goo blog サービス終了のお知らせ 

常夏ならば振り向くかも

語り部である私が提供する、今そこにあるチープでホットな噺の数々を口承するブログ。一話解決を目指して今日も喋ります。

波浪注意報 ①

2006年10月19日 | 『ハゼラvsコワッパ』 大懐柔銚場決戦

こんな父と息子のやり取りが世界にまだある事を夢見て…

一方日本、東京湾の傍では

「今週のジャンプ(=週刊少年ジャンプ)、ONE PIECEやってなかったし!超萎える!」
「ほんとだよぉ!」
「まったくなぁーw」

これが現実です…。


〈登場キャラ〉
殿でいい
このブログの管理人。街を練り歩く際はあくまでお忍びを貫いているものの、所々で留まってトークするので目立つ。声変わりが中途半端に終わったのがコンプレックス。好きな雑誌は「BE-PAL」

KANJI
殿でいいとは高校3年生からのトーク仲間。夏に病気で倒れたものの闘病を乗り越え最近退院。アパートには猫が住み着いており何時食おうかと模索中。お前は『アルフ』かよっ。好きな雑誌は「B.L.T」

まっさん
高校の部活仲間。謎のリュックサックを愛用しており、私達の前で渋らず中身をご開帳するのは幾年に一回あるかないか。そして謎のCD-Rをたまに渡してくれる。漬物が嫌い。好きな雑誌は「クリエイト」


この日記にも時折出てくる二人を交えて遊びに行くことにしました。
その場所は再び若洲海浜公園。東京湾、新木場駅の近くにある公園。ちょっと行けばお台場や東京ビックサイトが近いです。まっさんは夏と冬にビックサイトに行くので到着するなりニコニコしてました。そんなに可愛くはありません。

「えーと、これからハゼ釣りをしたいと思います」
「いいんだけど俺、初心気味な釣り者よ」
「おれもおれも!」
「まっさん!初心気味な釣り者っていう言葉は、大変固っ苦しいですよ。素人というのが今の流行な言い方です。」
「KANJIは一度ハゼ釣りを一緒にしたんだから、仕掛けとか諸々は自分でやれ

それからまっさんの準備を終えて、KANJIの方も拝見していたら

「殿!これぐにょぐにょ動くんだけど…」
イソメだからね~口に牙みたいなのあるしね~」





「え!?」
「ん!?どした?」
「お、おまえ…、イソメ触れないの!?」
「つけたことないし…そもそも虫自体苦手だし

世の女性達よ!『男=ワイルドして、男=虫ヘッチャラ』という構図、決してないからな!

「俺も餌虫にはトラウマがあって、苦手っすよ」
「Traumaって浜崎あゆみかよっ!」
「また懐かしい曲を…」
「知らん」


↓つづく

波浪注意報 ②

2006年10月19日 | 『ハゼラvsコワッパ』 大懐柔銚場決戦
二人とも虫嫌いなこともあって、虫が果たす自然界の役割を説いてあげました。
餌を付ける見本と竿の投げ方をレクチャーしてから
早速、勝負が始まります。

「まったくトークも長いことながら、ようやく始まりだよ」
「天ぷら、焼き魚をする用意が出来ているから、大いに釣ってくれ!」

開始直ぐ
「あれ!まっさん!なんかきてるんじゃないのっ!!」
きたっぽい
「引っ張るのか!?はっきりしろっ!」
「つうか…なんというか…地球が釣れた!!」

地球
世界規模で環境活動が進められている中、ゴミ問題も依然として深刻とのこと。釣り場では自分達のゴミだけでなく、周りのゴミも拾ってあげましょう。

「ち、ちきゅう!?」
「要は底に引っかかったということ、とれねぇーや」

うわっ
「どうした!?」
スポーンと飛んでいってしまった…」
「スッポーンじゃなくスポーンなのね!どれどれ」

この時私は、まっさんの方に集中していたのでKANJIの方には目がいってませんでした。仕掛けをうまく遠くに飛ばせたことかなと思い、急いで近寄ると
竿が短くなっていました。釣り糸は手前の海底へと続いております。


