常夏ならば振り向くかも

語り部である私が提供する、今そこにあるチープでホットな噺の数々を口承するブログ。一話解決を目指して今日も喋ります。

炎の転校生

2006年10月31日 | 『光源Xを探れ』 殿(私)の見物検証記
プールから上がると採暖室がある。
サウナのようでサウナではない、濡れた体を乾かし温めるだけのものだ。
休憩時間の間ぞろぞろ入室していく。私もその一人だ。

この間ある人と同室になった。
その人入ってくるなり
「フン!フン!」と屈伸運動を始めた。
その中ではおとなしく座っているのが通常なのだが、立ったり座ったりのストレッチを始めたからみんな驚いた。
室内は少なかったのでそこまで迷惑ではないが、全員その方が気になりチラ見する。

隅っこで足をがばっと開脚して座り、前屈を始めた。見事とというしかない。
「フン!フン!」少し上機嫌だ。
続いて座りながらのY字バランスにと移った。
「フ…フン!フ…フン!」見事までのY字!良くぞ曲がり綺麗なものだ。
オジサンの顔は、せんだみつおに似ている。
体のほうはなかなかのマッスル体系といったところだ。こういう人はブーメランパンツ愛好が多い。

更にハッと気づいた。
汗の量が凄い。室内の温度はじわっと汗が出るくらいなのに、そのオジサンの周りは水溜りが出来始めている。

今度は立ち上がった。こちら側にケツを向けてアキレス腱伸ばしが始まった。吐息は更に激しくなる。
「フッフッフー、フッフッフー」上機嫌なのが少しムカついた。
部屋から二人去った。気持ちは分かる。

まだ休憩時間は終わらないし、やることが無いからぼっとしていると、オジサンは次の段階へと進んだ。
足と手を広げて体を壁に向ける。首をうなだれるように壁につける。どうやら背筋と尻を鍛える気だ(多分)。膝のニーバックは完璧だ。

「フッ!ハァー、フッ!ハァー!」
汗の池は更に増水。私は座っているだけなのだが暑く感じる。これもオジサンによるものに違いない。

ここで一人が部屋を出て、ついにせんだみつお似のフッ!フッ!おじさんと二人っきりになってしまった。

ここで私は次にくる動作を考えてみた。
直ぐに予想はつく。

入室してくるなり独特の雰囲気があった。皆気にはなっていたが、どこかとっつきにくい存在だった。
ストレッチとY字バランスは見事だった。こんな才能があったのかと皆が褒めた。
だがアキレス腱伸ばしになって事態は変る。調子に乗りすぎて見向きもされなくなる。現に同室の方々は去っている。そして壁にうな垂れる。即ちスランプだ。
背を向けるのは弱さを見せてくれたに違いない。
ハッ
こ、これは

初心(ウブ)な転校生が恋していくパターンじゃないか!

仕方ないとはいえ私は傍観していた。始めはただの珍しいもの見たさだった。しかしある時から好奇心は変り…

ええっ!!!

そして次に来るお決まりのシーンといえばっ!!





人が出逢いと別れを重ねるのは長い人生多く訪れる。
また同じく、勝手に求愛と勘違いする機会も非常に多く訪れる。

せんだみつお
1947年7月29日生。主に自虐ネタを使うタレント。
近年では自分を持ち上げるネタも使う。代表作「ナハッナハッ」「せんだ偉い、せんだ偉い」