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春が来た

「愛の嵐」と、元ナチ秘密組織「オデッサ」

2011年03月15日 | 映画
先の大戦でナチス・ドイツは大量のユダヤ人粛清を行った。 1545年枢軸国側が敗戦すると、当然のことながらユダヤ人コネクションによるナチス狩りが始まる。 中東諸国や南米などに広く逃亡していたナチス親衛隊の将校(SS)などを、執拗に追い詰めたのが強制収容所体験者で作る「ユダヤ人過激派グループ」、「イスラエル諜報特務局」の捜索に協力した。 一方追われるナチス側も追及を逃れるための秘密組織「オデッサ」を結成し、元SS隊員たちの国外脱出や新生ドイツ社会への浸透を支援する。 

イギリスの作家「フレデリック・フォーサイス」は、若いドイツ人ジャーナリストとオデッサとの暗闘を描いたサスペンス・スリラー小説 「オデッサ・ファイル」を発表、処女作「ジャッカルの日」と並ぶ代表作となる。 タイトルは1964年2月西ドイツ司法省宛てに匿名の人物から郵送されてきた、オデッサの支援を受けて海外逃亡したSS隊員の顔写真や、住所の詳細などを記録したファイルの通称にちなむ。 出版後フォーサイスの元には多くの脅迫状が届いたという。

第2次世界大戦が終了して12年後、1957年の冬。 ウイーンのホテルでポーターをしている男は、チェックインする高名な指揮者に連れ添う妻の顔を見て驚く。 男は20年前ナチス収容所で絶大な権力を振るっていた親衛隊将校で、今は素性を隠してひっそり暮らす身、女は当時収容所に送られてきたユダヤ人の少女。 その美貌に目をつけた将校は少女の周囲に銃を撃ち込み、怯える少女をしだいに愛玩物としていく。 二度と逢ってはならない男女の再会。

男に気ずいた女は夫にすぐここを去ろうと訴えるが、夫は仕事のためドイツに行ってしまう。 男は女の部屋に侵入し女を押さえつける。 女は最初こそ抵抗するが、抱き合うと笑いあって床を転げまわる。 その日から女は男の部屋に繋がれ、再び男との生活が始まる。 この男女を最終的に射殺するのが元ナチの「秘密組織」、男が再三の命令にも従わず女の始末を躊躇い、匿い続けたからだ。

このストリーが1973年のイタリア映画 「愛の嵐」(英題:The Night Porter)。 男の役を「ベニスに死す」の「ダーク・ボガード」、女は「さらば愛しき女よ」の「シャーロット・ランブリング」が演じた。 監督はイタリア・カルビ出身の女流映画監督・脚本家の「リリアーナ・カヴァーニ」で、収容所から帰還した女性達の取材を通して彼女たちの特異な体験を聞き、この映画の製作を思い立った。 大戦終了から66年、殆んどのナチス犯罪者が鬼籍に入り、永かったエンディング・ドラマも、ようやく幕を閉じようとしている。 

 

 


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