年のご挨拶を申し上げます。
最年長ヤギ(4歳10か月)のクリちゃん。
あけメ~しておメ~でとう!


ピーコたちで一番長生きはツブコ。
羽の生え替わり時期でちょっと元気がない。
あけッコケッコーコケコッコー!


そして最長老はラク。
17年にわたり舎長とともにとりこと舎を支えてきた。
去年の夏過ぎくらいから急速に衰えを見せ始め、ここ数日、歩くのも困難になってきた。これが最後の正月になるかもしれない。
新年おめでと…ウ~~ワン!


新年の初仕事は1月5日から。


そして新年3組目が安藤先生と愉快な仲間たちご一行。
スペシャルゲストにとりこと舎の知恵袋、Sさんをお迎えして新年会。


昨年、とりこと舎の危機を救ってくれたSさんを安藤さんらに紹介したところ、すぐに打ち解け仲良しになった。この人らは仲良くなる天才だ。


賑々しく一次会が終わり、Sさんをお送っていった後、2次会に突入。
再度、カンパ~イ!


仲良し3姉妹…というか、


久々に実家に揃った従姉妹どうしかな?


囲炉裏縁にも布団を敷いて、午前3時過ぎ、ようやく寝てくれました。


明日はとんどだぞ~!
早起きせーよ~!
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折れた槍

2019年01月11日 | 山里から
あけましておめでとうございます。


年末の寒波もやわらぎ、穏やかな三賀日を過ごすことができました。
本年もよろしくお願いいたします。

さて新年早々剣呑な話で恐縮だが、昨年11月、猟期に入って程なく、鹿を止め刺ししたときに槍が折れてしまった。しかも2本とも…。1本は虫に食われて中がすかすかになっていた。


その後は先輩猟師のイマやんから槍を貸してもらってしのいでいたのだが、いつまでも他人の槍で猟を続けるわけにもいかない。猟師の名折れだ。
ただ、11月12月は忙しく、槍作りをする間がなかった。

年が明けてようやく槍作りに取りかかった。
材料はホームセンターで買ってきたビニールハウス用の鉄パイプと古い鍬の柄。そしてもとの槍の柄から取り外した刃2枚。作り方はイマやん流を教えてもらった。


鉄パイプの先端部分は別のパイプと接続するために細くなっている。この部分に槍の刃先を差し込む。


鉄パイプの中で刃先をしっかりホールドする部分を鍬の柄から削り出す。


一方で、刃先がホルダーに収まるように刃の根元をディスクグラインダーで加工する。


刃とホルダーが完成。


ホルダーを鉄パイプの反対側から入れて押し込むと、先端部分にホルダーの頭が出てくる。


ここに槍の刃先を差し込み


こうなればほぼ完成…と思いきや、ここから難儀した。


ドリルで鉄パイプに穴を開け、ホルダーごと刃の根元を貫いて反対側まで貫通させ、ボルトとナットで固定しなければならないのだが、刃が固くて文字通りドリルの「刃が立たない」。思えば7年前、ヒトっちゃんがヤスリから削り出して作ってくれた槍の刃先を、炭火の中に突っ込んで真っ赤に焼いて水に入れ、焼き入れしたんだった。1本500円もするドリルの刃を2本折ってしまい、途中でホームセンターに買いに走るはめに…
しかも結局、ドリルで穴を開けるのをあきらめディスクグラインダーで溝状に穴を開けボルトを通し、こんな不細工な仕上がりになってしまった。


それでも1本目完成!


2本目は要領をつかんだので、チャチャーンと。


ドリルでの穴開けも一工夫して無事貫通、ボルトを通し…


2本目も完成! これなら折れる心配はない。
猟期後半戦、頑張るぞ~、ガハハハハ~~。
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輝く!とりこと舎10大ニュース「夢を語ろう!」

2019年01月01日 | 山里から
『勝手にシンドバッド』がラジオから流れる。桑田佳祐も年を取ったのか。舌が回っていない印象。聞き慣れた曲なのにラジオでは聞き取りにくい。途中からユーミンも入ってきたみたい。ユーミン声でバックコーラスのララ~ラ~ラララララ~ラ~♪が聞こえる。舎長が「テレビ見たい!」と言っている。久しぶりで聞くサザン。40年前の辛く悲しく嬉し恥ずかしいあのころを思い出しながら…
さあ、お待ちかね、第3回「とりこと舎10大ニュース」の発表です。

1.充実の冬仕事(1月~3月)

