カキぴー

春が来た

されど老人力

2009年12月29日 | 映画

毎月最終月曜日、日経新聞で愉しみにしているコラム 「リーガル映画館」がある。28日今回は弁護士の中島茂氏が、「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」を取り上げた。

私もこの映画を4回観た。アル・パチーノ演ずる全盲の退役軍人フランクが、学友の犯した校長への悪戯を目撃してしまった名門校の苦学生が、証言を拒んだために校長の怒りをかい、退学させるべく開かれた委員会で彼を弁護するスピーチを打つのだが、この場面が秀逸で何度観ても感動する。 「チャーリーが沈黙するのが正しいのか私には判らない、だが彼は自分の利益のために友を売らなかった。人間の持つ高潔さであり指導者が持つべき勇気だ。私は岐路に立ったとき誤った選択をしてきた。チャーリーは困難だが正しい選択をした。指導者を育てる学校なら、彼をつぶさず守ってやってくれ」 割れるよな拍手の中で、委員会はチャーリーを解放する決議を下す。

もうひとつ素晴らしい場面があった。 フランクがチャーリーを連れて高級レストランに行く。そこで恋人を待つ若い女性をフランクがダンスに誘う。たぶんワルツだったと思うが、めくらの彼がチャーリーからフロアーの間隔を聞いて頭に記憶し、彼女と踊る。流れるように。

中島氏は言う。今我が国では「中高齢者の活用」と「若者の無気力」が課題になっている。ベテランを単に「労働力」とみなすのではなく次世代を育てるために、経験に裏付けされた価値観、正義感を伝える「伝承者」と扱うことが、問題解決の糸口になるのではないか。

映画も本もリピートしたくなるものは良い作品だと思う。だとするとこの映画も秀作に分類してもいいかもしれない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