「なんじゃこれ…」
「竿の先が飛んでいっちゃったよ。」

「あ」
「こんどこそ!」
「殿~、地球が~、つうか取れねー」

↓つづく…

波浪注意報 ③

2006年10月19日 | 『ハゼラvsコワッパ』 大懐柔銚場決戦
それからしばらくして

「あーそうかなるほどな。投げる時は人差し指で糸を抑えて、こうか
「そうそう!こううまいうまい!」
「引き上げる時は、リールを巻いては引き!巻いては引きをしながらね。竿を下に倒したまま巻くと、海底を引きずったまま戻ってくるからさ


「さて俺もやり始めるかっ!あれ」



気にしなくていいよ…


竿は半分だけ残り、それだけでチャレンジしようとしたものの、今度は投げた早々
糸がぶち切れて仕掛けだけが飛んでいってしまったKANJI
やっぱ安物だと…
をただ繰り返していた。その姿はとても悲しかった。

兵共が夢の跡(使い方は間違っています
あまりの儚さに私の心を痛めた。
そこで彼が満足するように、値を張る新品の竿を勧める事にした。

「…」


↓つづく

波浪注意報 ④

2006年10月19日 | 『ハゼラvsコワッパ』 大懐柔銚場決戦
2時半から始めて1時間以上が経ったのにピクリとも当たりがこない。
釣れるのはよく分からない貝殻に、捨てられた仕掛け、ヘドロの類。

どれもこれも魚屋で並んでないものばかり。周囲の方達も似たような状況。さあどうする!?


「こないなぁ~今日は駄目なのかなぁ~。駄目ってことは無いと思うんだけどなぁ~。でも流石にここまできたらなぁ~
もう、殿でいい思考回路はパニック状態。CPUはペンティアムに到底及びません。

「まっさん、どう思うよ?」



「KANJIさん餌つけて」
「いや俺も…苦手だ」
「ニュロニョロ動いてさ挟まんないのね」
「ひゃっ!こいつら暴れるからね」

またかよ

「貸してみろ!こうやって針の形通して、垂らしてあげると…」
ここで私思うことがありまして一言
「お前らさ~今、俺のこと残酷な奴だと映ってない!?」
「いやいやいや!立派ですよワイルドですよ
「ほんとかなぁ~何の気なしにイソメをするすると針に通して、付いていた古い餌を胴体指でぶった切って海に捨てたんだぜ」

振り返ってみれば怖いこと言っていたんだなぁ。
すんません。感謝しています。イソメさん


⑤につづけ↓

波浪注意報 ⑤

2006年10月19日 | 『ハゼラvsコワッパ』 大懐柔銚場決戦
陽が東に沈み出してきたので、そろそろ打ち切りにする事にしました。

「ま、やってもあと10分くらいだね」
「いい夕焼けだな~」

「そうだ、まっさんに俺のハットを被らせれば、どうだ」
「おっ!しかも上下ともデニム生地だから、なんかEDWINですね」
「ブラットピットとは無理してもならないが、カナダとかそっちでの釣りの感じが出ていいねぇ」






こうして大半を喋りと餌付けに費やした釣りは終わりました。
釣果は0。釣れればハマルものですが
玄人でない我々は釣れなければ飽きてしまうものです。
帰り道あまりの期待はずれに、3人で意味も無く笑ってしまいました。
採れなくてもオチとしてはこんなんでいい気がします。

とりあえず
KANJIは新しい釣竿買ってください。
まっさんは、ちゃんと家族へ釣りに行くことを告げてから来て下さい。

水・光・風・人・愛。
この地球での幾万の出会い、幾千の縁に感謝して
今日もまた千夜釣行。

(パクリ