ジャム作り、みそ造り、納豆仕込み…、今年は冬仕事が充実していた。石鹸もたくさん作ったしカッティングボードも。

クリチチ石鹸はお泊まりのお客さんから「お風呂に置いてあるあの石鹸がほしい」と言われ販売用に作り始めた。手搾りのクリ(ヤギ)乳と無農薬・天日干し米のヌカ入り。お客さんが少なくてヒマな冬は、いつかどこかで暮らしを支えてくれる仕事をコツコツと続ける。

2.ウチナーソーガチ(2月16日)





とりこと暮らしを始めて18年。季節や暮らしとシンクロした独自のイベントが少しずつ定着してきた。夏至祭、半夏生、冬至祭…、そして今年からウチナーソーガチ(沖縄正月)。中国の「春節」、韓国の「ソルラル」、ベトナムの「テト」…東アジアでは圧倒的に旧正月が主流。新正月のころは寒さのピークもこれからだし、夜明けも暗すぎるし「新春」というにはまだほど遠い。季節感からしても旧正月の方がしっくりくる。これからは旧正月も季節の一つの節目としたい。

3.マイ乳酸菌(3月4日)

安藤庵とのコラボイベントで乳酸菌を作った。材料はわが舎の無農薬・天日干しイセヒカリと大師黒の玄米。玄米の表面に付着している乳酸菌を培養して増やす。この玄米に乳酸菌の「エサ」となる粉黒糖と、発酵を促進するミネラル豊富な天然塩、そして水を加え、ペットボトルに入れ、コタツの中などでぬくぬくしておくと発酵が始まり、2~3日後にはシュワシュワと泡だってくる。安藤先生によると、乳酸菌は整腸作用、免疫力アップ、ガンの抑制、アレルギー・アトピーの改善などさまざまな効果があるという。この乳酸菌も納豆菌や酵母菌などと同じく、私たちの身の回りに在って人の役に立つありがたい菌だ。

4.ツブ茶の復活(3月)

わが舎の鶏たちの多くは3~4年で天寿を全うして死に、自然死する鶏たちの半数は2月~4月の間に死んでいる。その春先、入舎3年9か月のツブ茶が目を閉じて小屋の中にうずくまって3日、もうダメだとあきらめていた。


だが次の朝、ツブ茶が外へ出て懸樋の水を美味しそうに飲んでいる。動物は食べずに病気を治すと聞いたことがある。絶食すると白血球が増えるらしい。生命力という言葉が胸に響いた。

5.とりことBOX(4月、12月)

とりこと舎の暮らしの集大成『とりことBOX』を春と冬にお届けした。

冬便には2019年とりこと舎オリジナルカレンダーも。多くの人たちと「暮らしのなかから生まれたもの」を分かち合った。

6.アーシング(7月1日)

安藤庵とのコラボイベント第4弾は「からだごと大地と繋がるアーシング」。体に帯電しているプラスの電荷を抜くために素足で田んぼに入る。毎年50回くらいは田んぼに入っている私たちでさえも、裸足で田んぼに入るなんてことは皆無。入ってみた感触は…、気持ちがパチンとはじけて何か広くて大きなものとつながった気がした。

7.寒さの冬と暑さの夏

とても寒い冬だった。そして大雨が降り、とても暑い夏がやってきて、台風がいくつもいくつもわが舎を直撃した。2002年秋に生まれ、今年で満16歳の高齢犬のラクもこの夏はほんとうにしんどそうだった。あまりにハーハー言ってるときは舎長がヤギ乳に自家製乳酸菌を入れて飲ませていた。

この子たちの暑さ対策は、二の腕を上げ脇を広げて「コマネチ!」のポーズ。まねしてやってみたら本当に涼しかった。

8.災害と復旧、支えてくれた人たち



今年は数々の災害に見舞われた。くじけそうな私たちを支えてくれたのはお客さん、友人、地域の人たち、親族…。ありがとう。

9.最後の稲刈り

7年間、無農薬で頑張ってきた田んぼを今年度一杯で地主さんに返すことになった。草取り、台風、ハルサー…楽しいことも辛いことも…。みんな、ありがとね。

10.クリ乳1年7か月

クリに子を産ませるため12月12日で乳搾りをやめた。妊娠したら栄養分はおなかの子にやりたいから。カヤとタブを産んで以来1年7か月も乳を出し続けたクリ。ありがとう。写真は搾乳後のクリの乳房。

紅白歌合戦「夢を歌おう」を聞きながら書いていたら、年が明けてしまった。
今年はみんなと(このブログに登場してくれたようないろんなみんなと)大きく広く豊かで暖かく小さな夢を語り合いたいものです。
よいお年を。
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